第4話 黄金の閃光と立ちはだかる壁
『黄金の国、再来』第四話
金曜スペシャル
【スタジオ解説】
コマーシャルが明け、スタジオは静かな緊張感に包まれていた。モニターには、試掘機が新たに掘削を再開しようとしている映像が映し出されている。
朝倉 啓(MC):
「さあ、前回は硬すぎる岩盤にドリルが阻まれましたが、橘あかりちゃんの『ロマンと科学の融合』から生まれた奇跡のルートで、いよいよ掘削を再開します!」
男性芸人:
「いやぁ、人間て、欲の皮が突っ張るとすごいパワー出るんですね! あと何メートル掘るんですか? もう早く金を出してくれ!」
女性タレント:
「もうお願い! 早く金を見せてー!
ドキドキで心臓が持ちません!」
朝倉 啓(MC):
「その期待、裏切らないと信じたい。ダウジングが示した『裏道』の先に、1グラム2万円の金脈は待っているのか! VTRスタート!」
【ロケ VTR 開始:決死の再掘削】
(VTRは、掘削機がゆっくりとダウジングが示した新ルートにドリルを食い込ませる場面から。)
朝倉 啓:
「さあ、掘削再開です。岩盤の裏道となる地中の割れ目を狙って掘り進める、まさに一か八かの作戦です。」
新しい掘削は、前回とは打って変わって、淡々と、そして順調に進んだ。
ドリルは、技術者が設定した目標深度である60メートル、70メートルへと順調に到達していく。
現場監督が無線で叫ぶ。
現場監督(無線):
「朝倉さん! 目標深度に到達! 掘削を止めます! コアを引き上げろ!」
試掘機が停止し、現場は一瞬の静寂に包まれた。
重機のオペレーターが、慎重に掘削で採取された円柱状の地質サンプル、コアを格納したパイプを地上へと引き上げ始める。
橘 あかり:
「朝倉さん、見えますか? コアですよ!」
朝倉 啓:
「ああ、これが、この霧島の大地の奥深くの秘密だ。この中に金があるかどうか、
全てはこのコアが握っている!」
【ロケ VTR クライマックス:黄金の発見】
(技術者が緊張した面持ちでパイプからコアを取り出す。それは泥にまみれた、一見ただの灰色と白の岩の棒だった。)
朝倉 啓:
「どうだ、監督。何か、それらしきものは?」
現場監督はコアの表面を水で洗い流し、ルーペを当ててじっと見つめる。
そして、その顔つきが、徐々に、確信に変わっていく。
現場監督:
「……来たぞ。朝倉さん! 石英脈だ! 熱水が通った証拠の脈が、はっきりと!」
石英脈とは、熱水が流れた跡にできる白い鉱物の筋であり、金鉱脈の重要な目印だ。
橘 あかり:
「石英脈! それは金が近いってことですよね?」
朝倉 啓:
「ああ。だが、肝心の金は――」
次の瞬間、現場監督が興奮で声を荒げた。
現場監督:
「見てください! これだ!」
監督が指差した石英脈の筋の一部が、水に濡れてキラキラと鈍い光を放っている。それは、紛れもない、金の粒だった。
橘 あかり:
「うわあああ! 金だ! 本当に金がある! 朝倉さーん!!」
あかりは興奮して朝倉に抱きつく。
朝倉は静かに、深い満足感を浮かべながら、その金色の閃光を見つめた。
朝倉 啓:
「ダウジングが導き、科学が掘り当てた……黄金の国、再来だ。」
【スタジオ解説:喜びと現実の壁】
(スタジオは大歓声。ゲストたちは立ち上がり、抱き合って喜びを分かち合っている。)
朝倉 啓(MC):
「(笑顔で)皆さん、おめでとうございます! 確かな金鉱脈の証拠が、ついにこのコアから見つかりました! ロマンと科学の融合、ここに結実です!」
女性タレント:
「すごーい! 朝倉さん! これ、試掘でどれくらいの金が採れたんですか? 私のアクセサリーの分はありますよね!?」
朝倉 啓(MC):
「(笑いながら)あかりちゃんのアクセサリー分ですか? 残念ながら、今回の試掘で得られた金は、分析に使うごく少量です。まだ本格的な採掘は始まっていませんから、皆さんの欲の皮を突っ張らせた夢は、もう少し先になりそうです。」
(スタジオ、再び笑いに包まれる。)
朝倉 啓(MC):
「しかし、このコアから金が見つかったことは、あくまで『試掘成功』の証にすぎません。本格的に採掘を行うためには、乗り越えなければならない、現実の巨大な壁が立ちはだかっています。」
(モニターに「環境アセスメント」「地元調整」「採掘許可」の文字が映し出される。)
解説:田守准教授
「そうですね。ここは霧島ジオパークという自然保護の側面を持つ地域です。本格的な鉱山を開発するには、環境への影響を詳細に調査し、地元住民の皆様の理解と同意が不可欠になります。これは、金が見つかったことよりも遥かに困難な課題と言えるでしょう。」
朝倉 啓(MC):
「その通りです。次週、黄金の国再来の夢は、技術ではなく、人と自然との共存という、最も困難な壁に挑みます! 果たして、本当に私たちは金塊を手に入れることができるのか?」
(画面が暗転し、タイトルロゴが表示される。)
「この続きはまた来週!」




