呪い天使 35 『天為』
犯行がばれている・・・
呪い天使 35 『天為』
僕が鈴科に与えた怪我。
違う病院に搬送されたのだから、もしかしたら容態が危険なのかもしれない。
はたまた、鈴科が何かの陰謀を企み姿を暗ました、とも考えられる。
病院側の人は『移動の理由はお答えできません』と言っている。
―――だが、そこはいい。
今気にかかっているのはクラスの事、噂、情報。
御見舞いに行ったという弱々しい人は嘘をついていないようだった。
よって彼が病院に行った時には鈴科がいなくなっていたのだ。
彼の話から察するに、彼が一番最初に御見舞いに訪れた人のようだ。
そして聞こえてきた【鈴科が戻ってくるんじゃない?】という僕への嘘の噂話。
この時にはもう既に僕が犯人だとクラスのみんなが認識していたことになる。
そしてその頃・・・彼が病院に行ったのだ。
・・・・・つまり―――――――
鈴科は誰にも何も言っていない。
さらには見舞いに来て、鈴科の顔を確認した人さえいない。
ならばどこから僕の犯行がばれたのだろうか?
このことを知っているのは僕と三日月だけだ・・・。
三日月が首謀者・・・?
・・・それはありえない。
そうしてまた一日が始まろうとしている。
クラスでは僕の噂話でもちきり。
そのくせ僕の体を異常なほどにまで反応を示し、避けようとしている。
イジメはされない。
鈴科の仇・・・などもない。
ただ、噂話をする。
やめて・・・―――――――――
やめて・・・やめて・・・―――――――――――
やめて・・・やめて・・・やめて・・・―――――――――――
やめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめててやめてめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめてやめて・・・
・・・・・
三日月と都合が合わず、誰一人と話すことなく家に帰る。
家では・・・・・母さんの気が狂おうとしている。
「雄・・・!なんで・・・・・・!そうなの・・・・・!?鈴科さんの家の子の怪我をさせたのはあなたなの・・・!?
みんな言ってるって・・・先生から聞いたわよ・・・ねぇ・・・!雄・・・!雄・・・?!」
「僕じゃない・・・」
僕は胸を押さえながらゆっくり自分の部屋に入りドアを閉めた。
ドアの音は、雷のごとく部屋に響く。
布団に体を投げ込むようにして寝ころんだ。
そのときの音も、同様に。
身体がなんだか痛い上に頭がクラクラしてきた。
―――今のせいだ。
だが痛いところを押さえることなく僕は無理やり目を閉じた。
当然眠れるはずもなく―――
深夜3時。
その時計を確認した後僕の意識はやっと飛んでくれた。
朝。
部屋を出ると最も見たくない光景が広がっていた。
母さんが倒れている。
原因は不明・・・なのは僕が素人だからだけども・・・
とりあえず僕は救急車を呼んだ。
心臓は動いているし呼吸もしている。
だが・・・倒れている。
僕は母さんを呼び続けた。
救急車に長い時間待たされた。
全く救急ではない。
こちらは急いでいるのに、何故救急車はこんなにも遅いのだろう?
もしも来ない間に命が止まっていたらどうするのだろう・・・
僕は母さんがタンカで運ばれる横で、隊員をにらみつけていた。
車内に乗っている感覚ではなかった。
ずっと目線が母さんに向けられているからだ。
そして走りながら治療室に走る。
僕は外で待たされた。
不安が募る。
母さんが何故こんな状態になったかも分からない。
数時間後、医者が僕の前に寄ってきた。
「お母さんは胃潰瘍ですね。」
「・・・え・・・・・?」
「ストレスや疲れによるものでしょう。状態が悪いので手術、入院となります。」
ストレスや疲れ――――
疲れは言うまでもなく日々の労働だろう。
ほとんど休むことなく、さらに寝る時間を惜しんで仕事を続けていた。
ストレスは・・・
鈴科・・・僕・・・跳び箱・・・・・・・・犯人・・・・・・・・・・・・・・
僕は涙をこぼし始めた。
病院の中で唸り声をあげた。
その時は手術費のことを考えもしてなかった。
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