第16話:夜の村
宿屋の外
蒼、ベッドから起きて窓を開ける。
夜の村。
静かだが、温かい灯りが家々から漏れている。
遠くで、子供たちの笑い声。
蒼、【真実を見抜く眼】で村を視る。
視えたもの:
家族団欒の温かい感情
夫婦の会話の穏やかさ
子供たちの無邪気な喜び
蒼の内心:
「みんな、幸せそうだ」
「この平和を...守りたい」
初めて芽生える、守りたいという想い。
グレンとの会話
グレンが隣に来る。
グレン「眠れないのか?」
蒼「少し、考え事を」
グレン「何を考えてた?」
蒼「...この村、いいですね」
グレン「ああ、いい村だ」
「だから、俺もここを拠点にしてる」
蒼「グレンさんは...この村を守ってるんですか?」
グレン「まぁな。恩もあるし」
グレンの過去(一部開示)
グレン、遠くを見る。
グレン「昔、俺は...家族を守れなかった」
蒼「...」
グレン「魔物に襲われて、妻と娘を失った」
「俺は冒険者として名を馳せてたのに、一番守るべき者を守れなかった」
蒼の【真実を見抜く眼】が、グレンの深い後悔と悲しみを感知する。
グレン「だから、せめて...他の誰かは守りたいんだ」
「それが、俺の贖罪だ」
蒼「...グレンさん」
グレン「お前も、何か失ったんだろ?」
蒼「...はい。娘を」
グレン「...そうか」
二人、沈黙。
しかし、それは理解し合った者同士の、穏やかな沈黙。
共感
グレン「なぁ、蒼」
蒼「はい」
グレン「失ったものは戻らねぇ」
「でも、これから守るものは作れる」
蒼「...守るもの」
グレン「ああ。この村、村人たち、そして...」
蒼を見る。
グレン「お前みたいな奴をな」
蒼、驚く。
蒼「俺を...?」
グレン「お前は、まだ若い。これから色んなもんを手に入れられる」
「俺は、それを守る」
蒼、涙が溢れそうになる。
蒼「...ありがとうございます」
グレン「礼はいらねぇ。俺が勝手にやってることだ」




