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呪い天使 32 『病院』

毎日が楽しくて仕方なかった。このメンバーといるときは。


呪い天使 32 『病院』



僕たちの楽しい日々は続いていった。

定期テストを忘れるほど遊びに尽くしていった。

もちろん勉強もしているが。

家で勉強する。

それがたまらなく嫌でたまらなかった。

もちろん家に帰ったら勉強以外なんてしない、なんてことはありえない。

当然のように暇な時間も出てくる。

土日なんてさらにそれが多い。

それがどうしても僕は嫌だった。

早くみんなに会いたい。

依存症、中毒なのであろうか?

自分ではそんな気はしていなかったがそれに近いのかもしれない。

あの4人に会うことが生きる意義であるかのように。

それいがいは生きる意義ではない。

楽しめない。


―――早く会いたい。


そろそろ鈴科が復帰するんじゃないのか?とクラスが思い始め、若干騒ぎだしたそんな頃。

そういえば僕と三日月と都宮と水沢と上前・・・おなじみの5人はお見舞いには行っていない。

他の人はどうなのだろう。

恐らく行っているだろうがどこまで定期的に行っているのだろうか?

それとも零なのだろうか?

鈴科の悪行はクラス中に浸透しているから『零』だと思う。

一応病院は知っている。

偶然にも僕はそこの病院の前を通ることが何度か会った。

1回だけ―――1回だけ僕はその病院に入って行った人を見たことがいる。

もちろん同じクラスの人だ。

大人しくて、クラスの盛り上がりに付いていこうと必至の影の薄い人が。

そして彼はある友達を一緒に連れて病院に入っていったのだ。

もう一人が誰かはわからない。

ただ同じ制服を着ているという理由でだ。


そこで鈴科はどのような事を彼らに話したのだろうか?


でもこの状況。

このクラスの景色から見て誰も僕が跳び箱事件の首謀者だとは知らないだろう。

しかし・・・少しだけ気になる。


僕は先程話に出てきた病院に行った大人しい彼に話しかけてみた。

もちろん影の薄さ故名前も名字も知らない―――から、

「ねぇ」から問いかけを始めて彼はこちらを振り向く。


「・・・この前病院に行っていたよね・・・?鈴科、なんて言ってた?」


優しく話しかけた。

けど返ってくるのは、“何もない言葉”

いや、視線が返ってきている。

鋭く細く、冷ややかな目。


「・・・えっ・・・・・?何・・・何何?どうしちゃったの!?ははっ!」


彼は動揺することなくこちらを見続けている。

―――睨み続けている。


「・・・・・・」


僕は呆れた表情を表現しながら背を向けて、他の人に当たることにした。


でも


答えは一緒だった。


何度も何度も。


何度も僕は人に問いかけて。


無言を返される。


時たま睨まれる。



―――――鈴科の身に何かあったのだろうか―――――?



もしかしてその話題はタブーだったのだろうか?

・・・・・・何故――――――




不安を残したまま僕は三日月に話しかけた。


「・・・三日月・・・・・なんか鈴科の話題がタブーらしい・・・。」

「そう・・・?私のクラスでは普通だけど・・・」

「まぁ、そっちは隣のクラスだからね。」

「あ、確かにそうかも。伊藤のクラスよりは話題は少ないかなー。」

「でさ、今日。今日見舞いしにいかない?何か嫌な予感が・・・」

「え・・・今日の予定はたしか・・・・ないっ!うん・・・!行こう・・・!」

「ありがとう!」


そして放課後になった。

まだ何人もの生徒が教室に残っているため、一人帰る準備を早々進めるのはどこか気が引けそうだ。

だがそんな様子も気にせず僕は隣のクラスに走っていった。


三日月と僕は病院へ向かった。

向かう途中、嫌な予感がしているのに気づいた。

自分の周りに妖怪がへばりついているような気分に襲われた。

三日月の肩に手を乗せたりもして、ヨタヨタと病院へ向かっていた。


病院に着いた。


この予感は偽物ではなかった。

でも、目の前に起きたその事実はそこまで驚くことでもないはずだろう。

だがその事実は僕の心臓を重くしていった。

さらに嫌な予感が体を震わしていく。

この増していく嫌な予感が何故なのかも分からぬまま、僕は立ちすくんだ。


「・・・・」



―――嫌な予感。その病院には・・・・・・

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