I can not Be 2
なし
ど派手な
真っ赤なレンタカーも
形無し。
雪はすべてを
覆いつくす。
ダンプで除雪。
家の前を
行ったり来たり。
だめだ
車ぶつける。
飛び降りる。
雪、漕ぐぞ。
玄関まで20m。
無駄に広い900坪の敷地が
命取り。
玄関を目指すも
家の周囲は
2m近くの壁。
埋まっている。
海から山への
吹き抜けが
あだになったか。
「おーい、生きてるかああ。」
どんどん
あたりかまわず
マカボニーの高級材も
打つ。打つ。
しかし
玄関たたくも
応答はない。
「玄関前
かきだせええ」
シャベルで雪を放り投げる。
雪が重い。
湿った雪なのだ。
大人二人で
必死にかきだす。
やっと
玄関は開いた。
汗が滝のように
出る。
室内は驚くほど寒い。
汗もひく。
これでは
外と変わらない。
やはり
電気は来てなかった。
暖炉の前で倒れている。
「ひでおおお。」
仁王立ちで
叫ぶ。
灯りはない。
ストーブは
消えている。
灯油半分にしたことが
悔やまれる。
駆け寄る。
身体が冷たい。顔が青い。
意識があるのか
思いきり顔をたたく
「おいっ、
金。
遠山。
金さん、おきろっうう」
秘書が軽口で言っていた
呼び方を
思いついて
ありったけ叫ぶ。
とっておきの呼び方も
効力はなく。
ビンタをするも
まったく動かない。
ただ無言の
キーボー。
「キー、
携帯通じるとこまで
戻って
119番。
町立に連絡だ。
急げ。
奴さん、死ぬぞ。
この家から
死人出しちゃあいけねえ」
キーボーがあわてて出ていく。
だめだ。
こりゃあ死ぬ。
おまえの作った家で
人を死なせるのか。
どうしようもない嫌悪感。
おれは
どうしたら。
なし