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呪い天使 40 『危機』

トラックが僕に向かって・・・



呪い天使 40 『危機』



父のいる街を目指す途中、アイツにまた襲われる。

でも僕はずっと思っていた。

これくらいならオバケに対する恐怖程度のこと。

そんなのはすぐに慣れるし、鈴科の行動だと思えば大したことない。

実際のところ安心していた・・・その一瞬までは。


父さんのいる駅に着いた僕は歩き続けた。

が―――見つからない。

僕自身地図を見慣れていないからだろう。

完全に途方に暮れている。

そんなとき事件はおきてしまった。

僕は、本当の恐怖を知ることになる。






ガァ――――――――――ッッッ!!!




大型トラックが僕に目掛けて走行してきた。


危機に直面したとき、人間は体が固まると思った。

こんなのは走って逃げればいい。

それなら逃れられる。

だがこの恐怖・・・

どうしても体が動こうとしない・・・

そもそも動くということも忘れている・・・


トラックが見える

トラックがこっちを向かって走ってくる

風の音が聞こえる

光が完全にこっちを向き、眩しいのに何故かトラックを見つづけている

トラックの速度があがる

僕の足は固まっている

トラックがこっちにやってくる


僕が・・・・・・・・・飛ばされる・・・・・・・・・・・・・・


情景が描写され、宙を舞っている瞬間も、景色が写真のように見えてくる。



後ろには植物が生えている

前には電柱が3本ある

トラックはブレーキもせず前を進む

ミラー越しに運転手と目が会う

トラックの運転手は・・・

運転手は・・・・・・・


以前・・・・僕が上前と一緒に都会を歩き・・・・

鈴科に写真を撮られ先生からの信用を失う結果になった・・・

そんな写真の・・・・・

一緒に歩くことになったあのスキンヘッドの悪い奴だ・・・・・・


何故こんなところで・・・・・


僕は気を失う。

誰も僕に気付こうとしない。

誰も助けを呼ぼうとしない。

誰も寄り添ってくれない。

むしろ・・・誰も通っていないのだろう。

そんなのは気を失っていた僕にも分かる。

僕が目をさめたとき、そこには誰もいないし、同じ場所にいたから。

植物が少し前に見え、その奥。

すぐに壁になっていたからそこに激突していたのだ。

だが今ここで意識があったのは強運だった。

普通ならば死んでいただろう。

当たり所も良かったみたいだ。

引きづられて手足、腕、膝から血が出ている。

何も無い。

ハンカチもなければ救急車がきたとも思えない。

何より時間が経っていて、既に時は深夜で、明けを迎えようとまでしていた。


何故あのスキンヘッドの奴が・・・僕を・・・・・・




――――――――――――――――・・・っっっ!!!!!




・・・鈴科か―――――――――――――――。




「・・・たとえ死んでも・・・・呪ってやるからな・・・・絶対・・・・殺してやる・・・・・・・」



――――――― 殺してやる・・・・・・・




鈴科は、それを遂行しようとしているのだろうか・・・・。

きっと金持ちの息子の鈴科のことだ。

僕を殺したら莫大な資金を受け渡すと言ってあるのだろうか?

そこまで僕が憎いのだろうか・・・

人を殺そうとしてまで・・・・・


僕の予想ははずれたと言っていい。

鈴科は僕を殺すことは絶対に無い。

僕を殺したら自分にまで被害が来るからだ。

それが例え暴力団の仲間にやらせたとしても。

さっきのスキンヘッドは明らかに僕たちよりも年が上である。

そんな人を操れるということは、確実に鈴科はトップに近い存在だ。

もちろんそのお金で。

実は都宮なんかより資産家なのかもしれない。

・・・まずい・・・・・・・・・・・・・・・。


僕はゆっくり立ち上がろうとした。

まずは父さんを探さなくては・・・

もう、母さんが入院できるのは残り数日になってしまいそうだ・・・。


うぐっっっ・・・


さすがにトラックにひかれた・・・というより激突されたから容易に立ち上がることができない。

だが幸運にも手足が痛むが、なんとか歩けそうだった。

骨は折ってないようだ。

いや、血が出ているところが擦れていて痛いから分からないのだろう。

もしかしたら骨を折っているかもしれない。


立ち上がると今度は右足首だった。

おそらく、ねん挫・・・もしくはそれ以上・・・。

露骨なども痛む。腕も痛む。

あ・・・もしかして骨折してるかもしれない・・・。


前に見える植物の中から大きな枝を見つけて折り、杖のようにした。

見た目は少々大袈裟だが、これが一番歩きやすい。



「・・・・・鈴科―――――――――――」



僕は鈴科の名前をいいつづけた。

心からある人間を殺したいとまで思えてきた。

僕の人生をめちゃくちゃにしやがったアイツを、今ココで殺したい。

これ以上あんな人間が生きてたまるか。

あんな人間は社会悪だ。

人をココまで追い詰めて。

・・・最低だ・・・・・・・・。


どれくらいか歩き、気付けば僕の目の前には大きな社宅が広がっていた。

間違いない。

ここが僕の父さんの住んでる場所だ。


僕はボロボロになったこの体で飛び跳ねようと必死にもがいていた。

父さんが、ちゃんと働いていたから・・・。

ホームレスなぞ、辛い思いをしていないのだと思うと、僕は感極まっていたんだ。

『あと十話です。よろしくお願いします。』

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