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2 地方オーディション開始




 3年程受けていた王子妃教育を修了したメロディは、ついでに学園も卒業することにした。例のボーイズグループのプロデュースに専念すると決めたのだ。本来の予定では学園の卒業式は半年も先だが、優秀なメロディは、最終学年に進級した時点で既に卒業に必要な単位を全て取得していた。そんなメロディが「これから忙しくなるので、一足先に卒業したいのです」と申し出たところ、学園長は将来王子妃となるメロディが婚姻前にプレ公務を行うのだと勝手に勘違いし、どうぞどうぞと快く半年早い卒業を認めてくれたのである。




 こうして同級生より半年早く学園を卒業したメロディが、まず向かったのは、王都よりずっと南に位置するフクオーカ領であった。予め領主に協力を求め領内に触れを出してもらい、新たに結成する歌とダンスのボーイズグループオーディションに参加する若者を募っている。ちなみにメロディはこのオーディションを行い、そしてボーイズグループをデビューさせる為に個人資産から10億エーンを出資して芸能事務所を立ち上げた。歌のプロやダンスのプロもスタッフとして雇っている。祖母から譲られた銀山を個人資産として所有しているメロディは大金持ちなのだ。10億エーンは彼女にとっては痛くも痒くもない出資金額であった。


「フクオーカ領最高!」

 オーディションがスタートする前夜、既にメロディのテンションは爆上がりしていた。地元の領主館に前泊したメロディとスタッフ一同は大変な歓待を受け、フクオーカ領の海の幸を堪能したのである。

「こんなに食べ物が美味しくて明るい領民性のフクオーカ領の応募者は期待できるわね! きっと芸能人に向いてる子が多いはずよ!」

 メロディの読みは当たり、翌日のオーディションは1次審査とは思えないほどレベルの高い応募者ばかりだった。審査をしたメロディは、その日何度も「才能を見つけてしまった!!」と叫ぶことになったのだ。興奮したメロディがスタッフ会議を待たずに、その場で応募者本人に「次はヤマナーカ湖で会いましょう!」と独断で2次審査(ヤマナーカ湖畔にある侯爵家所有の別荘での合宿審査)進出を告げてしまい「メロディ社長~!?」とスタッフに怒られる一幕もあったが、それでもフクオーカ領オーディションは無事終了した。


 次にメロディが向かったのはオオサーカ領だ。オーディション前夜はやはり領主館で歓待されて盛り上がった。粉モンが美味しかった。そして、ここでも素晴らしい才能を持った応募者に出会えた。

 その次にメロディ一行が向かったのが、ナゴーヤ領だった。そのナゴーヤ領のオーディション会場でメロディは叫んだ。

「どうした!? ナゴーヤ!?」

 いやはや、何せ凄かったのだ。この領の応募者達の歌とダンスのレベルが。

 本当にこれでアマチュアなの? と疑いたくなる素晴らしい歌やダンスを披露してくれる応募者が次々と現れ、メロディは腰を抜かしそうになってしまった。ホントにどうした!? ナゴーヤ!?

 その後、北のサッポーロ領でもオーディションを行い、メロディは大好物のウニとイクラをたらふく食べて上機嫌で王都に戻ったのである。



 地方でのオーディションが終わり、ようやく王都での1次審査が始まる。人口の多い王都は応募者も多く、他の領では1日しかかからなかった1次審査に3日も費やすこととなった。王都の応募者はさすがと言うべきか、洗練された者が数多くいた。即戦力として活躍できそうな現役の舞台役者や大陸ヒップホップダンス選手権の優勝経験者まで現れ、メロディはホクホクだった。

 そして、王都での一次審査は最終日3日目を迎えた。今日はどんな才能に会えるだろうか。


「それでは次の方、どうぞ」

 進行役のスタッフに呼ばれ、キョロキョロしながら審査スタジオに入って来た男子を見たメロディは仰天した。

⦅ パトリック様!? 何してんの!?⦆




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