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夢色キラーズ  作者: 神山せりあ
1/3

夢色キラーズ-1-




キーンコーンカーンコーン



放課後はアルバイト!本当は、歌手になる夢を叶えるために音楽関連のバイトがしたかったんだけど、なかなか巡り会えなくてコンビニバイトを始めた高校1年生、柚木ひな。



今日も華麗にアルバイトに行ってきま〜す☆



「それこの前も間違えてなかったっけ?」


「すみません!!!!」



店長の土方さんに叱られる日々。


この私、音楽以外にはもっぱら興味が持てなくて、コンビニのアルバイトでもミスばかり連発してしまうのだ。


どうしたらこの問題が解決出来るのだろうか……



「いらっしゃいませ!」

ニコニコの笑顔を向けると、そこには無愛想な面持ちで、制服を着た男子がいた。手にはマイクラムネ。まさかこの男子、歌手志望!?☆



「お会計106円です。」

そう告げると、111円をコイントレーに置いた。ここは田舎。まだセルフレジという高性能ハイスペックレジは導入されていない。


「5円のお釣りです。ありがとうございました!」

お釣りを5円にするためにお金を出すところ、ものすごく男子感があるなぁ……そんなことを思いながら、マイクラムネだけを購入した男子のことが少し気になり、視線だけ彼のことを追いかけていた。



すると、




ドサッ……!!!




!!!?

彼が床にひれ伏すかのごとく倒れてしまったではないか。



「大丈夫ですか!?きゅ、救急車!!!」



手に握ったマイクラムネだけは一向に離す気配もなく、ただ小さな声で



「あ……あ……」



と、何かを伝えたそうな様子だ。しかし、レジ付近で倒れている人が現れた場合、まずは店長に報告!



「店長!店長ー!!!!!!」



店長を探すが、一向に現れない。



「店長!!!人が倒れました!!」



すると、トイレの方からこう聞こえてきた。



「私もいま下痢で倒れそうなんだ!勘弁してくれ!!!」



いきなりいなくなったかと思えば、腹痛を患っていたのか……仕方ない。ここは自分で対処するしかない。呼んだことのない救急車を呼ぼうとした途端、不安で早まり出す鼓動……先ほどのマイクラムネボーイの元へ駆け寄った。



「さぁ、これを食べなさい」



男子高校生と思しき別の男子が、先程の男子高校生にマイクラムネの中身のラムネを食べさせてあげているではないか。



「あ……開いた……」



話を聞くとどうやらその男子高校生は徹夜で何も食べずに勉強をしていたところ、急にふらつく感じを覚えたため、ブドウ糖であるマイクラムネを摂取しにコンビニへやってきたのだが、力尽きてラムネのフタを開けられなかったようだ。




「あはははははは!!!」


それを聴いて爆笑するしかなかった私は、笑い転げてしまった。


「いや、マイクラムネ以外にも普通のラムネありましたよ!笑 なぜマイクラムネ!笑 私、なんかうた歌ってる人なのかな〜と思って気になっちゃいましたよ!」



そう言うとその男子高校生は言った。


「ちょっと前までベースやってたんだ。音楽で食っていけたらいいけど、そんな夢見てたって仕方ないから勉強に打ち込んでるわけ。まぁ、ちょっとやりすぎたけど」


「じゃあ、ホントは音楽やりたいんだ?なら、一緒にやろうよ!!」



目を丸くしたその男子高校生。その横で何かを訴えかけたそうな別の男子高校生。



「あの、なんでもいいんだけど、重いから退いてくれない?あと、レジ、並んでる」


「わぁ!!すみません!!!!!」



相変わらずドジをしてしまい自分が嫌になる……わざとじゃないんだよ(泣)目の前のことに興味がありすぎて忘れちゃうだけなんだよ……



レジに戻り、2人の男子高校生は自動ドアの奥にある夜の世界へと消えていった。きっともう会うことはないんだろうな……



ちくんという胸の痛みに違和感を覚えながら、自動ドアが開くたび、いつもとは違う胸の高鳴りを感じてしまう柚木ひなであった。

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