I can not Be !
なし
翌朝7時。
あいもかわならぬ
高工務店。
「社長。すごい雪でしたね。」
「除雪、
おっつかないから。
ダンプ返せって!
ってやいのの催促ですよ」
「社長の幼なじみが
言うには
よっぽどの雪
なんじゃないですか」
ザッツライト。
ゲームオーバー。
しかたない
社長はつぶやくように言う。
「おい、
それよりキーボー。
あの東京もんのとこは雪、
どうなってんだ?」
「何言ってんすか。
社長。見てわかるでしょ。
街中で精いっぱいで
あんな奥地までもちろん除雪は
まわらないですよ」
いやな予感。
「おいっ。
電話かけてみろ、
キーボー」
「つながらない。
あすこはなんもないから
いがいに
軽くサクサク
つながるんだけど・・」
「行くぞ」
ダンプに飛び乗り
別荘地を目指す。
前方の信号が
灯ってない。
電気が通っていないのだ。
やばいぞ。
早鐘が鳴る。
「急げ。
こりゃあ、ひょっとするぞ。
忘れたか。
あの家は、オール電化だ。」
キーボーも
事態をのみこむ。
うなずくしかない。
「灯油ストーブも
火事おこしちゃいけないと
油は少な目なんだ。」
言い訳のようにつぶやく。
このご時世に。
なんでもコンピューターの
この世の中に
電気が
生死を別けるのか。
必死の除雪もむなしく。
それから小一時間もかかって
やっとたどりつく。
別荘へ。
なし




