炉簿戸家のチャミ(4)紙飛行機を作ろう
ショウちゃんは、折り込み広告で一機の紙飛行機を折りました。それを縁側で飛ばすと、まっすぐに飛んで木に当たって落ちました。
「よく飛びますね」ロボットのチャミは、お父さんが洗濯物を棹にかける作業を手伝いながら言いました。
「お婆さんから教わったんだ。」ショウちゃんは、奥で詰碁をしている婆さんを見て答えました。「チャミは作れるの?」
「ええ、得意ですとも」とチャミは言いました「あとで作ってみせましょうか?」
洗濯物が干し終わると、チャミはA4用紙を持ち出して、紙を折り始めました。でもその作業は、ただ紙にひたすら折り目を付けてるだけのように見えました。
「紙がしわしわになるだけじゃない」ショウちゃんは不満そうに言いました。
「いえ、これからですよ」とチャミは、折り目に沿って紙を折り始めました。ゆっくりと正確に折ってゆきます。白い紙はすこしずつ姿を整え始めました。
やがてチャミの手の中に、まるでプラモデルで作ったような緻密な旅客機の形をした折り紙が乗ったのです。
「凄い、本物みたい」ショウちゃんはごくりと唾を飲み込みました「これ、飛ぶの?」
「いえ、飛びません、でもこれも紙飛行機です」