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愛をしている

どうか今

おはようございます。

バイト先に着いてドアを開けたらまずは挨拶。

そにいるのが気の良いおじさんやおばさんの時は正直気楽。

仲良くない同性の先輩だとちょっとしんどかったり。

ただの挨拶と言えばそれまでだけど

相手の反応に気分が上がったり下がったり。

いや、それによってふんわりとでも相手を好きになったり嫌いになったり。

そんなものなんじゃないかと思う。


「おはようございまーす」


「あ、おはようございます」


ドアを開けると道川さんがいた。

ちょうどバイト着に着替えを済ませ、男性用更衣室から出てきたところだった。

道川さんはバイト先では私より先輩だけど、年齢だと年下。

そのためお互いがお互いに敬語を使い続けたままもう半年が経つ。

(って言ってもあんまり話したこと無いんだけど。)

年下だけど背が高くて落ち着いた声で大人っぽく見える。

しかし「あはは!」と声を上げて笑う時の笑顔が別の表情を見せつける。

それを知ると今度は“同い年”でなく“年下”というのがやけにツボに入った。


必要最低限の挨拶を済ませ、私は女性用更衣室へ入る。


(今日は道川さんと一緒かあ)


どうせ今日も喋ることなんて出来ないと分かっているのだけど。

さっきの挨拶の時も目を合わせることも出来なかったけれど。

偶然バイト帰りにコンビニで会った時、思い切って話しかけたけど

その時のいまいちな反応に私の勇気はいとも簡単にしぼんでしまったんだ。

今日も目を合わせることすら出来ないのかもしれないけれど。

新人の時、緊張していた私に気さくに話しかけてくれた。

うまく喋れない私を笑ってくれた。その日から私は。


入り時間に遅れないように、仕事以外のことを頭から消すように

ちゃっちゃと着替えを進める。

今日もきっと何も変わらない事実に、自分に、傷つく。

私がこのバイトをやめるまで、あと二週間。


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