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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

赤ずきんちゃんと狼ちゃん

作者: 結雨

薄暗い森の中を、赤いずきんを被った6歳位の少女が歩いている。



「うぅ…。ここどこ?ぐずっ」



どうやら、この少女は迷子になったらしく、涙で目を赤くしながら歩いているが、 とうとう大きな木の前に座り込んでしまう。


ガサガサッ



「ひぅっ!?」



突如。少女の近くにある茂みから音が聞こえ、少女はびっくりして音のした方に目を向ける。



「人間さんどうしたの?」


「ふえ?お、狼…さん?」



茂みから出てきたのは、頭から狼の耳を生やし、お尻の辺りからは尻尾を生やした小さな女の子だった。



「人間さん。なんで泣いてるの?」


「お、おばあちゃんの家に行こうとしてたけど、迷子になっちゃったの…。うぅ…」


「な、泣かないで!ぼ、ボクが助けるよ!」


赤ずきんちゃんが狼ちゃんに、泣いていた理由を告げると赤ずきんちゃんは、再び目に涙を浮かべる。それを見た狼ちゃんは、ブンブンと両手を振り助けを申し出る。



「本当?」


「うん!任せてよ!」


「えへへ。ありがと」


「っ…!?う、うん!」


赤ずきんちゃんが手で涙を拭いて、微笑みを浮かべながらお礼を言う。その可愛らしい微笑みに、狼ちゃんは目を奪われ顔を真っ赤にして頷いた。



赤ずきんちゃんと狼ちゃんは手を繋いで森の中を歩いていく。



(ふぁ〜。人間さんの手。初めて触ったけど、すごく柔らかくて暖かいよ)



狼ちゃんは手から伝わる、赤ずきんちゃんの手の感覚や、温もりにドキドキしっぱなしで、顔を赤いままだ。


(狼さんの手。私達と同じくらい柔らかくて暖かいなぁ。それに、この子は私と同い年くらいなのに、私よりしっかりしてて凄いよ)



赤ずきんちゃんの方も、初めて触れる狼ちゃんの手の感覚や温もりに安心感を感じていた。それと、迷子になり泣いていた、自分を助けると言ってくれた狼ちゃんに少しづつ心を惹かれはじめていた。



しばらく、手を繋いだまま歩いていると森が開け、大きな煙突がある1軒の家が2人の目に入る。



「おばあちゃんの家だ!」


「わわっ!?待ってよ!」



赤ずきんちゃんは狼ちゃんの手を握ったまま走り始め、狼ちゃんは慌てて付いていく。そして、ドアの前まできた赤ずきんちゃんは勢いそのままに、ドアを開けると家の中に入った。



「おばあちゃんきたよ!」


「はぁ…はぁ…。赤ずきんちゃん…。もう少しゆっくりいってよ。…ふえっ!?」


「赤ずきんちゃんいらっしゃい。あらあら、今日は可愛らしい狼ちゃんも一緒なのね」



狼ちゃんは目の前の光景にびっくりした。おばあちゃんと言うので、白髪の女の人がベッドで寝ていると思っていたら、少し胸が大きく、綺麗な金髪の若いお姉さんがキッチンで料理をしていたからだ。そんなお姉さんが、微笑みを浮かべながらこちらを見ている。



「うん!森の中で迷子になってたのを助けてくれたの」


「ふふ。そうなのね。ありがとう。狼ちゃん」


「ふぁ…。と、当然の事をしただけだよ」


(すごくいい匂いだよ)



赤ずきんちゃんがおばあちゃんに、狼ちゃんが助けてくれた事を伝えると、おばあちゃんは両膝をついて狼ちゃんを優しく抱きしめ頭を撫でる。狼ちゃんはおばあちゃんから香る、いい匂いに心が安らぐと同時に少しうっとりする。



「あー!狼ちゃんだけずるい!私もおばあちゃんにぎゅってされたい!」


「慌てないの。ほら、いらっしゃい」


「わーい!」


(あぅ…)



おばあちゃんは狼ちゃんから離れると、赤ずきんちゃんの方を向いて両腕を広げた。その広げられた両腕の中心に赤ずきんちゃんが飛び込み、おばあちゃんは狼ちゃんの時と同じく、抱きしめて頭を撫でる。狼ちゃんは離れたおばあちゃんの温もりや匂いに残念そうな顔になっていた。



「狼ちゃんもいらっしゃい」


「はやく!はやく!」


「うん!」



そんな狼ちゃんに気づいたのか、おばあちゃんと赤ずきんちゃんは、狼ちゃんが入るくらいのスペースを空け手招きをする。それを見た狼ちゃんは満面の笑顔を浮かべ、赤ずきんちゃんの隣に収まり、おばあちゃんからの抱擁を受ける。



「いい匂いだよ。おばあちゃん」


「うん!」


「ふふ。本当に可愛い子達ね」



自身の胸に顔を預け、すりすりと擦り付けてくる赤ずきんちゃんと狼ちゃんを見ながら、おばあちゃんは優しくもどこか妖しい微笑みを浮かべていた。




3人が抱擁を交わしていると、不意にドアがノックされた。



「ふふふ。猟師ちゃんもきたみたいね」


「「猟師ちゃん?」」



「ええ。入っていいわよ」



来客は猟師ちゃんと言うらしく、おばあちゃんに抱かれたまま、赤ずきんちゃんと狼ちゃんは後ろを振り返る。



「こ、こんにちは。おばあちゃん」


「猟師ちゃん。こんにちは」



ドアをゆっくり開けて入ってきたのは、赤ずきんちゃんや、狼ちゃんより少し年上の猟銃を肩に掛けた女の子だった。



「こんにちは!私はおばあちゃんの孫だよ」


「こんにちは。ぼ、ボクはこの子のと、友達だよ」


「う、うん。こんにちは。わ、わたしは猟師だよ」


「ふふ。自己紹介は済んだみたいね。猟師ちゃんは私が可愛がってる子なのよ」


「う、うん」



赤ずきんちゃんと狼ちゃん。そして、猟師ちゃんが互いに自己紹介をし、その様子をおばあちゃんは微笑して見守り、おばあちゃんに可愛がられていると言われた猟師ちゃんは、顔を真っ赤しにしてモジモジしている。



「さぁ。今日は4人で楽しみましょう」


「「「うん!」」」」



おばあちゃんが微笑んで言うと、3人の少女達は笑顔で頷いた。



ある日の昼下がり、森の奥にある大きな煙突がついた家からは1人の大人の女性と、3人の幼い少女達の嬌声が聞こえたという、噂話がありましたとさ。

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