桜を散らす雨の音
「将来の夢……かぁ……はあ、悩むなぁ」
僕が公園で悩んでいると知らないお姉ちゃんが「どうしたの僕? 悩み事かい? 私に話してごらん」と話してかけてきた。
僕は誰かに悩みを言うのが苦手……聞いてほしいけど……やっぱり……んん
「あははやっぱり君って溜め込むタイプでしょ。ダメだよちゃんと吐き出さないと……心が痛くてどうにかなっちゃうよ」
「お姉ちゃんはどうしてそう思ったの?」
「私の知り合いに本当に君と似たような人がいてね。その人は幸せそうに笑うんだけど……後悔があるみたいで、時折り辛そうにしてるんだ。みんなもその人の心配するんだけど話してくれなくてねぇ」
「吐き出すって言ってもどうすればいいの?」
「こんな感じにすればいいんじゃない? すぅ、青木先生のバカぁぁぁぁ!! いくら私たち生徒の笑顔を見るのが幸せって言ったって先生が幸せじゃないと私が嫌なのよぉぉぉ!! そんなに辛そうにするなら私に話してよバカ。……やっぱり忘れて恥ずかしい」
「お姉ちゃんは好きなんだね、その青木先生って人のこと」
僕がそういうとお姉ちゃんが焦りながら「べっべつに……いや正直になるよ。うん好きだよ青木先生のこと」
なんだか同じ苗字だからかな……僕まで照れる
「それで君の悩みって……もしかして将来の夢についてとか?」
「……お姉ちゃんはほんとに僕のことが分かるんだね。僕ね、先生になりたいんだ……でも誰かを護れる警察にもなりたいんだ。どっちにしようか悩んでるんだ」
「悩めるうちにしっかり悩むんだよ。私は君は"誰かを護れる警察"になれると思う……でも先生にもなってほしい」
僕はお姉ちゃんに聞いてみた。
「お姉ちゃんはもしなれるとしたらどっちになってほしい?」
お姉ちゃんは照れながら「誰かを護れる警察に護ってもらいたい……かな?」
僕はお姉ちゃんの顔を見て心が痛い……この気持ちってなんなんだろう?
「僕絶対お姉ちゃんを護れる警察になるから!! 見ててねお姉ちゃん」
「見てる……って言いたいけど、多分もう会えないから……約束出来ない、ごめんね」
「そ……うだよね、僕こそごめんなさい」
「謝らないで。それとね……どんなに辛くなっても……その君は一人じゃない私が、私たちがついてるから。それともう一つ私から君に溜め込みすぎず、泣きたい時は泣いていいんだよ。怒りたい時は……怒ったらいけない時もあるけど、怒ることで分かる大切なこともあるから……まあ言いたいことはね、無理せず、我慢せず楽しく生きてねってこと」
「ありがとうお姉ちゃん、お姉ちゃんが教えてくれたこと大切にするね。それじゃあ早速帰って勉強するね、またねお姉ちゃん……バイバイ」
「またねバイバイ」
僕は手を振って帰ろうとして振り返るとお姉ちゃんが涙を流しながら手を振っていた。
そして場面はお姉ちゃんこと櫻木琴音に変わる
本当は……本当は警察になってほしくない、先生になってほしいよ"青木先生"
青木先生は警察になりたかったって言ってたから……私は青木先生のことが好き……だから幸せになってほしいし後悔もしてほしくない。
だから私は青木先生が将来の夢に悩んでる時代に戻った。
そして青木先生のなりたがった警察になってほしいと伝えた。
あ〜あこれでもう……会えない、嫌だ嫌だよ青木先生"バイバイ"なんてしたくない。
なんで……なんで好きになっちゃったんだろ。
青木先生の生徒のために全力で優しさで包んでくれて……悩んでいた私を照らしてくれたあの笑顔……青木先生、あなたの紡ぐ一つ一つの言葉が私を"幸せにする(苦しめる)"ことに私は……気づきたくなかった。
これで青木先生は後悔はない人生になれたかな?
