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能力

多くの生徒がこちらを見てくる中、

「ああ、わかったよ。消えるよ」

そう言って、僕は文字通り、消えた。

まあ、自分が消えたという自覚はない。

自分自身の体、透明化してる対象は透明化してても見ることはできるから。

だからこそ、透明化してると思って油断しちゃう人も多いみたいだが。


あたふたとあたりを見渡すこいつを見てると無事に発動してるみたいだ。

やがて、少女はもう、どうしようもなくなったというふうに

「ええっ。本当に消えちゃった。もしかして、超能力者? 」

とところどころ噛みつつ言った。


・・・嘘だろ。

こいつ、ここが能力者高校であること知らなかったの?

もしかして、と思いつつ、仕方のないことかとも思う。

多分、僕みたいに突然能力が発現したとかなんだろうな。で高校生からここに来たとかか。



しかし、このままだとやばいな。周囲から奇異の目で見られている。

高校生活、かわいそうな目で見られるのが正直きついものがあるだろう。

そろそろ透明化から出ないとな。

透明化から出ると、その女子中学生は、明らかにほっとしていたが、すぐに顔を引き締めた。

そして、

「焦ってなんていませんよ!」

と強く言った。

今までの態度的に焦ってただろうと思ったが、それは言わずに問いかけた。

「ここは能力者高だってこと、知らなかったの? 」

「知ってますよ。もちろん」

そいつはあごをしゃくって答えた。

もう後には引けないのか知らなかったことを必死で隠そうとしてる・・・。

その証拠に

「超能力というのは、日本人のうち、1000人にひとりぐらい発現する力で、実際には起こしえないことを起こしうる。突然起こった能力者の反乱で能力者は世界の敵となった。だけど、能力って便利よね。だから世界のあらゆる国が能力者を抱えているという疑念に駆られ、戦争が勃発した。そんななか、隠れている能力者をまもるために秘密裏につくられた能力者のしんせかい。で私たちは一期生。違う? 」


急に超能力者についての知識を早口でまくしたてた。

最後の「違う? 」のあたりとか半ギレ気味だったし。


どうやら、自分の認識が正しいか聞いているようだ。

その証拠にじいっとこちらを見てくる。

なんだか急かされているような気分だ。


まあ、一応ニュースをみてそれぐらいは知っている。

僕みたいな能力者は命の危機にさらされたから特に。

だから、自信を持ってこう言った。

「そうだ。それであっているよ」

すると彼女は

「あっ、そう。よかった」

と安堵して、すたすたと素早く歩いて去ってしまった。

なんだったんだ。あいつ。

そうみんなも思ったのか、そいつが去っていく方向を見てから、僕の方を見てきた。

恥ずかしくなったので走って逃げた。


それからも学年集会やら全校集会で彼女の姿を見かけたが、あれっきり話すこともなかった。

まあ、別のクラスの女子とか接点がまったくないしな。

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