割れ鍋に綴じ蓋1
なんかいろいろぐちゃぐちゃで申し訳なかったです!
風邪1~5書き直しましたので、良ければもう一度ご覧ください。
※愛美視点
ガーン。
お昼休み、気がついたら私の周りにはがらんとした空間ができていた。
休み明けの月曜日、大和くんのおかげですっかり元気になった私は、意気揚々と登校したのだけど・・・・・・
私、もしかして、みんなに避けられてたりする?!
私は子供の頃から心臓病の一つである肥大型心筋症を患っている。
治ると信じて、主治医の先生や両親の言いつけを守りずっと頑張ってきたけど、状況はとても厳しい。
開胸切除手術を受けて今は元気だけど、再発を繰り返してきたこれまでの経緯考えると、決して楽観は出来なかった。
この先、難治性の拡張型へ移行すれば、残された道は心臓移植だけ。
心臓移植を待つ人の列は長く、私はきっと一生病院のベッドから出られる事はないだろう。
だから、そうなる前にどうしても他の子達と同じように学校に行ったり友達と遊んだり、普通の生活を送ってみたかった。
その思い出があれば、この先のベッド上での人生を呪わないで全うできそうな気がしたから。
ところが、普通の生活は思ってた以上にハードルが高かった。
大和くんは今更だって言ってたけど、私と仲良くするのは面倒でうざいって、みんなは考え直したのかも知れない。
思い起こせば、午前中の休み時間もご飯を食べている時も、おかしかった気がする。
話しかければ返事はしてくれるけど、あんまり喋りたくないって感じだったし。
食事を済ませた後は、蜘蛛の子を散らすようにどこかに行ってしまった。
ラインでは、みんな私の復帰を喜んでくれてるみたいだったのにな。
本音と建て前は、やっぱり違うってことなのかな・・・・・・
クラスの人達にも遠巻きにされて、自分がクラスのお荷物である事実を実感してしまう。
「どうした? 大丈夫か?!」
落ち込んでいると、大和くんがすかさずおでこに手を当てて熱の具合を確かめてくる。
クラスの人達とは逆に、大和くんは病み上がりだからってずっと私についてくれていた。
「熱はないようだけど・・・ここじゃ、さすがにちょっとな、・・・そうだ! 保健室行くか?」
え?
まさか、嘘でしょ!
「いいっ! 全然、大丈夫だから! 本当に元気だし!」
今にも私を抱き上げて保健室へ連れ込もうとする大和くんに、ブンブン首と手を振って猛アピールする。
あの日、『お前の風邪を俺に移す』って大和くんにキスされた時には、もうどうしていいかわからなくて困ったけど、翌日には、本当に体の隅々に巣くっていた風邪を大和くんがきれいさっぱり吸い取ってくれたかのように、体が軽くなってた。
信じがたい話だけど、実際こうやって元気になってる私としては信じざるを得なくて。
大和くんと一緒にいろいろ調べた結果、私の風邪は大和くんのプラズマ乳酸菌によって治ったのではないだろうかという結論に至った。
プラズマ乳酸菌とは、免疫系を刺激して感染症を予防するスーパー乳酸菌の名前で、この菌の保菌者は風邪をひかないらしい。
まさしく、大和くんの家系の話に合致する。
つまり、保菌者である大和くんにキスされた時、そのスーパー乳酸菌が私に移って、私の怠けてる免疫系統を刺激した結果風邪が治ったって感じ。
一応、医学的根拠が解明できて(あくまでも仮説だけど)すっきりしたまでは良かったのだけど、大和くんがそれなら風邪予防にそのスーパー乳酸菌とやらを毎日補給してやろうとか言い始めて・・・
最終的に、具合が悪くなったらお願いするという事で、納得してもらった経緯があった。
「そうか? なら、具合が悪くなったらすぐに言うんだぞ」
「うん、わかった」
にっこり笑って答えると、大和くんは不服そうな顔をしながらも、再び手に持っていた参考書に目を戻した。
アレを保健室でなんて、絶対にムリだから!!!!!!




