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夢紡ぎの街 ―感情と日常の異世界スローライフ―  作者: たむ


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第2章 第56話:ひみつの共有 ― 信じるという選択

友情が深まると、

心の奥にしまっていたものが

少しずつ顔を出す。


話したい。

でも怖い。


今日は、

リナライが“秘密”と向き合う日。

夕暮れの広場。


遊び終わったあと、

四人は草の上に並んで寝転んでいた。


空は薄い橙色に染まり、

雲がゆっくり流れていく。


ミルがぽつりと話し始めた。


「ねえ、みんな。

 わたしね、昔すごく怖がりだったんだ」


トオマが驚く。


「え、うそだろ?」


ミルは少し照れながら笑う。


「本当。夜が怖くて、

 ずっと泣いてたこともあった」


ユルクも静かに言う。


「……ぼくも、

 村に引っ越してきたとき、

 友だちできるか不安だった」


トオマは腕を枕にしながら言った。


「オレだってさ、

 木から落ちたことあるんだぜ。

 怖かったよ」


三人が少しずつ“自分の弱さ”を話す。


その空気の中で、

リナライの胸が静かに揺れた。


(……みんな……

 じぶんのこと……いってる……

 わたしは……?)


胸の名の核が、

ほんの少し熱を帯びる。


(……わたし……

 ほんとうは……

 “ふつう”じゃない……)


影だったこと。

生まれ直したこと。


それは、

まだ誰にも言っていない。


■ 話したい、でも怖い


ミルがふとリナライを見る。


「リナライは?

 何か怖かったことある?」


その問いは、

優しく、まっすぐだった。


リナライは息を止める。


「……わたし……

   ……」


言葉が喉で止まる。


(……いったら……

 へん……って……

 おもう……?)


胸の奥が少し冷たくなる。


トオマは急かさない。


ユルクも静かに待っている。


その沈黙が、

逆に温かい。


リナライは胸に手を当てた。


名の核が

ゆっくりと光を放つ。


(……りおな……

 どうすれば……いい……?)


遠くで見守っているリオナの姿が目に入る。


彼女は何も言わない。


ただ、信じるように見ている。


■ “全部じゃなくていい”


リナライは深呼吸をした。


「……わたし……

   むかし……

    ひとり……だった……」


三人が静かに聞く。


「……いま……

   ここに……いる……けど……

    ちがう……とき……あった……」


言葉は曖昧。

全部ではない。


でも、嘘ではない。


ミルがそっと言う。


「ひとりだったの、寂しかった?」


リナライは頷く。


「……さびしい……

   でも……

    いま……

     ちがう……」


ユルクが柔らかく笑う。


「今は、ひとりじゃないよ」


トオマも笑う。


「当たり前だろ」


胸の奥が、

じんわり温かくなる。


(……ぜんぶ……

 いわなくても……

 つながれる……)


リナライは理解する。


秘密を話すことが

“信じる”ことの全部ではない。


“今の気持ち”を伝えることでも

十分なのだと。


■ 信じるという選択


ミルが草を握りながら言った。


「リナライ、

 言いたくないことは言わなくていいよ」


トオマも頷く。


「でも、話したくなったら言えよな」


ユルクは優しく続ける。


「待ってるから」


その言葉は、

静かな約束だった。


リナライの胸の名の核が、

柔らかく輝く。


「……ありがとう……

   わたし……

    いまは……これで……いい……」


ミルが笑う。


「うん。それでいい」


リナライは空を見上げる。


(……ひみつ……

 まだ……ここに……ある……

 でも……こわくない……)


それは“閉じた秘密”ではない。


“いつか話せるかもしれない未来”。


リナライは胸に手を当て、

静かに思った。


(……わたし……

 しんじてる……

 このひとたち……)


それが今日の、

いちばん大きな成長だった。

リナライは今日、

“全部を話すことだけが信頼ではない”と知った。


秘密は悪いものではない。

大切なもの。


そして、

いつか話せる日が来るかもしれないという

“未来への信頼”もまた友情。


彼女の世界は、


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