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120キロオーバーの激デブ喪女が超絶美少女姫に転生したら全員ひれ伏した件


田中喪女美たなか もじょみ、17歳、高校2年生。体重は120キロオーバー、趣味は同人誌収集、深夜アニメ鑑賞、そして推しカプの二次創作に没頭すること。学校では「壁の花」どころか「壁そのもの」と揶揄され、友達ゼロ、恋愛経験ゼロの自他ともに認める喪女だった。彼女の人生のハイライトは、毎週土曜の深夜に放送されるアニメの新エピソードと、pixivで更新される推しカプの同人小説だった。


ある雨の日の放課後、喪女美は図書室の片隅でこっそり同人誌を読んでいた。濡れた床に気を取られながら階段を降りる途中、誰かが落としたらしいBL同人誌に足を滑らせた。「うわっ、なにこれ!?」次の瞬間、ズルッ! ゴロゴロゴロ! 階段を転がり落ち、頭を強打。意識が遠のく中、彼女は思った。


「うそ、こんな死に方って…せめて推しカプの完結編見たかった…!」


闇に飲まれる瞬間、彼女の視界には同人誌の表紙――イケメン同士のキスシーン――が焼き付いていた。




目を開けると、喪女美はふかふかのベッドの上にいた。目の前には天蓋付きの豪華なベッド、きらびやかなシャンデリア、そして金箔が施された壁。まるでアニメの王宮セットそのものだ。「え、なにこれ? 夢? コスプレイベント? それともVRゲームのバグ?」喪女美は混乱しながら体を起こす。長い金髪が肩から滑り落ち、細い腕と華奢な手が目に入った。「…え、誰の体!?」


鏡に飛びつくと、そこには息をのむほど美しい少女が映っていた。透き通る白い肌、大きなエメラルド色の瞳、まるでCGのような完璧なプロポーション。彼女はエリスティア王国の第一王女エリスとして転生していたのだ。


「姫様! ご無事でよかった!」メイドたちが涙ながらに駆け寄ってくる。「階段で転ばれたと聞いて、わたくしども、心臓が止まるかと思いました!」


「え、階段? また階段!?」エリス(喪女美)は目を丸くする。この世界でも階段が彼女を襲ったらしい。どうやらエリスは城の螺旋階段でつまずき、軽い打撲を負った設定になっていた。「階段、私の天敵じゃん…」と心の中で呟く。


執事のセバスチャンが恭しく頭を下げる。「姫様、医師が参りますので、どうぞご安静に。近日中の舞踏会には必ずご出席を。諸国の王子たちが姫様を一目見ようと集まっております。」


「舞踏会? 王子? いやいや、私、喪女だよ? そんなの無理ゲーじゃん!」エリスは心の中で叫ぶが、鏡の中の美貌を見ると、確かにこれは「全員ひれ伏す」レベルのビジュアルだ。「よし、この顔ならイケる! ラブコメの主人公、やってやる!」彼女は拳を握り、転生チートをフル活用する決意を固めた。


舞踏会のキラキラ地獄


数日後、エリスは舞踏会に備え、メイドたちに着せ替え人形のように扱われていた。ドレスは星屑を散りばめたような青いガウン、髪にはダイヤモンドの髪飾り、足元にはガラスの靴(めっちゃ歩きにくい)。「これ、完全にシンデレラじゃん! でも私、喪女美の魂持ってるから、なんか気まずい…」とエリスは鏡の前でモジモジする。


舞踏会の会場は、きらびやかな貴族たちで溢れていた。エリスが入場すると、会場が一瞬静まり、すべての視線が彼女に集中。男たちは息をのみ、女たちは嫉妬の視線を隠しきれず。エリスは内心ビビりながらも、鏡で確認した美貌を武器に胸を張る。「ふふん、これが転生チートの力! 喪女美、ついに輝く時が来た!」


そこへ、第一の王子候補が現れた。ルカス・フォン・アルデンヌ、金髪碧眼の完璧イケメン。隣国の王子で、剣術と知略に優れた王子様のテンプレそのものだ。彼はエリスに手を差し出し、キラキラの笑顔で言う。「エリスティア姫、ぜひ一曲お相手を。」


エリスはパニック。「ダンス!? 私、体育のフォークダンスでさえリズム感ゼロだったのに!」だが、ルカスのリードがあまりに完璧で、彼女はまるで浮いているように踊れた。会場は拍手喝采。エリスは内心で叫ぶ。「うそ、めっちゃ王子様! こんなのラブコメの鉄板じゃん!」


ルカスは踊りながら囁く。「姫、あなたの美しさはまるで星のようだ。だが、どこか…普通の娘のような親しみやすさがある。」


「え、親しみやすさ? それ、私の喪女オーラが漏れてる!?」エリスは焦るが、ルカスの笑顔にドキッとする。心臓がバクバク。これは間違いなくラブコメの波動だった。


しかし、舞踏会の後半、第二の王子候補が登場。クロウ・ヴァン・シルヴァ、黒髪赤目のミステリアス系イケメン。魔法使いの国の王子で、どこか危険な香りがする。彼はエリスに近づき、意味深な笑みを浮かべる。「エリス姫、あなたは他の姫とは違う。まるで…別の世界から来たようだ。」


