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I can not Be 3
なし
そうだ裸だ。
人肌だ。
突然ひらめく。
何かの本で読んだのを思い出す。
氷のように冷たい上半身。
スエットをぬがす。
濡れた衣服を脱がす。
低体温症は、体幹からあたためないと
いけない。
雪かきで汗臭いが
こんな時にそんなこともいってれらない。
作業着のまま
毛布でくるんで
あたためてやる。
頼む。
血流よもどってこい。
本当は乾いた衣服を着せるべきだが
命の時間がない。
突然の。
ホバリング音。
役場の駐車場にしかおりない
ドクターヘリ。
札幌から到着か。
除雪したぎりぎりで着陸。
ローター音がやかましい。
一群が向かってくる。
一刻も争う。
銀の保温シートにくるまれ
ヘリに運ばれる。
ヘリが飛び立つ。
暴風雪が嘘のような
青空。
快晴。
札幌へ一直線。
間に合えばよいが。
大都市へ20分。
大音量のダンプフォーン。
キーボーだ。
よくやったキーボー。
両手を振るも
そこで前にのめっていく。
なし