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夢紡ぎの街 ―感情と日常の異世界スローライフ―  作者: たむ


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第2章 第77話:増える共鳴 ― 村に現れる“第二の影”

ナリが自分の名前を言った日。


それは

村にとって静かな出来事だった。


だが境界にとっては

違った。


影が自分を認識する。


その瞬間、

境界の向こうに

小さな波紋が広がっていた。

夜。


村の外れ。


観測装置の光が

ゆっくり回っている。


セリスは

数値を見て眉をひそめた。


「……反応が増えている」


隊員が画面を確認する。


「境界波、拡大しています」


リオナが低く言う。


「裂け目?」


セリスは首を振る。


「違う」


そして静かに言った。


「共鳴です」


■ ナリの核


ナリは

川辺に立っている。


リナライの隣。


核の点が

小さく光る。


どくん。


どくん。


その鼓動は

以前よりもはっきりしている。


セリスが言う。


「核が安定すると、

 境界へ影響を与えることがあります」


リオナが目を細める。


「影を呼ぶ?」


「いいえ」


セリスは首を振る。


「影が“応える”」


■ 村の外


そのころ。


村から少し離れた

森の奥。


月光の下で

地面の影が揺れた。


最初は

ただの木の影。


だが

形が崩れる。


そして――


ゆっくり

立ち上がる。


人の輪郭。


だが

顔はない。


目もない。


ただの影。


■ 観測装置の警告


川辺。


観測装置の針が

急に振り切れた。


「反応!」


隊員が叫ぶ。


セリスが

素早く地図を見る。


「……村の外」


リオナが

リナライを見る。


「来るわ」


リナライの胸の核が

強く反応する。


どくん。


「……ナリ……」


ナリの輪郭も

小さく揺れる。


■ 森の影


森の中。


影は

ゆっくり歩いていた。


まだ不安定。


輪郭が

時々崩れる。


だが

消えない。


それは

境界の向こうから来た影。


だが――


ナリとは

違う。


核がない。


ただ

引き寄せられている。


■ 出会い


リナライたちは

森へ向かった。


ナリも

ついてくる。


やがて

木々の間に

黒い輪郭が見えた。


もう一つの影。


揺れている。


不安定。


ナリが

一歩前へ出る。


核が

小さく光る。


どくん。


その瞬間。


もう一つの影が

止まった。


そして――


ゆっくり

ナリの方を向く。


■ 二つの影


リナライは

息を呑む。


「……ナリ……

   あれ……」


ナリは

静かに立っている。


そして――


小さく言う。


「……ナ……」


影が

揺れる。


まるで

言葉を聞いているように。


セリスが

低く言った。


「共鳴している」


リオナが

静かに頷く。


「ナリが呼んだ」


■ 新しい問題


影は

まだ不安定だ。


核がない。


名もない。


だが

ナリに引き寄せられている。


リナライが

小さく言う。


「……また……

   ひとり……」


セリスは

ゆっくり言う。


「これが最初とは限りません」


その言葉に

全員が静かになる。


ナリの核が

小さく光る。


森の影が

少し近づく。


世界は

確実に変わり始めていた。

ナリは

最初の影だった。


だが

最後ではない。


境界は

新しい波を生んでいる。


もう一つの影。


まだ名もない存在。


それは

希望か、

それとも危険か。

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