お前は、平和の中で平穏に生きて欲しい。
※作中、分かってる友人への手紙の体裁なので分かりにくいですが。
1960年代に太平洋戦争を回顧している内容です。
※スペインと最初期に本格的にドイツが共闘した関係で、スペインとドイツが後の国連常任理事国になってる。
※スペインは、本来の枢軸よりの中立じゃなく、枢軸→連合よりの中立で仲介した感じ?
ゲルニカのあれこれの時期は完全にドイツよりだった。
※その関係でプロイセンが史実より存命しちゃった世界軸。
※超能力が存在しているが世間的にはないもの扱い。
なので、リアル歴史と微妙にズレがある。
※なので、お題2の関係で事件があったんだけど書けなかった。
ノリは、ダブルクロスのウィアードエイジステージかアラビアのロレンス的なアクションが普通な世界軸。
※ついでに言うなら、ダブルオーナンバーが実在する世界。
俺は、クリフォード・ソロモン=エンデファング。
誰が読んでるか知らないが、まぁ、無関係ってことはないだろう。
俺の想像通りの中身が読んでることを祈る。
まぁ、エンデファングであるだろうがな、
そうそう、第二次の頃のイギリス系統の軍閥貴族な。
兄貴が甥っ子にもう数年したら、家督を譲るだろうなってとこな。
もうすぐ、東京でオリンピックやるからそれまでにはってトコか。
そうなりゃ、陛下の代理で観戦しにいけるだろうしな。
あ、俺自身は親父がそうだってだけで、普通に政府関係の役人してるぜ?
某マイク=ロフトさんみたいにな。
今だって、国連の理事やってるし。
それでも条件付けで読ませない程度は出来るしな。
まぁ、どうあっても、一族のお前には会えないだろうからな、なんせ、アラ還だ。
会えて、よちよち歩きだろうな?
まぁ、今は、あの泥沼の第二次世界大戦が終わって二十年ほどってところだ。
表向きですら、被害はまぁ、泥沼の天文学的数字とでも言うのかね。
そういう戦争だった。
全体数が少ないけど、貴族の友人も何割か戻ってこなかったしな。
良くも悪くも、アホなんだよ、貴族は。
何が、《高貴なる義務》ったってな、生きてこそなんだ、生きてこそ。
……裏側では、俺のような弱能ですら駆り出されて、我が国のドン・ファン野郎の007みたいな御伽噺じみたスパイアクションを繰り広げてたわけだ。
当時十歳にもなってない甥っ子のアル坊、俺の母親に良く似た可愛い可愛い甥っ子はそれこそ欧米を駆け巡ってた。
確か、あの馬鹿げた浪漫主義の集大成の戦艦・大和を出港させないって任務もあったらしいな。
戦後復興の為に使える鉄を残す為もあってな。失敗してあのクソの沖縄戦含めた時間稼ぎに使われちまった。
言い方悪いが、43年のうちに講和条約しとけば良かったんだ。
馬鹿デカイコルトの威力をワルサーで出しちまうような変態国家とは言え、地力が違う。
ドイツが途中で分かれたがスペインと仲良くやって、今じゃ、国連の常任理事国になってる辺り、うまくやったなこの野郎って気分だが。
プロイセンも、40年早々に潰れるかと思ったが10年前まで持ったもんな。
日本の場合、石油なんかが輸入のみだからな、うん。
良くも悪くも、不器用と言うか要領が悪いというか、頑固と言うか。
叔父貴も当時国連にいて、リアルタイムでハルノート関係で国連を脱退した時は、膝叩いて喝采したぐらいだからな。
あれだ、変えられないとしても、死した飢狼の自由を、だな。
我が国の行った上海や香港よりも、酷い状況での特区下だったろうな、良くも悪くも。
黄色い猿が媚び諂うでもなく、欧米諸国に追いつこうとしたってんだから、あまり良く思ってなかったんだろうぜ、後々の東京裁判を見るとな。
まぁ、あのチャイナ最後の皇帝サマのように数百年前の装備を下げ渡されて喜んでるなら終わってるけどな。
俺のばあちゃんが、土方姓の日本人だったせいもあって入れ込んでるのは自覚してる。