「!? こいつ、私の転生バレてる!?」エリスは冷や汗をかく。クロウの鋭い視線に、彼女の喪女魂がビビる。「いや、落ち着け、私! この顔なら何とかなる!」と自分を励ますが、クロウの不敵な笑みが頭から離れない。


二人の王子と揺れる心


舞踏会後、エリスのもとに求婚者が殺到。貴族の息子、騎士団長、果ては謎の詩人まで、彼女の美貌にメロメロだ。しかし、エリスの心はルカスとクロウの間で揺れていた。ルカスは爽やかで誠実、クロウはミステリアスでどこか挑発的。まるで少女漫画の正統派ヒーローとダークヒーローが同時に現れたような状況だ。


ある日、ルカスがエリスを馬車デートに誘ってきた。湖畔でのピクニック、完璧なエスコート、さらには「姫のために」と摘んだ花束。「うわ、ルカス、ガチで王子様すぎる! こんなの推しカプのシチュじゃん!」エリスは内心で叫びながら、ルカスの優しさに心を奪われる。


だが、その夜、クロウがエリスを魔法の森に誘う。月明かりの下、クロウはエリスに魔法で光る花を見せる。「この花は、君の瞳の色に似ている」と囁くクロウ。エリスはドキッとするが、同時に彼の言葉が気になる。「別の世界から来たようだ」――クロウはエリスの本質を見抜いているのか?


「ねえ、クロウ、私のことどう思ってるの?」エリスは勇気を振り絞って聞く。クロウは微笑む。「君は…隠している何かがある。だが、それが君の魅力だ。」


「うわ、めっちゃ含みのある言い方! こいつ、絶対私の転生知ってるよね!?」エリスはパニックになるが、クロウのミステリアスな雰囲気に引き込まれる。ルカスの誠実さとクロウの危険な魅力。エリスの心は完全にラブコメの修羅場状態だった。


喪女魂の覚醒


エリスは二人の王子に振り回されながら、徐々に自分らしさを取り戻していく。ある日、ルカスが城の庭でエリスに告白する。「エリス、君は美しいだけじゃない。君の少し抜けたところ、純粋な心に惹かれた。俺と一緒に未来を築いてほしい。」


エリスは感動するが、同時にクロウの言葉が頭をよぎる。「別の世界から来たようだ」――彼はエリスの喪女美としての本質を見抜いているのかもしれない。彼女は悩む。「私、喪女美のままでいいの? この美貌に頼って生きるのって、なんかズルくない?」


その夜、エリスは自室で鏡を見つめる。「エリスティア姫、めっちゃ可愛いけど…私、田中喪女美なんだよね。アニメと同人誌が恋人だった私。こんなキラキラな世界で、ほんとにヒロインやれるの?」彼女は自分の心と向き合い、過去の自分を思い出す。学校で笑いものだった自分、でも推しカプを愛し、二次創作に情熱を注いだ自分。あの頃の自分も、悪くなかった。


翌日の謁見の間、エリスはルカスとクロウを前に宣言する。「私はあなたたちの気持ち、めっちゃ嬉しい! でも、私、ただの美少女姫じゃない。昔の自分、ちょっとダサくて、でも一生懸命だった自分を愛してる。だから、私を選ぶなら、この中身ごと愛してほしい!」


ルカスは笑い、クロウは拍手する。会場は静まり返り、やがて拍手が沸き起こる。貴族たちはエリスの率直さに心を打たれ、彼女の「中身」を愛する姿勢に感銘を受ける。エリスは思う。「これ、私の喪女魂が勝った瞬間か!?」


新たな始まり


エリスは最終的にルカスを選ぶ。彼の誠実さと優しさが、彼女の心に響いたのだ。クロウは「またどこかで会おう」と言い残し、魔法の国へ帰る。エリスはクロウに感謝しつつ、彼のミステリアスな魅力に少し未練を感じる。「クロウ、絶対また出てくるよね…少女漫画の法則的に!」


ルカスとの交際は、まさにラブコメそのもの。デート中にエリスがドジっ子発動でケーキを落としたり、ルカスが「君のそういうところ、好きだよ」とフォローしたり。エリスは思う。「うわ、これ、推しカプの理想シチュじゃん! 私、ほんとにヒロインやってる!」


ある日、エリスは城の螺旋階段を見上げる。「階段、ほんと私の天敵だったけど…ここから新しい人生始まったんだよね。」彼女は笑い、ルカスの手を握る。喪女美の魂を胸に、エリスは輝く未来へと歩み出す。


転生したエリスティア姫は、美貌と喪女魂の両方で、誰もがひれ伏すヒロインになったのだった。


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