第13話:負傷した子供
泣き声
突然、広場の端から子供の泣き声。
子供「痛い...! 痛いよぉ!」
母親「誰か...! 誰か助けて!」
人々が駆け寄る。
グレンも蒼を連れて向かう。
現場
7歳くらいの少年が地面に座り込んで泣いている。
腕から血が流れている。
母親が少年を抱きしめている。
母親「リオ...! 大丈夫、大丈夫よ...!」
村人E「どうした?」
母親「木から落ちて...腕を...」
少年リオの右腕。
深い裂傷。骨は見えていないが、血が止まらない。
村人たちが騒ぐ。
村人F「治癒師は!? この村に治癒師はいないのか!?」
村人G「隣村まで呼びに行かないと...でも時間が...」
グレンの指示
グレン、蒼を前に出す。
グレン「蒼、お前の出番だ」
蒼「え...!?」
周りの視線が一斉に蒼に集まる。
村人H「この若造が治癒師だと?」
村人I「本当に大丈夫なのか?」
母親、すがるような目で蒼を見る。
母親「お願いします...息子を...!」
蒼、足が震える。
蒼の内心:
「無理だ...こんな大勢の前で...」
「失敗したら...」
グレン、蒼の肩を掴む。
グレン「お前にしかできない。やれ」
低い声だが、励ましが込められている。
蒼、深呼吸。
蒼「...やります」
初めての人間への治療
蒼、リオの前に膝をつく。
リオ、痛みで泣きじゃくっている。
蒼「大丈夫だよ。すぐ楽になるから」
優しく声をかける。
リオ「痛い...痛いよぉ...」
蒼、【真実を見抜く眼】でリオの傷を詳しく視る。
視えたもの:
皮膚の裂傷(深さ約2センチ)
筋肉の損傷
小さな血管の断裂
しかし骨は無事
蒼の内心:
「これなら...治せる」
手をリオの傷に当てる。
集中する。
「治れ...」
魔法の発動
手のひらから緑色の光
今までよりも強く、安定した光。
光がリオの腕を包む。
村人たちが息を呑む。
村人J「光ってる...!?」
村人K「治癒魔法だ...!」
リオの傷が塞がっていく。
血が止まり、皮膚が再生し、傷跡が薄くなっていく。
30秒ほどで、完全に治癒。
成功
光が消える。
リオの腕には、もう傷がない。
リオ、泣き止んで自分の腕を見る。
リオ「...痛くない」
蒼「もう大丈夫だよ」
リオ、蒼を見上げる。
リオ「ありがとう...お兄ちゃん」
母親、涙を流しながら蒼の手を握る。
母親「ありがとうございます...本当に...!」
蒼、初めて人から感謝される実感。
心が温かくなる。
村人たちの反応
村人たちが拍手する。
村人L「すげぇ...本物だ!」
村人M「あんな綺麗な治癒魔法、初めて見た!」
村長「...見事だ。本物の治癒師だな」
グレン、満足そうに頷く。
グレン「言っただろ?」
蒼、周りの反応に戸惑う。
しかし—
蒼の内心:
「これが...人を助けるってことか」
「初めて、誰かの役に立てた」




