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プロローグ
男は、憎しみの籠った眼で睨みつけるが、すぐに息途絶え膝から崩れ落ちた。
漆黒の空に一際大きくたたずむ満月が、部屋に月明かりを照らす。
男が事切れたことを確認すると、「ふっ」と一息吐き出しすべてが終わったかのように歩き出した。
やらなければならなかった、嫌、やりたくてしかたがなかった。心に巣食う鬱憤が解消されていく感覚に身を委ねながらレッドカーペットを踏みしめ部屋を後にする。
ここは王室、王座の足元には事切れた骸。遠くから聞こえるのはドラゴンの咆哮。
そうここは――
異世界の王室。




