呪い天使 13 『写真』
もうすぐ・・・生徒会の二次審査だ・・・
呪い天使13 『写真』
僕たちは暴力団の彼らと街を歩いた。
だけども何もおこらなかった。
一体何のためだったのだろう?
しかし、間違いなく鈴科は関係している。
鈴科は何をしようとしているのだろうか?
そもそも、あの強面の暴力団が何もしないというのもおかしい。
移動費のお金まで払ってくれていた。
・・・・おかしい。というかむしろ馬鹿げている。
でも僕たちはまだ気付いてなかった・・・。
その街で僕たちは小さいフラッシュをうけ、シャッター音が鳴ったことを・・・。
その次の日だった。
「水沢、都宮おはよぅー。あっ、三日月もいるじゃん。おはよー!」
僕と上前同時に登校し、明るい返事をした。
だがみんなの返事は昨日のことを心配してなのか、あまり明るくない。
「昨日っ!!!大丈夫・・・!?」
三日月は一番に心配の声を掛けてくれた。
事情を話すと全員ほっとしていた。
だが僕は何所かホっとできない部分がある。
あの意味はなんだったのだろう?
一緒に歩く理由が見つからなかった。
だが全ては終わったことだった。
もう僕はみんなと日常的な会話をし、いつもどおりに盛り上がっていた。
僕たちは親友であり、全員で鈴科に立ち向かう・・・そんな仲間。
僕らは完全に信用し合い、完全に信頼されてた。
もうすぐ、忘れかけてた生徒会の二次審査だ。
僕と鈴科は選挙をすることになる。
そんなこともあって僕は先生に呼ばれたんだ。
だけども僕は何かを察した。
どこか悪い風が僕の周りで吹いた気がした。
「・・・伊藤君、今日の生徒会選挙のことで・・・。」
「あ・・・はいっっっ。」
・・・別に何もおかしくない先生の一言。
でも予感は消えようとしない。
そして話すたびに一定の何らかの間がある。
その時間がやけに怖く恐ろしかった。
僕は少なからず何かを感じていた。
「伊藤君・・・」
「は・・・はい・・・!?」
・・・・
「ここのときの演説で君はこの立ち位置で・・・・・」
なんだ・・・・・資料を探していて間があったのか・・・。
気づくと僕の目は先生にしか集中していなかった。
「・・・分かりました。こうですね?」
「そうです。」
「・・・では、失礼しました・・・。」
「ちょっとまちたまえ・・・。」
「はい?」
・・・またなんらかの間がある。
その間には慣れてきそうにもない。
「ちょっとこっちにきなさい。」
・・・・・
「・・・なんですか・・・・・?」
さっきから何かの不安を感じる。
人間の勘というものはあくまでも勘でしかないが、今回はそれが的中する。
「伊藤君・・・これは、なんだい・・・?」
顔をしかめている先生が机の上から取り出したものは、僕と暴力団がいかにも仲良さそうに歩く写真だった。
これは僕の高校ではあまり良いとされていない行動だ。
そもそもカラーギャングなど、どこの学校でも禁止されていることだろう。
少なくとも、生徒会長がこんなのでは絶対に無理だろう。
僕の体は完全に硬直しだしていた。
だがこのような状況に慣れてきたためか、口だけはすらすらと動き出す。
「それは、暴力団に無理矢理歩かされたんです。でも何もありませんでしたっっ信じてくださいっっっ。」
「残念だが・・・私たちは君を信用できない・・・・・。
鈴科君との件とはまた別に・・・この件で君の事は信用できない・・・」
先生の表情は強張っている。
希望を探している僕の瞳は静かに細くなるのを感じていた。
取り戻しかけていた信頼が消えた一瞬であった。
「先生・・・本当なんです・・・本当に・・・」
「・・・だが・・・・この表情は・・・・楽しんでいるように見える。」
「彼らがそう仕向けたのです・・・」
「例え君の言っていることが事実でも普通だったら怖くて明るい顔はできないな」
「・・・・でも・・・・・・・・・」
「どうやらこれは、生徒会長は・・・・・」
生徒会長になることが、唯一の父さんと会うための条件だった。
もちろんそれだけのために、生徒会長をしようなんて思っていない。
学校のTOPにたって生徒をまとめていく責任重大な役職、仕事だ。
僕は小学3年ごろから学級委員なり、このような仕事は父にも言われたとおり僕に向いている。
そして豊富な経験が出来るのは事実だ。
父さんとの約束があろうがなかろうが、僕は自分の性格的に生徒会長に立候補するだろう人間だ。
父さんのと約束してから、さらに僕は生徒会長に対する気持ちは大きなっていた。
結局今では父さんとの約束よりも生徒会長になりたいという純粋な理由の方が勝っているのかもしれないほどだ。
なのに・・・
なのに―――――――――――――――――――――
「・・・失礼しました・・・・・・・・・・・・・」
下を向いたまま僕は教室に戻った。
もう、何も頭をよぎろうとしない。
終わりだ。
その頃、職員室では別の問題が取り上げられていた。
職員室中がざわめく。
先ほどまで僕と話していた先生の周りに、総勢100人ほどの教員が集結した。
100人の手に渡った写真は再びその先生の手に戻ってくる。
「・・・大変だ・・・・・・まさか・・・・・・まさか・・・・・・」
写真が僕を揺るがした。