第2章 第51話:村の子どもたち ― 初めての“友だち”になれるだろうか
市場からの帰り道、
リナライは初めての経験で心が満ちていた。
そして翌日――
リオナの家を訪ねてきたのは
元気いっぱいの村の子どもたち。
リナライにとって初めて出会う
“年の近い存在”との交流がはじまる。
朝の光が差し込むリオナの家。
リナライは昨夜選んだ
小さな雫のペンダントを胸につけ、
そっと触れながら歩いていた。
(……これ……わたし……えらんだ……
みると……むね……あったかい……)
そのとき――
外から元気な声が聞こえてきた。
「リオナー! 遊びに来たよ!」
「昨日、市場で見かけたんだ!
新しい子いるんだろ!?」
リナライは驚いて立ち止まる。
「……りおな……いま……おと……
たくさん……くる……!」
リオナは苦笑しながら扉へ向かった。
「ええ、きっと……村の子たちよ」
■ 子どもたちと初対面
扉を開けると、
三人の子どもたちが元気よく立っていた。
・明るい茶髪の少女 ミル
・元気な少年 トオマ
・少し控えめな黒髪の少年 ユルク
「ねえリオナ、その子が――?」
リオナは優しくリナライの肩を押した。
「リナライ。
この子たちはミル、トオマ、ユルク。
あなたと同じくらいの年頃よ」
リナライは胸に手を当て、
少しだけ後ろへ下がった。
「……ここ……どきどき……
みられてる……
でも……こわくない……?」
ミルがぱあっと笑顔になり、
リナライの前に走り寄った。
「わあっ、本当にいた!
きれい……!
そのペンダント、かわいい!」
ミルの声はまっすぐで、
リナライの心にすぐ届いた。
「……きれい……?
これ……わたし……えらんだ……」
トオマが興味津々にのぞき込む。
「ほんとだ!
光ってるみたいだな!」
ユルクも恥ずかしそうに微笑む。
「……はじめまして、リナライ」
リナライは胸の核が
ふわりと温かくなるのを感じた。
「……はじめて……
わたし……
“ともだち”……?」
ミルがすぐさま笑顔で叫んだ。
「もちろんだよ!
今日から友だち!」
リナライの目が大きく丸くなる。
「……ともだち……
そんな……すぐ……
なれる……?」
トオマが笑い飛ばす。
「なれるに決まってるだろ!」
ユルクも小さくうなずく。
「うん……ぼくらは嫌じゃないよ」
リナライの胸は
初めて感じる温かさで満ちていった。
(……ともだち……
わたし……はじめて……
でも……あったかい……
すごく……うれしい……)
■ 子どもたちの本音に戸惑う
ミルがリナライの手を取って言った。
「ねえ、遊ぼうよ!
外の広場で一緒に!」
トオマがにこっとして続ける。
「リナライ、走れる?
どれくらい早い?」
ユルクが気になることを口にする。
「リナライって……どこから来たの?」
その瞬間――
リナライの胸の中で
小さな不安が揺れた。
(……どこ……?
わたし……どこから……?
しらない……)
リオナはすぐにそばへ来て、
優しくリナライの背を支えた。
「みんな、急に質問しすぎよ。
リナライにはゆっくりでいいの」
ミルは気づいてすぐに笑って言った。
「そっか、ごめん!
でも、大丈夫!
知らなくてもいいんだよ!」
トオマも頷く。
「そうだそうだ!
知らないこと多いほうが
一緒に遊ぶの楽しいしな!」
ユルクの声も優しい。
「……ぼくも、知らないこといっぱいだよ。
だから、一緒に知っていこうね」
リナライの胸に光が満ちる。
「……ともだち……
やさしい……
ここ……あったかい……」
■ はじめて“友だちと外へ”
子どもたちはリナライの手をとり、
広場へ向かって元気よく走り出す。
「リナライ、こっち!」
「走るよー!」
「ゆっくりでいいからついてきて!」
リナライは驚きながらも、
胸の鼓動が楽しい音を刻んでいた。
「……はしる……?
ともだち……と……?
わたし……できる……かな……?」
リオナが背中をそっと押す。
「大丈夫。
行っておいで、リナライ」
リナライは振り返り、
嬉しそうに微笑んだ。
「……りおな……
ありがとう……
いってくる……!」
そして――
初めて“友だち”という存在とともに
外の世界へ走り出した。
その笑顔は
昨日よりも強く、柔らかく、広がっていた。
リナライは今日、
初めて“友だち”と呼べる存在と出会った。
大人とも違い、
リオナとも違い、
新しい距離感と新しい楽しさ。
これは彼女にとって
大きな世界の扉。
次の一歩は、さらに深く
“他者とのつながり”を教えてくれる。




