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ミタンニ王国編(ヒッタイト王国後編) まとめと人物紹介

(B.C. 1345-1330年頃を想定)


挿絵(By みてみん)


茜の足跡


本当はヒッタイト王国からバビロニア王国に移動する予定だった茜達ですが、ヒッタイトのピヤッシリ副王からの依頼で、途中ミタンニ王国の王都ワシュカンニに寄る事になりました。しかしそこで茜は、ミタンニ王国がアッシリア王国からかなり押し込まれている事、またアッシリアはミタンニの信仰そのものを破壊しようとしている事を知り、ミタンニ王国を支援する事を決めます。そして最もアッシリアからの侵攻により、危機的状況となっていたティグリス河東岸の都市アラプハの救援に向かいます。そこでミタンニ北方軍を率いて、アッシリア軍の撃退に成功します。その後、アッシリア王国軍に連勝していくことで、ついにアッシリアとの決戦に臨みます。この決戦には、ミタンニのクルティワザ王の親征、ヒッタイトのピヤッシリ副王の援軍もあり、アッシリアとの決戦に見事勝利し、その結果アッシリアはミタンニ・ヒッタイト連合に降伏し、これまでの信仰を破壊するやり方を撤回する事になります。その後、茜達は予定どおりバビロニア王国に向かい、シュメール王国があった場所の現在の姿を見てから神界に帰還します。




新登場人物

クルティワザ王(史実)

史実では、ミタンニ王国の最後の王の一人であり、ヒッタイト帝国の庇護を受けて即位した人物でもあります。即位後、アッシリア王 アッシュール=ウバリト1世 やその後継者による北メソポタミア侵攻によって、クルティワザの勢力は急速に縮小し、最終的に、紀元前13世紀初頭には、ミタンニの旧領はアッシリアに併合され、クルティワザの王朝は滅亡します。しかしこの物語では、茜の来援によりアッシリアの侵攻を撃退しており、ミタンニ王国の命脈が史実よりも少し伸びる形になりました。そしてこの歴史改変により、この次の時代にもミタンニ王国が史実よりも明確な形で残っている設定になっています(史実では、ヒッタイト副王領の衛星国のような形ですが、この小説では縮小していますが正式な王国として残留している設定です)


アッシュール王(史実)

アッシリア王アッシュール=ウバリト1世。古アッシリア時代から中アッシリア帝国時代への転換を成し遂げた最初の大王であり、アッシリア史における転換点を作った人物です。後の強大なアッシリア帝国の礎を築いた「国家再生の創建王」。アッシュール=ウバリト1世の登場時、アッシリアは依然としてミタンニ王国の支配下にある「属国」的地位でした。しかし彼は、ヒッタイト帝国のスッピルリウマ1世によるミタンニ制圧の機を逃さず、ミタンニの衰退を利用してアッシリアの独立を宣言。その後、ミタンニの混乱に乗じて、アッシュール=ウバリトは上メソポタミアへ進軍。彼はハニガルバト(ミタンニ東部領域)を制圧し、ヒッタイトに保護されていたクルティワザ王の勢力を圧迫します。これによってアッシリアはティグリス中流域からユーフラテス東部に至るまでの広大な地域を掌握しました。しかしこの小説では、茜によるミタンニ救援により、史実のような形にはならず、ミタンニ+ヒッタイト連合に敗れてしまいます。しかし偉大な王ですから、ここからアッシリアを復興させ、歴史通り強大なアッシリア帝国の礎を作る事になります。そのためこの次の時代ではアッシリアは再び偉大な国として、オリエント世界の覇権を得るために拡張します(アカーネがオリエント世界に降臨している間は大人しくしているでしょうが…)。