叔父貴は言わずもなが、だな。
おセンチだが、戦わずに亡国になるよりは戦って亡国にだな、我らが『×××』のように。
正直な話として俺は軍閥貴族家系っても、どっちかと言うと銭勘定が好きな商人系と言うか文官系な訳だ。
まぁ、英国紳士な以上は、喧嘩は売られたら倍率ドンで買うが。
後、大切なものを守るのに立ちふさがらないアホは英国紳士じゃねぇ。
嗜みとして、サバット、あ、最近のお座敷剣法じみたボックス・フランセーズだけじゃなく、ラ・カンやリュット・パリジェンヌも達人クラスで修めてるからな。
ボックス~が、一般的な靴を履いたままの手足の届く範囲での殴りあい蹴りあい。
ラ・カンが、杖を使ってやる奴で、リュット~が関節技込みの殺し合い系統だな。
それで、一応、軍籍はあれど会計と言うか、マジに緋鞘どころでなく後方なんだわ。
だから、キングストン弁って言われても、艦長室にあるなんか部品か?って答えるぐらいには疎い。
(※最後の栓、抜いたら沈むヤツだよな?)
疎いんだが、日本の戦艦運用は浪漫主義だって言われてもしかたねぇと思う。
当時、と言うか、第一次世界大戦以降は、ミスター・カプローニには申し訳ないが飛行機を軍事転用する動きが活発だった。
軍艦を艦隊で動かして、殴りあうよりも、空母で運んで其処から飛行機飛ばして殴りあうなり爆弾落とすなりした方がコスパ的になぁ。
具体的に言えば、戦艦大和。
あれの主砲・46インチ砲。
馬鹿げたサイズで数回連続して撃てば使えなくなるって言うそれの予備数本で戦闘機一機作れるコストって言えば分かるか?
それは大げさにしても、霧島が戦艦同士の殴り合いで沈めたのが奇跡だってぐらいに、第二次世界大戦の艦隊戦は離れて艦砲を撃つか、飛行機を飛ばしてのそれが主流になってたんだぜ、当時は。
ノリで言うなら、三分の二を船で運んでそこから日本を焼いた方が油の量、節約できるんだぜ?
なのに、露助からの勝利の美酒が忘れられなかったんだろうな。
下世話な話、デカイだけの砲台よりも、威力はともかく手数で奥の奥に侵入した方が国も女も落とせるもんだと思うぜ?
あー、うん、ヤンキー共の長門や酒匂、オイゲンなんかを的にしたあれなぁ。
正直言って、アメ公とは戦争もしたがイギリス、うちの子どもみたいなもんだけどもな。
陛下も感情的になるほど、あれはない。
うちで言うなら、我らがイギリスの偉大なる女王陛下の名前を冠したクイーン・エリザベス級戦艦をそれにされるようなもんだぜ?
長門なんか、ちょっと、仕事で日本に行った叔父貴が分かる程度に愛されてた。
だからなぁ、一応、仲良くしトコはあるけど、陛下がガチキレしてたからか、ちょっと距離がある。
なんか理由あれば、切り付けあうんじゃないか。
コルタナを使う気満々だしな。
ここ二百年は使ってないから、アメ公を立ち直れない程度にはボコボコに出来るんじゃないかね。
おう、腐っても、本物の数少ない魔術道具だからなあれは。
俺ら、つか、イギリス紳士ってのはそういう誇りでメシ食ってナンボなところあるからな。
少なくとも、日本人の心を折るためとは言え、あれはない。
そのせいもあって、同じ常任理事のドイツともアメリカともフランスとも主義主張が同じ民主主義系なのに仲良くないからな。
むしろ、ロシア・中国にすら近い。
アメ公も下手撃ったな、そりゃ、一発撃たせてそれを理由に戦争にするのはお家芸だけども。
我がイギリスとも茶会事件でそうなったが、その後始末がアレじゃな。
控えめに言って、日本贔屓までは行かなくても、敵の敵は敵じゃなくてもああなるわな。
少なくとも、イギリスの権益を装って助ける程度には、だ。
アメ公一強にはさせねぇよ、オリエントの覇権のように新興国と組み合った古豪のように、いや、ポシャったEU思想を現実にしてでも、アメ公に食らいついてやる。
冷戦?
