第161話:道中
馬車の中
蒼とリリア、馬車の中。
窓から見える景色が、都会から田舎へと変わっていく。
リリア「村まで、どれくらい?」
蒼「三日くらいかな」
リリア「そう...」
少し緊張している。
蒼「大丈夫?」
リリア「うん...でも、少し緊張してる」
「グレンさんとミラちゃん、私のこと気に入ってくれるかな」
蒼、リリアの手を握る。
蒼「大丈夫」
「二人とも、優しいから」
「きっと気に入ってくれる」
リリア「...ありがとう」
夜のキャンプ
一日目の夜、野営。
焚き火を囲んで座る二人。
リリア「蒼、村のこと教えて」
蒼「何を?」
リリア「どんな場所なの?」
蒼「小さな村だよ」
「人口100人くらい」
「みんな、温かくて優しい」
「グレンさんは、俺の師匠で」
「厳しいけど、父親みたいな人」
蒼「ミラは...」
少し表情が柔らかくなる。
蒼「俺にとって、妹みたいな存在」
「すごく可愛い子なんだ」
リリア「...」
少し複雑な表情。
蒼「リリアも、きっとミラと仲良くなれるよ」
リリア「...そうね」
「頑張る」
蒼の過去の話
焚き火を見つめながら。
蒼「この世界に来て、もうすぐ一年になる」
リリア「そんなに経つのね」
蒼「最初は、ただ逃げたかっただけだった」
「元の世界から」
リリア「...元の世界のこと、話してくれる?」
蒼「...いいの?」
リリア「あなたのこと、もっと知りたい」
蒼、少し考えて。
蒼「俺、元の世界では結婚してた」
リリア「...知ってる」
蒼「娘もいた。5歳の」
「でも、離婚して、娘を失った」
「親権を取られて、会えなくなった」
蒼「それが、すごく辛くて」
「生きる意味を失った」
「だから、死のうとして...」
「気づいたら、この世界にいた」
リリア「...」
蒼の手を握る。
蒼「でも、今は違う」
「この世界で、たくさんのものを得た」
「グレンさん、ミラ、村のみんな」
「そして...」
リリアを見る。
蒼「リリア」
リリア、顔を赤らめる。
リリア「私も、あなたに出会えてよかった」
「あなたがいなかったら」
「私、今も孤独だったと思う」
蒼「...俺も」
二人、抱き合う。




