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呪い天使 11 『教室』

鈴科と僕の関係をふと思い出していた・・・

呪い天使 11 『教室』



―――――――――ふと、僕は思い出していた。



事は突然起きた

僕が生徒会長に立候補し、同様に鈴科も立候補してしまった。

しかし一次審査では僕が勝ち、僕はほとんどの可能性で生徒会長になろうとしていた。

それに逆切れした鈴科は僕の靴を切り刻んだ。

翌朝、僕のげた箱に置き残してしまったナイフをクラスの全員は見ていた。

僕はクラスが騒いでいることに気付かず、その日先生に呼びとめられた。

そうしてその帰りに僕は鈴科に暴行を与えられたのだ。


非は完全に鈴科にある。

僕は何もしていない。

しかし生徒、教員には違う情報が与えられていたのだ。

誰も僕の切り刻まれた靴を見ていない。

危険物を所持していたものとして世間から僕は見つめられた。

新しい同じ種類の靴のことの僕の発言と現物の矛盾。

僕が主張した事実は言い訳と塗り替えられ、僕は今までの信頼を失ったのだ。


そして僕への嫌がらせはさらに増していく。

教科書がない。

もちろん誰も信じようとしないどころか自作自演と信じられた。


だけども鈴科は大きなミスをした。

体操着。

はさみでビリビリに切られた僕の体操着が発見されたのだ。

僕が嫌がらせにあっているという事実を告げる初めての物証だった。

運良く水沢が朝は切られていない体操着を見ていたためそれは確実なものとしてとられた。


しかし、次の日はまた教科書がやぶられている。

だがいつもと違うことがあった。

ちょうどその日鈴科が遅刻していたのだ。

物理的に鈴科の犯行は不可能を見なされた。

よく考えてみれば鈴科の仲間がしたことなのに。

そしてその日、僕は感情を乱していた。

その行動により、クラスからは細い視線を浴び、先生の固まった信頼もまた崩れかけた。

僕の自作自演。

この説がまた教員の頭に浮かびあがってしまったのだ。


その次の日、三日月由奈という唯一の犯行目撃者が現れた。

犯行は鈴科の仲間の上前戒。

それにより先生はいろいろ調べると、偏見を白紙の状態に戻し考えた。


そして翌朝、鈴科に脅されている上前の姿を発見した。

上前は僕らの仲間なり、鈴科が何もしないことを願うばかりとなった。


でもクラスの目はあまり変わらないだろう。

クラスは噂でしか物事を知っていない。

鈴科はもともと顔が広く、生徒からの人望は抜群であった。

ゆえに僕はあまり信用されていない。

だけども僕には友達・・・いや、親友がいるから関係のないはずだった。

三日月、水沢、都宮、上前。

でも僕はまだ気づいていない。

彼ら親友がいるのにもかかわらず、周囲の目をまだ気にしていることなんて。



―――――――――


僕は気付くと学校に到着していた。


「おはよう♪みんなっ!」

「はよぉー!」


僕のクラスの前の廊下に、五人組が集まった。

そしていろいろと話しだす。

くだらない話をもしだす。

上前を含もこの5人組は偶然にもツボが一致した。

空気など読まなくても、素の自分がその場では出し切れていた。

僕はそれが本当の友達だと悟った。


教室の中では鈴科と僕のどっちが本当なのか、そして生徒会長はどっちなのか、

などの疑問や審議が影の話題となっていた。

周りを気にせずわいわいと話し合っている僕らの前にそれを質問しにくる野次馬が何人も来た。


「・・・やっぱし、自作自演はよくないんじゃない?」

「何も知らないくせに・・・何をっ!・・・・ぇっ・・・?・・・」


何も知らない人が通りがかりに歩きながら話しかけてくる。

顔を赤くし今にも手を出しそうなまでに興奮した都宮の口を僕は止めた。


「・・・とりあえず、違うから・・・・。信じてもらえると嬉しいな。」


そう、僕は受け答えた。

たしかに周囲の目は気になっているのはたしかだ。

でも僕たちにはこの5人がいるじゃないか、と言い聞かせて都宮を止めた。

心の中では周囲の目を気にしているのに・・・。


「ねぇ、やめようぜ?生徒会長になるために鈴科を?お前は馬鹿じゃん?」

「・・・あのさぁ・・・鈴科君がそんなことするはずないよぅ・・・」

「何をたくらんでるわけ?君は。」

「あのさ・・・鈴科君のこと・・・どうなの?」


クラスはこの話題でもちきりなのであろう。。

質問や批評やらが次から次へと来る。

次第に僕たちは嫌な気分になっていった。

最初は大人の受け答えをし続けていたが、次第にその受け答えさえもが嫌になっていった。

周囲の目を気にしている表れなのだろう・・・返答も、強くなっていった。

最終的にはクラスの中で浮いてるような人にまで質問をされて、カチンともきていた。


ただ、今日の流れでだいたい分かった。

クラスのみんなは僕たちに対して半信半疑であるが、どちらかというと鈴科を支持している。

まだ、一応は救いようがあるととってもよいだろうか?

だが、もしもこの先、鈴科の陰謀により僕がまた陥れられたら・・・

何かあれば、きっとだれも信用しないだろう。

もう二度と何も起きないことを願った。

何が起きようが起きまいがそんなこと、気にする必要がないというのに僕たちは周囲の目だけを気にしていた。


近い未来、僕たちに恐るべき事が起きることなど想像すらせずに廊下で笑い続けていた。

もちろんそれは、周囲など関係のないものだとも知らずに。


親友がいるのに、何故僕たちは周囲を気にしていたのだろうか・・・?

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