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呪い天使 41 『社宅』

ついに見つけた。


呪い天使 41 『社宅』



そこには大きな社宅があった。

完全に住所と一致する。

父さんは今、この会社で働いていて、真面目に生きている。

・・・この社宅の大きさから見て、きっと父さんはお金を持っているはずだ。

すぐに・・・すぐに会って・・・母さんを・・・!


早速入口から『伊藤』の名前を探し始めた。



・・・



・・・



“伊藤”・・・・珍しい苗字ではない。

何人もこの苗字があり、一人一人探すのに一苦労すると僕は考えていた。

おかしい。

これで三回目になる。

最初から最後まで読み返したのが。

無い。

父の苗字がない。

この社宅には『伊藤さん』が一人もいない。

再度住所と照らし合わせてみる。

部屋番号。

『403』

そこには“大泉”さんが住んでいる。



――――――――――――――――――



社員らしき人が来てオートロックのドアが開き、僕も社宅の中へと入っていった。

エレベーターが下りてきた。

4階。

閉めるボタンと4階ボタンを押し続けた。

エレベーターが動き出す・・・が、まだ押し続ける。

ゆっくり開くドアを両手で開かせて走って行った。

403号室。

深夜だが関係ない。

僕は呼び鈴を押した。


遅い。

当然だろう。

時間が分からないが、普通ならば人は寝ている時間だろう。

大人の生活習慣なんて知ったこっちゃない。

僕は今、この地球が滅びようとも知りたいことがあるのだ。


気付くと呼び鈴は連打されていた。

やっと来た。

パジャマ姿の、サラリーマン。

瞼を重そうにしている。

・・・当たり前か。

運が良いことにその人は優しい雰囲気である。

僕を怒鳴り散らそうとしない。

逆に、こんな夜遅くに呼び鈴しているので心配までしてくれている。

だが、そんな様子を悟っているときには口が開いていた。


「この会社に『伊藤さん』はいませんか!?前までここに住んでいた伊藤さん!」

「あぁ・・・伊藤課長か・・・。」

「・・・知っているのですかっ!?」


自然と僕の口調は強くなっていた。

それにしてもこの男、全く怒る気配がない。


「あぁ、知っているとも。どうしたんだい?」

「その人は今、どこにいるのですかっ!?」

「・・・この前社宅から引っ越したんだよ。つい最近にね。」

「どこですか!?教えてくださいっ!」

「それは・・・ちょっ・・・」


僕は彼の話が終わる前に同じ質問を続けた。

繰り返されること数回。

気迫に負けたのだろうか・・・彼はこういった。


「明日の8時にここに来なさい。伊藤課長をよんであげるよ。」

「ありがとうございました・・・」


僕はその場で座り込み、日が昇るのを待った。


朝・・・。

僕はその会社員に起こされた。

眼鏡を掛けていて、背広を着こなしている。


「こっちだ。着いてきなさい。」


僕は着いていった。

社宅のすぐ近くにビルがあった。

そう・・・ここが父さんの働く場所。

この大きさなら・・・・・・・母さんを救うことができるお金くらい・・・。


そして待つこと10分。

来た。

背広の男が二人、入口から出てきた。

さっきの男と、どこか懐かしさを感じる男。

それが・・・それが・・・・・・・・



「と・・・・父さんですか・・・・・・!?」










そう呼ばれた男は背を向け、社内に戻っていった。

『引き続きお楽しみください。』

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