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介護・福祉って公共事業だよな〜

作者: 草根黙秘
掲載日:2025/11/24

 「私はあんたを人間として信用しない」(ドスの効いたオラオラな声色で)


 これはある就労継続支援B型作業所サービス管理責任者が利用者に言った言葉だ。


 何もそんなに言わないでもいいじゃないかとおじさんは普通に思った。


 こんな厳しい言葉をぶつけられた利用者は何をしたのかというとルールを守らなかったらしい。


 らしい、というのはおじさんもちょっと手伝いに行っただけで詳細は把握していない。


 その作業所の壁には10種類程度の作業中のルールが書かれていた。

 他愛もないものばかりだ。

 挨拶しましょう

 作業中は声を掛け合いましょう、等など。

 

 どれかを守らなかったらしい。

 もちろんサビ管だけでなく他の支援員おっさんに「お前、何回同じ事を繰り返すつもりや? ええぇ?」と詰められていた。


 ヤーさんの組事務所ですか?


 いいえ、障害者の自立を助けるための生活・職業訓練・もしくはただの日中の居場所的な性格の施設です。  

 

 いくらでも失敗しよーぜ! そこから学ぼうぜ! 的な場所だと思うわけですがその作業所はいかなるミスも叱責の対象になっていた感じでした。


 怒られていた利用者は私の目から見ると作業所におけるサンドバックでした。


 他の障害の軽い利用者にも毎日言葉でいじられていたのでたまにしか手伝いに行かない私としては可哀想だなぁという気持ちが大きかったですね。


 ええ、助けませんでした。

 理由は私自身にも彼を救える力も時間もなかったですし、私が考える救済が彼にとっての救いであるとも限りません。


 ただ、やさしくはしていたつもりです。


 私は彼の入浴・送迎に付くことが多かったので彼とはよく喋りました。まぁ、そういう仕事でもあります。


 彼の実際のスケジュールは10時〜15時で作業所・そこから放課後ディサービス(放課後ディサービスの利用者ではないけれど)で17時半まで待機、その待機中に40分程度の入浴時間(身体介護1時間で請求)があります。

 週末金曜日は帰宅せずにそのまま同施設でショートステイでした。

 

 ショートステイも普通に社長の自宅です(ショートステイ用に建設した建物に社長一家が住んでいる)

 ショートステイの形もすごかったなぁ・・・・・・


 彼は下肢の変形というか、まぁ、車椅子でしたが、ショートではベットではなく床に直接布団を敷いて寝ていました。

 理由は多分両腕で動き回れるのでそうしたのだと思います。

 ただ、7時くらいに朝食を食べるために放課後ディサービスに移動するので(朝食を調理しているのは放ディのキッチン)車椅子に乗ってもらうわけですが人力パワーです。

 ええ、何もありません。

 車椅子も電動車椅子でした。

 横抱き・お姫様だっこですね。

 体重は60キロもなかった思いますが床から1人で抱き上げるわけですので介助者にもある程度の怪我のリスクがあります。

 私がその介助を行っている時に社長が「何かいい方法がないかしら」と私に質問してきたのですが普通にベットを置いたらと思いました。

 そのショートステイ、彼ともう1人、女性の利用者を1つの部屋で寝かせていました。6畳よりは広かったと思います、多分7.5畳くらいのフローリングの部屋に布団を敷いて泊まっていました。

  

 ベットを置いてしまうと2人も寝かせられない、狭くなってしまうからかなと、他の部屋? 一家で住んでるから空きが無いんじゃないかな?  

 

 ツッコミは無しで、福祉とはそういう世界である。


 さぁ、朝食です。

 車椅子の利用者2人を1人の職員で放ディの建物までお連れします。30メートルほどの道のりですが普通の道路を渡ります。

 雨の日はどうやってるんだろうかと思いながら(雨の日にこの介助には在職中はあたらなかった)到着。

 他の利用者の送迎のために出勤してきているおねーさんかもしくはおじさんが朝食を作ります。

 食パン、チンッとカットやさいでサラダと炒り卵的な朝食だったと記憶している。

 まあ、簡単な食事である。

 

 その後は放課後ディサービスが終わるまで(18時半くらい)軟禁が始まる。

 本人はフローリングの床で昼寝三昧である。

 ちなみにこの日の彼の介護実績は移動支援で請求される。

 実際は職員は誰もついておらず本人は昼寝しているだけであるが

お金だけは会社に入ってくる。


 いいお客様である。

 月曜日から金曜日までB型作業所で罵られながら利用者をやって、終わってからは放課後ディサービスで入浴して(放ディの利用者ではない事をもう一度だけ付け加えておく・ちなみに入浴介助しているおじさんは実績記録表の中では他の利用者の移動支援中である、その移動支援の利用者はこれまた放ディまで連れてきて放ディの職員たちで見守りとかするわけだ)週末は軟禁放置で移動支援のマネーを会社に入れてくれる。

 最高の客である。

 最高の待遇で支援してあげてもよくね? なんておじさんはその時に思っていた。

 

 彼を家に送る時に「草根さん、俺、他の作業所に行きたいんだ」と相談された。

 いいんじゃね? 

 と返答した。

 「でも、××さん(サビ管)にあんたみたいな人間ここでしかやっていけないよって言われたんだ」

 むしろこの作業所でやっていけている事がすごいと思うぜ、とは言わなかった。

 「仕事して、その後でお風呂にも入れてくれる施設なんてないからねって言われたんだ」

 生活介護事業所行けば?

 とおじさんは言わなかった。

 彼の相談員は社長の元旦那なので彼のような高額な利益をもたらしてくれる利用者を他の事業所に紹介したりはしないだろうと思う。かわいそうだと思うが(私の感想だが)一生この事業所に飼い殺されるだろう。

 福祉とはそういうものなのだ。

 利用者の幸福を実現させるための仕事ではない。

 働いている人間に最低限の生活費を与えるためだけの仕事なのだ。

 (まぁ、どんな業種でもそうなのだろうが) 


 彼の送迎だが。

 彼は電動車いすだ。

 その電動車いすは事業所で使うためだけのものなので彼の送迎は普通の車で行う。

 どうやって行うかと言うと人力パワーである。

 床から持ち上げて横抱きの状態で駐車場に止めてある車の助手席に運ぶ、そして、自宅についたら玄関を全開にして助手席に座った彼をまた人力で持ち上げて玄関まで運んで下ろす。

 両腕での移動が可能なので玄関まで運んで靴を脱がせてあげれば終わりである。

 彼の送迎に福祉車両は使わせてもらえない、使えない理由はまた別の話でさせてもらおうかと思う。その理由を書いているだけで長くなるのでね。


 障害福祉分野の総費用が4.2兆円らしい。

 すごいよな、こんなレベルの仕事にこれほどまでのお金が注ぎ込まれている。

 公共事業だよ、本当。


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