第5話:【再生の魔法】の発現
奇跡の瞬間
蒼の手が生物の傷に触れた瞬間—
手のひらから淡い緑色の光が放たれる
蒼「!?」
光が傷を包む。
傷口が見る見るうちに塞がっていく。
古い傷跡が消え、新しい毛が生える。
生物、驚いて飛び跳ねる。
そして嬉しそうに蒼の周りを跳ね回る。
蒼、呆然と自分の手を見る。
蒼「今の...何? 俺が?」
手のひらを見つめる。
もう光はない。
蒼「さっきの光...治癒魔法?」
実験
蒼、落ちている小枝を拾う。
二つに折る。
蒼「もし、さっきのが本当なら...」
折れた小枝に手を当てる。
集中する。
「...治れ」
何も起きない
蒼「やっぱり、気のせい?」
もう一度、今度は目を閉じて集中。
傷ついたものを治したい、という想い。
淡い緑の光が再び
折れた小枝が繋がっていく。
完全に元通りに。
蒼「...本当だ。俺、魔法が使えるのか」
グレンの帰還
ガサガサという音
蒼、振り返る。
グレンが大きな鹿のような魔獣を担いで現れる。
グレン「起きたか」
蒼「グレンさん...」
グレンが魔獣を下ろす。その腕に深い傷がある。
爪で引っ掻かれたような三本の傷。血が滲んでいる。
蒼「怪我...!」
グレン「これくらい、いつものことだ」
平然としているが、【真実を見抜く眼】が痛みを感知する。
グレンは我慢している。
蒼「...手当て、しないんですか?」
グレン「どうせじきに治る。魔獣の解体が先だ」
大剣を手に取り、魔獣を捌き始める。
蒼の決意
蒼、グレンの横顔を見る。
傷から血が滴る。
蒼の内心:
「この人、昨日俺を助けてくれた」
「何も求めず、食事も与えてくれた」
「...少しでも恩返ししたい」
「それに...」
さっきの小動物の嬉しそうな姿を思い出す。
「誰かの痛みを和らげられるなら...」
蒼、グレンに近づく。
蒼「あの...手当て、させてください」
グレン「いいって言っただろ」
蒼「お願いします」
グレンの手を強引に掴む。
グレン「おい—」




