プロローグ表
初書きです。
ここは大企業コルサによって発展し続ける街アルトナシティ、しかし発展を光とするなら甘い蜜を啜ろうとするための闇が出てくるのは当然のこと、ここはそんな闇の集まるフィルゴ地区、そんな場所に構えられたストルダ探偵事務所に今日も今日とて事件がやって…こない
そんな探偵事務所にて少女が3人ポーカーに興じていた。
「僕はレイズさせてもらうよ、君等はどうする?」
挑発をするように橙髪で翠眼の少女は言った。
「ラーは良い役のようですね。なら私は降りますよ。」
挑発を受け流すように桃髮に茶眼の少女は手札を開示した。
「わー、フィーエルのブタじゃん!どっちにしても降りる気だったんじゃないの?」
そう訊ねたのは黒髪に青のメッシュ、灰眼の少女だ。
「ケイとは違いますもの、ハッタリでもしようと思っていただけです。」
「ハハハ、バカにすんなよ、フィーエル!!」
小馬鹿にされた黒髪の少女ケイは怒鳴った、けれど声とは裏腹に笑っていた。そんな二人に痺れを切らしたように橙髪の少女ラーは言った。
「フィーエルが降りるのは分かったけれど、ケイはどうするんだい?まあフィーエルと同じく降りてくれて構わないんだよ、なかなか良いカードだからね」
と不敵な笑みを浮かべるラーにケイは
「コール…いやレイズするよ!」
「ラーの様子を見るに降りたほうがよろしいと思いますのに」
「いーやだって、ラーのレイズはハッタリだ、ほんとに良い手ならもっとあくどい感じに進めようとするはずだからね」
「確かにそういう所はありますわね…けれど本当に良い役が揃っている可能性もありますわよ?」
「まあその時はその時さ、それにフィーエルが降りている時点で最下位は無いもん」
「ククク、確かに負けてもケイのチップは僅差でフィーエルよりも多いからね。でもそれは僕がコールしたらの話だろう」
最下位にはならないと自信満々に言うケイに水を差すようにラーはそう言った。
「さらにレイズしよう。さあどうする?コールすれば君が最下位になるだろう、ドロップしてもフィーエルよりかは多いんだからね」
ラーはクククと笑いながら、ケイに案に逃げてもいいんだよと言う
「クゥーっ!やってやろうじゃん!!ここで逃げたら女が廃る!」
そんな挑発に乗ってしまったケイを見て、予想通りだと言わんばかりのラーだった、だがそれもすぐに顔色が変わる事となった。
「アタシは全賭けだよ、残りの全部賭けてやるよ!」
ケイはオールインしたからだ。全く予想だにしなかった状況にラーも思わず慌てふためいた。
「本気なのかい?ここでオールインなんて、ひょっとして本当に僕のをただのハッタリと思っているのかい?」
「どうかな、いいからどうすんの?乗るの乗らないの?」
しばしラーは考え込み、そして全部のチップを出した。
「いいともそこまでするのなら僕もオールインだ、負けても八つ当たりなんてしないでくれよ?」
「そうですわ、八つ当たりなんてしないでください。それと私は最下位の罰ゲームの掃除1ヶ月分はお手伝いしませんからね」
「しないよ!吐き捨てた唾は飲み込めない、そんなことしちゃえば女が廃るからね」
諌めるような二人にケイは覚悟をした表情で言った。
「ではラーから手札の開示をお願いしますわ」
フィーエルからの指示にラーは手札を開示した。ラーの約はハートのフラッシュだった。
「この通り僕はハートのフラッシュだ、さあケイ君のカードはどうかな?」
勝利を確信しているラーは急かすようにケイに言った。
「フフ…フフフ、アッハッハ!アタシの勝ちだ!」
突如大声で笑い始めるケイ、そして開示した手札にはスペードの10·J·Q·Kにそしてジョーカー、まごうことなきロイヤルストレートフラッシュだった。
「‥嘘だろう、そんな自信があったのに…」
「あらあら、予想外の結果になりましたわね」
愕然としたラーとあっけらかんとしたフィーエル
「いやー普段の行いってやつかな!、これでラーは掃除1ヶ月よろしくねー」
「くぅ…仕方無い、ところで二人ともモノは相談なのだが…」
「あら、ダメですわよ。ケイがおっしゃっていたように吐いた唾は飲み込めないものですわ」
「そのとーり!!最初に決めた通り、変更は認めませーん。今日からよろしくね」
出鼻を挫かれたラーはまだ何か言いたげであったが、そんなラーを尻目に二人はどこかへ出掛けようと準備をしていた。
「あれ二人とも何処へ行くつもりなのかな?」
疑問に思ったラーに
「フィーエルと一緒に祝勝会に決まってるじゃん、時間も押しちゃってるから」
「ちょっとケイ…」
二人で祝勝会、時間が押している、そんな言葉に引っかかりを覚えるラーはある事に思い至り糾弾した。
「まさかイカサマをしたのかい!?二人で示し合わせて僕が最下位になるように」
「アハハ、イッタイドコニショウコガアルノカナー」
「……」
あっけらかんとした様子で言うケイと気まずげなフィーエル、其の様子を見てよりハメられたという確信を持つラー
「…君等がイカサマをしたという確信はあるが、悔しいことに決定的な証拠ら無いからね、おとなしく罰ゲームは受けよう」
心底悔しそうに渋々ラーはそう言った。
「ハハ悪いね、じゃあ行ってくるねー!」
「…それでは行ってきますわね」
そうして二人は楽しげに出掛けようした、そのとき突然扉が開かれ男が怒鳴り込んできた。
「お前ら、仕事があるのに何処へ行く気だ!」
怒鳴り込んできた男は3人の雇い主でありこの探偵事務所の所長であるストルダだった。そんなストルダを見ながらケイは
「いやー所長、そうは言っても無いものはどうしようもないじゃん」
あっけらかんと言ってのけた、実際ケイの言う通りこの事務所は普段は閑古鳥が鳴いているくらい依頼が来ない事務所である。
「だったら探してこーい!」
図星をつかれたストルダは顔を真っ赤にしながら怒鳴った。
「じゃあ、祝勝会ついでに探してきまーす、うちに依頼するような物好きがいればですけど」
「そんな言い方はよしなさい、いくら事実であっても口に出してはいけないものよ」
一言多いケイとそんなケイに呆れた様子のフィーエルはストルダの横をすり抜けながら出掛けていった。
「お前らなー!!せめて逆だろ!!」
「まあまあ所長、あの二人ならきちんとやってくれるさ、見つかるかどうかは別としてね…」
「はぁ…お前も一言余計だぞ…」
諌めるようにトドメを刺すラーと何を言っても無駄だと諦めた様子なストルダがあとに残された。
この物語はこんなマイペースな少女達とそんな彼女達を雇う探偵の普段の日常である。
いやこれはあくまで彼女たちの“表”の日常でしかない。そう、この街のように光があれば闇があるのと同じく彼女たちにも“表”があれば“裏”があるのだ。
誤字脱字報告はどんどん指摘ください。
色んなものに影響受けてるので、あれに似ているこれに似ているがあるかもしれません。それでもまるっきりパクリだと言われないように頑張っていきます。