ご遠慮ください。
今日も私は皆さんのためにホームに立つ。ただ一人の駅員でございます。皆さんが鉄道を利用するとき。ローカル線でなければふつうに見る駅員です。ホームに立っている駅員です。時にはホームを走り回る駅員です。
列車を走らせるうえで駅員も大切な仕事をしています。駅員はホームの安全。お客様の安全を考えてお仕事をするのです。つまり、駅で何かが起これば、乗務員・駅員と力を合わせて、対処します。例えば、線路上に何かを落としてしまったりした時とかです。もちろんその何かが帽子などの小さなものから、重大なものまで様々です。
「4番乗り場。列車入っております。黄色い線の内側までお下がりください。」
マイクを片手にホームの安全を確かめる。もし、黄色い線の外側を歩いているお客様がいたら大変だ。運転士はこのとき警笛を鳴らして、注意を促すことがあるが、駅員もマイクで注意を促さなければならない。幸いこの列車の入線時には黄色い線の外側を歩いているお客様はいなかった。
列車が停車すると片側25枚以上の扉が一斉に開いた。お客様でホームはあふれかえる。
「ご乗車ありがとうございました。尼崎。尼崎です。宝塚、新三田方面。宝塚線と、北新地、京橋方面。JR東西線、学研都市線直通列車はお乗換えです。間もなく、普通西明石行きが発車いたします。ドアが閉まります。ドアにご注意ください。」
「ドアが閉まります。ご注意ください。」
駅員の声にホームに流れる電子の女性が混じる。
「業務連絡。お客様乗降完了です。」
「業務連絡了解です。」
ドアの近くにいたため、車掌がそう言うのが聞こえた。そして、すぐにドアが閉まる。その時、ホームから列車に乗り込もうという人がいた。車掌がそれに気づいて、すぐにドアを開ける。そのお客様が乗り終ったら、またドアが閉まった。そして、列車はGTO素子の音を立てて、走り出す。腕時計で時間を見たが、あの列車は数秒遅れて発車した。今車内ではお客様に対して、発車間際の駆け込み乗車は大変危険ですと呼びかけているところだろう。
駆け込み乗車をする人の気持ちを考えてみると分からないわけではない。次の列車を待ちたくないのだ。しかし、いくら次の列車を待ちたくないからって、自ら危険な橋を渡る必要はないだろう。次の列車は宝塚線に入る普通新三田行きが入るが、そのあとに西明石方面に向かう快速列車も設定されている。そして、西明石に向かう普通列車もだ。10分ぐらい待てないものかなぁ・・・。待ちたくないなら、直前に駅に来るのではなく、前もって駅に来ていることだ。だから、私は思う。列車の遅れはお客様自身が作っているということもある。それはほかのお客様にとっては迷惑だ。もしかしたら、何でこの列車に駆け込み乗車したんだという気ぐらい起こしているかもしれない。そして、何よりもお客様の安全と財産を守るために。お客様には駆け込み乗車を今後してほしくない。
駆け込み乗車が原因で数分遅れる。こう考えてもらえたら、あなたはこれから先駆け込み乗車をする気になりますか?なるのでしたら、マナーが悪いとしか言いようがありません。もしくは、人としての気持ちがないのかというしかありません。数秒の遅れが、数分の遅れに膨れ上がるとき、あなたは何を考えますか。
私にとってはこんなに迷惑な話はありません。
最後に感想がございましたら、お書きくださいませ。