はっ、殴りあってこそだぜ、戦争はな。
痛みのねえ殴り合いは、ただのダンスだぜ?
あー、まぁわかってんよ、おセンチでカスな思考だってな。
所詮は勝った側の勝手な同情だってこともな。
一応、お前を看取ったことを含めて色々あった。
一族に出た犠牲者の中で死んだ甥っ子の次の次ぐらいに若かったからな。
女で若いとなったらお前ぐらいだ。
十五歳十六歳か?
なんせ、女で出た犠牲者の次は、俺のすぐ上の姉0だったから、アラサーだわな。
1939年に始まった二つ目の世界大戦。
なんつかな、一つ目の大戦で戦争は大きく変わった。
その三十年前に、狐狗狸盤で切り裂きジャックを追いかけてたような時だったのに、今じゃ迫害して追い立てて行った俺達のような異能力者に頼る始末だ。
飛行機と同じく、有用なら使ってやろうってことだろうな。
相変わらず、表向きは無いことになってる。
そうなってるってことは、死んでも別の理由になるし、一般兵ならそれこそ存在ごと無かったことになる。
一応、色々伝手をひっくり返して、ボンペイ程度に珍しかろうと実在する能力者として生かしたい。
人とは違うだろうが、それでも、走るのが上手いとか手先が器用とかと何が違う?
フェネコードじゃないが、ド級の大和三番が紀伊じゃなくて信濃になったこともあった。
(※それに関しては、未だに機密に入ってるぐらいの事件と言うか、事故があったんだが、ほらあれだ、1939年って言うと将校のクーデターあったろ、直近に。)
(※表向きは、電信で聞き分けにくいから先に信濃を使おうぜ!!ってなって後から迷って、四番艦が紀伊になったらしい。)
だけどな、手先が器用とかと同じような体質で使い潰されるのは違うだろう?
なぁ、ローゼ、お前もそれだったもんな。
俺みたいな弱能が死ねば良かったんだ。
系統は一緒だったしな。
なんにせよ、今度こそ、お前は平和の中で平穏に生きてくれよな。
親愛なる姪っ子 ローゼマリー・ヴィルマ=バウムモルゲンへ
戦友 クリフォード・ソロモン=エンデファングが回顧録として記す。
「馬ッ鹿だよねぇ、大叔父殿。」
そして、現代。
数年前に大きな裏組織が壊滅した2010年ごろ。
エンデファング本家の現当主・アルバートの次男の次男、孫の一人がそれを呼んでいた。
アルティオス・ローレンス=ヴァリード・エンデファング、日本名・裄瀬有兎。
歴とした成人男性だが、地声がきゃぴるんとした高い声のせいか、女王陛下の刃の家系でありそういう稼業の時は女装を好む青年。
今とて、本家からの仕事帰りに祖父から渡されたのだ。
『自分』からすれば、大叔父だ。
そして、懐かしい名前、大正のあの日本の術者家系に生まれて死んだ後、エンデファングのドイツの分家に生まれた時の名前だ。
うっかり、十五歳になった辺りで早々に死んだが。
確かに能力はそこそこだった。
覚えている人はいるとは思わなかった。
だから、彼は一言だけ言うのだ。
「おやすみなさい、クリフ。
さようなら、次の生が良き物でありますように。」
※一応、貴族英語にコックニーが混ざって、更にドイツ語も混ざったのを日本語に訳した感じ?
露助も、「真っ白田舎者」的な英語罵倒を訳してる。