見て……見たかったあなたの笑顔を、人生を。聞きたかったあなたの声を……言葉を。
……また琴音って呼んで……ほしかった、でももう……覚悟して過去にきたのに……なんで涙が止まらない……止まってよ!! 最後ぐらい笑顔で見送りたかったのに。
あなたのいない人生(世界)を私は生きたくない……分かってる、はずだったのにいつかは会えなくなることぐらい。
私は泣きながら自らが変えてしまったあなたのいない未来に戻った。
「母さん……ただいま」
「どうしたの琴音!?」
「青木先生とお別れしたの」
「誰よ青木先生って……そんなことより、これで涙拭きなさい」
"そんなこと"……か、でも青木先生がまだ警察になれたかどうかが分からない。
「そういえば琴音今日学校で警察の安全講習会があるでしょ!! 早く登校しないと遅刻するわよ!!」
母さんはそういって講習会のプリントを渡してきた。
そこには講習会の講師の名前が書いてあった。
その名前は"青木将星"と。
私はその名前を見た瞬間すぐに支度を整えて学校に向かった。
ガチャン!!
「はぁ、はぁ、はぁ……青木先生にまた会える!! 私のことは覚えてなくてもいい……ただあなたのそばにいたい、話したい!!」
私は再び流れ止まらなくなった涙を袖で拭いながら走った。
私は講習会が始まる前に青木先生に挨拶をした。
「はぁ、はぁ、はぁ……あっあの青木せ……青木さんおはようございます。今日はよろしくお願いします」
「はい、よろしくお願いします」
やっぱり覚えてないよね、でもまたあなたの声を顔を……見聞き出来た。
泣くのは我慢しないと……今青木先生と私は関係ないんだから、困らせるわけにはいかない。
ガラガラ
「えー今日講習会の講師を務めさせていただく青木将星です。よろしくお願いします」
一時間後
「あ〜暇だったな結城」
「なっ創」
私は講習会で夢を叶えた青木先生を見れたことに幸せを感じながらも心を苦しめた。
すると「琴音さん……少しいいですか?」
青木先生……また私の名前を……。
「なんですか青木さん」
青木先生は「屋上に庭園があったよね。ちょっと一緒見ない? それと少し話がしたい」
そこは私と青木先生がよく二人で行った思い出の場所
私は「はい」と涙を堪えながら答えた。
ギィィィガチャン
「あの青木さん話とはなんですか?」
「勘違いじゃなければ……なんだけどあの時の"お姉ちゃん"だよね。あの時のお姉ちゃんの言葉に僕は救われたありがとう……それと……あの時から僕はお姉ちゃんを護れる警察になりたくて頑張ってきた。それで我慢せずって教えてくれたよね……その……愛してます、付き合ってください」
「……なんで今言うの……ただ今回会えるだけでよかったのに……もう」
私が涙を堪えるために言葉を詰まらせると
不安な表情を浮かべた青木先生が「もしかして嫌だった?」と言ってきて私は堪えきれず
「嫌なわけないでしょ!! 私はずっとずっとあなたに会いたかった!! あなたが警察になりたかったと後悔してたから幸せになってほしかったからタイムマシンを作って過去にだって行った。私はずっとあなたのことが好きであなたの言葉一つで私は心が満たされた。あなたの笑顔が言葉が……全てが私を照らして救ってくれた。あなたのいない人生(世界)で生きたくないとさえ思ったんですよ。そんなあなたに『愛してます、付き合ってください』なんて言われて私が断るわけないでしょ!! 付き合うに決まってますよ青木先生!!」
私が泣きじゃくっていると青木先生が私の泣き顔を隠すように抱きしめて「ありがとうお姉ちゃんこれからずっと一緒だよ」とボソッと呟いた。
それからの生活はまるで夢物語のような幸せをこれでもかというほど味わった。
私は高校を卒業後青木先生と結婚することになったことで毎日が幸せすぎて……失う時のことを考えると怖くなっていた。
おしまい
見つけて読んでいただきありがとうございます!!
大切な人に会えなくなる夢を見て悲しくなったので書きました