表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/50

呪い天使 01 『最初』

はじめまして。連載ものです。是非読んでくださいね。

呪い天使 1 『最初』



僕の名前は伊藤雄いとうゆう。高校2年生。性別男。

親は小学4年生の時に離婚した。

泣き叫ぶ僕に何も言わず、父は顔色ひとつ変えずに出て行った。

それからというもの母は女でひとつ僕を支えてきた。

もちろん安定した就職も無い。

世間一般でいう『貧乏』というものだ。


今の僕に出来ることはいい大学に入り、いい仕事に就く。

そして母を幸せにすることだ。

勉強した成果もあってクラスの5位以内をキープしている。

少し臆病な性格のせいか、友達と呼べる友人はほとんどいない。

でも今までは普通に生活してたんだ・・・。普通に・・・。


ある日のことだ。

新生徒会を作る日がやって来た。

僕の幼いころからの夢・・・生徒会長になること。

僕の人生を左右する大勝負だった。

立候補初日に立候補届を出していた。

僕の立候補はみんな普通に見ていて、何も言おうとしない。

そして、これとして話題にすることもなければ嫌がることも無い。

僕は自分が生徒会になると信じ、家に帰って母に報告したんだ。


「ただいま」

「おかえり。どうだった?立候補・・・。」

「うん!たぶん僕がなれるよ・・・!」

「そうなの!頑張ってね。」

「ごはんは何?」

「そこにお米と煮干があるからそれを食べてね・・・。」


僕はじっと母を見つめて、ごはんを炊いた。


「おーい!伊藤〜!」


学校。早朝から水沢令治が僕に話しかけてきた。

水沢は僕にとって唯一の男の親友だった。

彼も僕と同じ、はしくれもの。

はしくれもので何が悪い、といつも二人で語り合っている。

いつも大人し目の彼の声は今日に限って大きく教室に響いた。

しかし、騒いでいるのは水沢だけでない。

ある話題がクラス中を騒がせたのだ。

鈴科影斗。僕と同じくらいの成績で人望も厚い奴だった。

そんな彼が・・・


「えっ!?お前立候補するのかよ!?」

「生徒会長にかっ・・・!?」

「あぁ・・・。俺が学校を変えてやるんだよ。」

「お前ならできそうだな・・・。」

「あぁ、投票よろしくな!」


「伊藤〜!大変だっ!!!あの鈴科が立候補するって・・・!!!」

「・・・まじかよ・・・・。」


水沢とはこれ以上話さず、僕は席に座った。

僕は大袈裟にノートを広げ、終わってる宿題をやりなおしていた。


「ねぇねぇ、何、朝っぱらから宿題なんてしてるのよ?」


都宮時雨

彼女は僕の唯一の女の親友。

もちろん恋人、とかそういう関係ではない。

都宮は僕の考えに賛同してくれている。

賛同しながらもクラスでの盛り上がりについていけている。

全員平等を目指す彼女はある意味僕の憧れでもあった。

とりあえず、都宮とは今仲が良い。


「まぁ、宿題はねぇ・・・早めにやらないと・・・さ。」

「・・・鈴科のこと、動揺してるでしょ?」

「・・・・・動揺しない方がおかしくない・・・??」

「大丈夫だよ!伊藤なら大丈夫!だって先生からの支持もいいじゃない!」

「それを信じるよ。とりあえず先生に投票してもらえればいいんだよねっ!」


この学校の生徒会の決めかたは二次審査制である。

1次審査は先生が行い、2次審査は生徒全員だ。

一次で勝った人は大きなポイントをえることになりほととんどが勝つ。

先生への見た目はここで重要視されるわけだ。


しかしクラス中では鈴科が勝つだろうと言われていた。

そういう騒ぎが起きて、ふざけた奴が場を盛り上げている。


「おっ!?おっ!?おっ!?おー!鈴科ー!」


周りはそのノリについてきていた。

笑って適当に手拍子するものもいたが、間違いなくクラスは鈴科を支持している。

そのノリに耐えられなくなったのだろうか?

僕はとっさにトイレに駆け込んだ。

ここで生徒会長にならなければいけないんだ・・・

便座の上に座る僕はそっと手と手をつなぎ合わせた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