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恋愛リモート  作者: クリア
第1章届く想い
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ストーカー的思考と優しい姉

「愛理~、今日の授業疲れた!?古典の先生私ばっかり当てるし。何っ、私に恨みでもあるの?」

「しょうがないよ、だって理沙は学年トップの優等生だもんね」

 私は優等生という言葉に少し優越感に浸ったが古典の事を思い出し少し苦笑いした。

まぁ、古典以外は満点だけどね。古典以外は……。

古典の点数に対して少し劣等感を感じて頭を抱える。

愛理はそんな私を見て、シタリ顔をした。

「優等生でもミスっちゃうんだよね。古典だけは」

 私の心をえぐるように欠点を指摘する。

私だって頑張ってるんだ。

毎日毎日、古典の勉強をしてるのにまるで拒絶反応の様に古典を暗記した記憶だけがスッポリと抜けてしまっている。

これはもう呪いのようなものなんだと思う。古典の勉強は毎日してるから皆にはとやかく言われないけど、愛理には沢山迷惑をかけたと思う。色んな意味で……。

「まぁ、愛理には敵わないよ。勉強しても古典はこの程度、百点には到底敵わない。こんなんじゃ優等生という地位をすぐ誰かに奪われかねないね」

全教科満点の奴なんか現れたら私、絶対太刀打ちできないよ。

 そんな私をほっとく様に愛理は近くの席の名坂恵(なさかめぐみ)と話し始めた。

名坂さんと愛理は結構親密な友達関係らしい。愛理と話している名坂さんはニコニコと笑っていた。

「はいはい、私は無視ですか。もうっ、いいもん」

私はそう言って机に頭を乗せてふて寝した。

-仲良さそうな二人の笑顔を見ながら-


          ■     ■     ■



 今日は放課後の帰りに森木君を見ていた。

愛理が友達といてムカついていたとかじゃないけど私はストーカーの様に隠れていた。

まぁ、そういう時もあるというだけだ。

森木君はいつものように私をスルーしている。

眺めているだけでいいって訳じゃないけど、今はそれしかできない。

「今日もかっこいいなぁ」

愛理には黙ってきちゃったけどいいよね。だって、陸上部で忙しいから絶対来ないはずだから……。

 森木君はケータイを片手に持って歩いている。

それを遠くで覗き見た。

視力の良い私ならかなり遠い距離から離れているけどちゃんと見れるはず。

 森木君の携帯の画面に目を集中した。

どうやら、私は目がいいらしい。

見えたものは携帯のメールアドレス欄だった。

女子の名前は見えなかったけど男子の名前がずらっと並んでいた。

 一瞬、森木君が後ろに振り向いた。

ヤバい、見つかる!

私はケータイを見る体勢から即座に近くにあった電柱に隠れる体勢に変えた。

隠れながら森木君を見るとニヤッとした顔をして、そのままどこかへ行った。

えっ、今さっき……。

何が起きたのか分からなかった。

ニヤッとしたのは分かった、でも何で後ろを向いてニヤッとしたのかという心意が分からない。

 心意が分からないまま私は自宅へと帰った。

「理沙ぁー、やっと帰って来た!どこ行ってたの?」

野坂瞳(のさかひとみ)、つまりお姉ちゃんがウザい絡みで私に抱きついてきたのだ。

「お姉ちゃん何っ、いきなり!」

「姉はいつもウザい生き物なんだよ。つまり、心配性なの」

「心配性は度が過ぎると嫌われるよ」

「理沙はいつも冷たいなぁ」

抱きついてきたお姉ちゃんの手を払って、私は自分の部屋へ行った。

「何でこう、私って上手くいかないんだろう」

お姉ちゃんは優しすぎるけどお母さんは私に対して酷いし。

森木君は振り向いてもくれないし、私は一体どうしたらいいんだろう。

「そのままでいいよ。そのままの理沙、ありのままの理沙で……」

お姉ちゃんの一言で私は少し温かい気持ちになった。

「母さん帰って来たけど。下行く?」

「まだ、ちょっとここにいる」

私はお姉ちゃんが去った後ろ姿を見ながら、電気を暗くして昔の自分を思い出していた。

これがいつもの私の元気注入方法、明日になったら嘘みたいに元気になっている。

これをしないと元気になれないし、隠れている自分が悪いのだが好きな人にガン無視されてる気分で落ち込む。

明日になったらきっと大丈夫だよね?

 黄昏タイムが終わってリビングの机の上に母の作った料理が沢山並べられていた。

見た目はすごくおいしそうだが油断はならない。その中には変な物まで入っているのだから……。

「そんなに警戒しなくても……。瞳がいるんだからそんな事しないでしょ」

そういえばお姉ちゃんがいる時は食事に超絶激辛エキスを入れないんだった。

私にはするのにお姉ちゃんにはしないなんてちょっと理不尽。

「警戒……、そんな事って何?」

お姉ちゃんが話を聞きつけて疑問符を母に投げつけた。

母は何も知らない振りをするかの如く、作りかけのパスタにガーリックパウダーを振りかけていた。

「なんでもないのよ。なんでもない」

「お母さんお腹空いた。もう、食べていい?」

「いいわよ」

そういえば、なんであの時森木君は私の方を見てニヤッとしたのだろう?

 そばに置いてあった酢豚を食べながら前に起きたことを考えていた。

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