夢色キラーズ-3-
ホケキョッキョー!!!
どこからか聞こえてくる、鳥の声……
鳴かぬなら、私が鳴こう、ホトトギス……
「いやぁ〜今日もいい天気だね!」
「ホント〜あの雲に乗ってどっか遠くに行きたいわ〜!!」
中学からの親友、泉夏帆。夏帆は初めて会った時から何となく友達になる予感がしてた!そんなベストフレンド。
別々の高校に上がった私たちは、よく電話をかけては近況を報告している。今日は2限目の終わりに電話をしていたのだ。
Twitterのことを話すと、夏帆は
「それ絶対また来るよ!来ないはずがない!」
そう、予言してきたのだ。この予言により、私はこの後7限までハッピーに過ごすことが出来た。
放課後のホームルームが終わり、みんなが下校していく。
じゃあね〜、またねー!
一緒にかえろーよー
お前今日部活サボんなよ!!?
そんな和気あいあいとした声が聞こえてくる。
羨ましいなと思いつつも、その中に入ってしまえばこの夢が壊れてしまう気がしたんだ。やっと見つけた私だけの夢。あの日、君に出会ったから、この夢を見つけられたんだ。
(孤独なんてつきものだ!!!)
そう言い聞かせ、今日もアルバイトへ向かった。
「おはようございまーす!」
「オホンッおはよう、柚木さん。昨日はよく寝れた?今日はね、柚木さんにお話があって……ちょっといいかしら?」
なんとなく察してはいたが、いま非常にお腹が痛い……
「店長、少々お手洗いにて私の腹部を威圧するものどもを綺麗さっぱり流す作業をしてきてもよろしいでしょうか」
「お行きなさい……」
トイレ事情には寛容な店長が許容してくれたおかげで、私は叱られる前の心構えが出来た。
「ふぅ……」
と、そこに現れたのは昨日の男子校生!!パート2!!
「あ!昨日ラムネボーイを助けてあげたあの男子高校生!!」
「いや、ぼく男子高校生じゃなくておじさんだよ……35歳だし……」
「えっ……」
驚愕の事実を知ってしまい、おじさんに不信感を抱き始める。
「もしかして、男のコが好きな方……とかですか?」
「いや(笑)ちがう(笑)なにそれ(笑)」
クールぶっているかと思いきや(笑)マークを乱用してくるこのおじさん。悪い人ではなさそうだ。そう、柚木は判断したのだった。
「とりあえずレスキューおじさん!昨日の男子高校生のこと知り合いなんですか?」
「あ〜あの子、俺がベース教えてた子なんだよ。最近やめちゃったけどね」
なんたる偶然!!!あわよくばおじさんも私の音楽仲間に……!!!
「でもまた再開しないかな〜なんて思ってる。あの子、センスあると思うから。絶対大丈夫だと思うんだよね。まぁ、未来はあの子のもんだから僕はとやかく言えないけど……」
僕と俺を使い分けるそのおじさんは、少し切なげな表情をしていた。きっと本当は男子高校生が音楽をやりたいことを知ってるんだ。でも、未来に希望が持てない……とやめてしまったみたいだ。
「どうしたら、男子高校生の音楽の未来が見えますかね……?」
「オホンッ!柚木さん!?」
やばっ!店長の存在忘れてた!てかバイト始まっちゃう〜(汗)
「ででで、ではっ!また!」
レスキューおじさんにうしろ髪ひかれながらも別れを告げ、私は店長に叱られるべくスタッフルームに入った。
「えー、昨日のことですが。本来ならばSNSにバイトのことを書くのも禁止。だけど、いまコンビニ人手不足だし、柚木さんもやる気ないわけじゃないから、昨日のことは許すとします。だから、今後は書かないでね?」
「わかりました!!すみませんでした!!」
心の中でガッツポーズをするも、私の居場所はここじゃない……そんな気持ちで溢れている心の虚しさを、何かで埋めたくて仕方がない柚木であった。