第15話:村の宿屋
部屋での休息
村長が用意してくれた宿屋の一室。
蒼、ベッドに倒れ込む。
全身が重い。
グレンが水と食事を持ってくる。
グレン「食え。魔力の回復には栄養が必要だ」
蒼、起き上がって食事を口にする。
温かいスープとパン。
蒼「...美味しい」
グレン「村長の奢りだ。お前、相当気に入られたな」
今日の振り返り
食事をしながら。
グレン「今日、どうだった?」
蒼「...怖かったです。でも」
グレン「でも?」
蒼「人の役に立てて...嬉しかったです」
グレン「そうか」
満足そうに頷く。
グレン「お前の魔法、相当なもんだ」
「特に、あの眼で病気の原因まで視えるのは...天性の才能だ」
蒼「でも、まだまだ未熟で...」
グレン「当たり前だ。お前、魔法使い始めて二日目だぞ」
「それでこれだけできりゃ、上出来だ」
蒼、少し自信がつく。
蒼の疑問
蒼「グレンさん」
グレン「ん?」
蒼「さっき、村人たちの感情が視えました」
グレン「【真実を見抜く眼】だろ?」
蒼「はい。最初は警戒してたのに...治療したら、温かくなって」
「でも...」
グレン「でも?」
蒼「何人かは、まだ疑ってました」
グレン「当たり前だ」
信頼についての教え
グレン、窓の外を見ながら。
グレン「信頼ってのは、一瞬で得られるもんじゃねぇ」
「お前が一人治した。それで信じる奴もいる」
「でも、まだ信じられない奴もいる」
「それが普通だ」
蒼「...じゃあ、どうすれば」
グレン「時間をかけて、積み重ねるんだ」
「一人ずつ、丁寧に治す。それを続ける」
「そうすれば、いつか信じてくれる」
蒼「...時間をかける」
グレン「焦んな。お前には時間がある」
蒼の過去との対比
蒼、元の世界を思い出す。
配偶者との関係。
信じていたのに、裏切られた。
蒼の内心:
「元の世界では、信じることが怖かった」
「でも...」
今日出会った村人たちの顔を思い出す。
リオの笑顔。
母親の涙。
老人の喜び。
「ここでは...もう一度、人を信じられるかもしれない」




