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第3話 戦後処理

 第3話



 戦後処理


 ◆◆◆◆◆


 最初の戦闘の後はこれと言った抵抗もなく粛々と戦後処理が行われて行く。


 市民達や衛兵が大人しく従う理由の中には魔王軍第一軍団所属の第四師団はヴルストの指導により規律が行き届いて居り市民に害を与える事は無く、逆にサザニエルの治安維持に貢献している。


 戦後のどさくさに紛れて盗みを働いた者を厳しく罰し、戦闘で怪我をした者やパニックにより転んだりなどで怪我をした者達を分け隔てなく治療した事も大きいだろう。


 更に第四師団の師団員の見た目は人間に近い近親種が多いのも原因だろう。


 彼ら人間に見た目が近いエルフ、ダークエルフ、ドワーフ、獣人(獣化すれば違うが戦闘時以外は人間に獣の耳や尻尾が生えただけでそれほど変わらない)族達は人間に魔族と囀られるだけでは無く、魔族の者達からもその見た目から侮られ軽蔑されたりする。


 魔族は力が物を言う力至上主義な所もあるが、それでも見た目が人間に近い彼らを下に見ている節がある。


 そしてそんな彼らの俗称が亜人だ。


 人間でも魔族でもない半端者と言う意味で使われる。


 そんな彼らを救ったのが現師団長であるヴルスト・ドラークその人だ。


 彼は竜神族と言う種族の中でも最強に位置する力の持ち主でそんな彼に対抗出来る者は魔王軍の中でも、魔王その人と一部の軍団長だけと言われるほどに強くそんな彼の庇護下にある第四師団の者に文句を言う命知らずな奴は居ない。


 その為に第四師団の亜人と呼ばれる彼ら以外の魔族はヴルストが彼らを差別しない者達や冷遇されて居た者達が中心に集まり組織された者達で、彼らは魔王よりもヴルストを尊敬、崇拝して居る。


 魔族は魔王崇拝者であり魔王は世襲制では無く突如出現する突然変異体と呼ばれる個体で前に出現したのは今から200年程前の時代だ。


 そしてそんな魔王と呼ばれる存在と対となる存在が勇者と呼ばれる人間とは思えない程の強力な存在である。



 閑話休題



 第四師団の多くはそんな亜人と親和的な魔族に、竜神族を神と崇める竜人族と蜥蜴人族だ。


 竜人族は竜神族程で早いが強力な種族で亜龍と呼ばれる魔物と同程度の力を有している。


 そして蜥蜴人はそれら竜人族よりは力が劣るが魔族の中でも優秀な種族で俗に言うエリートと呼ばれるぐらいに優秀な戦士や文官を輩出する名門種族である。


 戦士はその強固な鱗で敵の攻撃を弾き、腕力と瞬発力に技術を合わせた剣技で敵を切り捨てる。


 更に思考は非常に合理的な現実主義であり感情よりも理性により行動する種族である。



 そしてそんな第四師団にヴルスト率いる竜神族が少数とは言え加わればまさに鬼に金棒いや竜に神剣状態で敵う敵は居ない。



 ◆◆◆◆◆


 ヴルストは元領主の館の執務室(現在は魔王軍第一軍団、第四師団本部となっている)で次々と持ち込まれる書類を文官とヴルストの副官で同じく竜神族のファル達と処理して行く。



 書類の中には嘆願書が多く重要な物からどうでも良さそうな物まで数多くが寄せられて居る。


 そんな雑務を処理して居ると執務室の扉がノックされる。


 書類を運び込むのにいちいちノックをして許可をしてから入れるのは時間の無駄な為にノックせずに入る事を許可して居る為に、何か別の案件が来たのか。と判断する。



「入る事を許可する」


「失礼します」


 執務室に入って来たのは獣人の豹人族の女性士官だ。



「何事だ?」


 ヴルストは書類を処理しながら目線だけを向けて問いかける。



「はっ。師団長閣下に御客人で御座います。来訪されたのはこの交易都市サザニエルの商工組合の者と聖輝教会と月灯教会の代表者の方々です。現在彼らは応接室にお通ししてお待ち頂いて居ります」



「そうか。わかった。御苦労下がって良いぞ」



「はっ。失礼します」

 敬礼して豹人族の女性士官は下がって行く。



「そう言う事だ。ファル付いて来てくれ。後は2人ほど付いて来てくれたまえ」



 ファルと呼ばれた同じく竜神族の副官の女性は竜神族の特徴でもある長い銀髪に輝く髪をポニーテールにしており青空の様に蒼い瞳をしており、出るところは出て引っ込む所は引っ込んだ見事なプロポーションの持ち主だ。




 彼女は素早く必要な書類を手早く纏めて準備をする。


 ヴルストは席から立ち上がり脱いで居た上着のジャケットを着直して(因みに竜神族は全員人間領では人間形態をしている。竜形態は以ての外、竜人形態も周囲の者達を威圧してしまい気軽にこの都市内を歩く事も出来ないからだ)シワが無いかを軽く確認してから応接室に向かう。


 その後ろをファルと文官2名が追随する。



「失礼する。待たせたな」


 ヴルストがそう声を掛けて室内に入ると室内に居た三人の人物はソファから立ち上がり礼をする。


 三人を代表して商工組合の組合長が挨拶する。


「いえ、とんでも御座いません。我々の為にお時間を取らせて頂き光栄の至りで御座います。師団長閣下」


 丁寧に商工組合長が再び頭を下げると教会の二人も同じく頭を下げる。


「いや、構わないとも。それで本日の要件は何かな?ある程度予想は付いているが貴殿達の口から聞きたい」


「はっ。では、先ずは私から述べさせて頂きます」



 商工組合長、聖輝教会、月灯教会の代表者達三人の意見を纏めると大まかな物は以下の物だ。


(因みに領主のおっさんは怪我で未だにベッドで寝込んいる)


 これまで通り信仰や布教活動をしてもいいのか?


 魔王軍へと納める税率などは?


 サザニエル市民の人権などはどうなるのか?


 などなど細かい点を挙げるとキリが無いので大まかな物は以上の三つだ。


 殆どの物はこれまで通りにして良いと許可を出して行くつかは制限付きではあるが、これも許可したが、巡礼者の受け入れや巡礼者の旅立ちに行商人などの通行や受け入れは今はまだ駄目だと承認しない。



 何故なら巡礼者や商人に紛れて、或いは巡礼者達自身がスパイとなり他の都市や国に魔王軍の規模や編成などの情報を与えるべきでは無いからだ。



 そのような理由からある程度は制約を付けたが、代表者達はもっと酷い制約を付けられると覚悟して居た為かほっと安堵の息をもらしている。


 その後細かい点は副官のファルと文官達に任せてヴルストは一旦上官である軍団長の元へと報告の為に後方の魔王軍支配下の都市へと僅かな供回りを付けて向かう。



 その間はサザニエルは副官のファルに一任する。

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