第2章 第59話:村の祭りの知らせ ― 光が集まる夜
リオナの過去を知った翌日。
村に、
年に一度の祭りの知らせが届く。
それは光を灯す夜。
リナライの胸の核が、
その知らせにわずかに反応する。
「今夜は祭りだよ!」
ミルが広場を駆け回りながら叫んだ。
トオマが続く。
「灯りを持って集まるんだってさ!」
ユルクも嬉しそうに言う。
「川辺に全部の光を並べるんだよ」
リナライは胸に手を当てた。
「……まつり……?」
リオナが微笑む。
「年に一度の“灯火祭”。
みんなが小さな光を持ち寄って、
夜を照らすの」
その瞬間――
名の核が、どくん、と強く脈打った。
「……りおな……
ここ……
あつい……」
リオナは一瞬だけ表情を変えた。
「……感じるのね?」
リナライは頷く。
「……ひかり……
あつまる……
よる……
わたし……
なんか……
つながる……?」
リオナはゆっくり息を吸った。
「かもしれないわ」
■ 祭りの準備
夕方。
村はいつもより活気づいていた。
子どもたちは紙灯りを作り、
大人たちは川辺の道を整える。
空気には甘い焼き菓子の匂い。
リナライは小さな灯りを両手で抱えていた。
透明な球体の中に、
淡い光が揺れている。
「……これ……
わたし……
もつ……?」
「ええ。
それはあなたの灯りよ」
リオナは静かに答える。
リナライは胸のペンダントと
灯りを見比べた。
二つの光が、
わずかに共鳴する。
(……ひかり……
よんでる……?)
■ 川辺の光
夜。
村人たちは川沿いに並び、
一斉に灯りを置いていく。
無数の小さな光が
水面に映る。
星が地上に降りたような光景。
リナライは息を呑んだ。
「……きれい……
せかい……
ぜんぶ……
ひかり……」
その瞬間――
名の核が、
これまでにない強さで輝いた。
どくん。
どくん。
どくん。
胸の奥が熱を帯びる。
「……りおな……
ここ……
ひろがる……!」
光が、
灯りの列と共鳴するように揺れる。
村人たちは気づいていない。
だがリオナは、
確かに感じていた。
(……これは……
ただの偶然じゃない……)
リナライの灯りが
ひときわ強く輝く。
その光が、
川面の反射と重なった瞬間――
水面の奥に、
淡い“別の光”が瞬いた。
リナライは目を見開く。
「……みえた……
むこう……
もうひとつ……
ひかり……」
リオナがすぐに肩を抱く。
「どこに?」
「……みずの……
した……?」
一瞬だけ、
川面の奥に
揺らぐ影のようなものが見えた。
それは
夢で見た“白い空間”に似ていた。
胸の核がさらに脈打つ。
どくん。
どくん。
どくん。
(……よばれてる……?)
■ 影と光の重なり
突然、風が強く吹いた。
灯りが揺れる。
村人たちは歓声をあげる。
「風の祝福だ!」
「いい年になるぞ!」
だがリナライには
別の意味に感じられた。
風の中で、
胸の光が広がる。
「……りおな……
わたし……
なにか……
ちかづいてる……」
リオナは静かに頷いた。
「ええ。
たぶん……祭りの光は、
あなたの核と響き合っている」
リナライは灯りを強く抱きしめる。
「……ひかり……
いっぱい……
でも……
ひとつ……
ちがう……」
それは不安ではない。
予感。
遠くで何かが
動き出している感覚。
■ 夜の終わり
祭りが終わるころ、
光はゆっくりと消えていった。
だがリナライの胸は、
まだ微かに熱を持っている。
「……りおな……
ゆめ……
つづき……くる……?」
リオナは答えなかった。
ただ、
静かに空を見上げた。
星が瞬いている。
「……来るかもしれないわね」
リナライは胸に手を当てる。
(……わたし……
ひかり……
まだ……おわらない……)
祭りは終わった。
だが物語は、
確実に次の段階へ向かっていた。
祭りの夜。
無数の光が集まり、
リナライの名の核と共鳴した。
そして川の奥に見えた
“もうひとつの光”。
それは偶然か、
導きか。