史実のミタンニ王国

紀元前16〜13世紀頃にメソポタミア北部(現在のシリア北部〜トルコ南東部〜イラク北西部)に栄えた、フルリ人を主体とする王国です。ヒッタイト・エジプト・アッシリア・バビロニアと並ぶ「古代オリエント世界の五大勢力」の一角として、青銅器時代の中核を担いました。しかし王位継承をめぐる内紛が発生し、王 アルタタマ2世/アルタシュマラ 派と、王子 シャッティワザ派が対立。これに乗じてヒッタイト王 スッピルリウマ1世 が介入し、ミタンニ王国を攻略。ヒッタイトはシャッティワザを支援して即位させ、ミタンニを属国化(傀儡王国)します。王都ワシュカンニは荒廃し、以後の王(例:クルティワザ)はヒッタイトの庇護下で存続しますが、アッシリアの台頭により縮小。ミタンニの残党は「ハニガルバト」としてアッシリアの州の一部に組み込まれ、紀元前13世紀前半には完全にミタンニ王国は消滅します。



この時代のバビロニア王国

バビロニア王国はすでに全盛期を過ぎ、カッシート王朝の中期にあたります。この時期のバビロニアは、かつてのハンムラビ王のような強力な支配力を失っており、オリエント世界における地位は「名門ではあるが、衰退しつつある古豪」といった状態でした。史実のカシュティリヤシュ4世は、アッシリア王トゥクルティ=ニヌルタ1世と戦争を行い、その結果、アッシリア軍が侵攻してバビロンを攻略。カシュティリヤシュ4世は捕虜となり、鎖で縛られてアッシュールに連行されるという屈辱的な最期を迎えます。しかしこの小説では、アッシリアは茜によってヒッタイト・ミタンニに降伏しているため、バビロンが攻略されることもなく、名門バビロニア王国の命脈も少し伸びる事になります。




現在茜が所有しているお宝一覧(神殿に寄贈された一般的な銀や宝石は除く)


原始時代

ラピスラズリの首飾り (グルガン族長より)



シュメール王国時代

小さなラピスラズリのブローチ(ルガルニル王子より)

ラピスラズリ:二籠、香油:一壺、亜麻布:十反 (ルガルザゲシ王より)

拳大のトルコ石 (ルガルニル王子より)

風のアミュレット(ルガルニル王子の形見)

大巫女の装束(シュメール王家より)



アラッタ戦役時代

アラッタの聖石(拳大のラピスラズリ)(アラッタ王国より)

星々を模した細工が施された冕冠、儀礼用のペクトラル (シュメール王家より)

拳大のマラカイト(シャラドゥムより)



ヒッタイト王国時代

太陽円盤付き金製ディアデム、ラピスラズリとカーネリアンの首飾り、金製太陽円盤のペクトラル、エレクトラム製レリーフ帯板、金製の肩留、純金製の二重螺旋バングル、印章指輪(ピヤッシリ副王より)

琥珀をはめ込んだ銀製の腕輪、トルコ石:一皿 (ピヤッシリ副王より)

アメジスト、トルコ石、メノウ:一皿、両手で持つ巨大なトルコ石(ピヤッシリ副王より)

ヒッタイト王の黄金のスタンダード(スッピルリウマ王より)

黄金製の深鉢、金箔を施した象牙の笏、“双頭の鷲”をかたどった透かし彫りの金胸飾り、大粒のラピスラズリ、トルコ石、瑪瑙:一皿(スッピルリウマ王より)



ミタンニ王国時代

ピスラズリが埋め込まれた金で編まれた腕輪 (クルティワザ王より)

金製の王印の指輪 (アッシュール王より)

アッシュール王の剣 (降伏時にアッシュール王より)

ラピスラズリの天文腕輪 (バビロニア王家より)

風文様や八芒星の神紋刺繍が入ったリネンの上衣とウール製のスカート、ラピスラズリの細工入り腰帯、八芒星のラピスラズリの細工ほ入った頭飾、薄絹の肩掛け布、 (バビロニア王家より)


挿絵(By みてみん)



その他、各時代にアカーネやユカナに奉納された銀やラピスラズリ、香油、布など多数


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