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54/59

同数


 両陣営が七人の戦力を有し、人数さだけで言えば同格。

 だが、スキル、身体能力、判断力、技能、様々な能力が一律同じわけではない。

 組み合わせ次第で有利不利が容易に変わる。


 しかし、そもそも一対一などこの状況下では成立するはずもない。

 この場の意思が介入し一番取りえる選択肢は、ある程度の連携の取りやすい者同士での共闘。

 詰まるところ今回のイベント中で同じグループになった人間同士が集まる傾向にある。


 つまり、火ぶたが切られたこの瞬間に、俺は同じくCグループのミルノさんと組み、そしてAグループの春畑リンヤさん、さこなさん、Eグループのヘキさん、ダックさんがタッグを組むようにして動いた。

 同時に、相手の陣営も同じように動くも、こちらよりもばらけているのか事前に共有した情報により確認していたBグループとFグループだけのペアの構成となる。


 そして、俺の前に現れたのはFグループの二人、トミイタと昆布西口だった。

 『ばくだん!』の無差別的な破壊力を考えれば、彼がこちらを警戒すると察していた。

 だが、そこまで予想出来ているとなれば、先手を打てる。


 俺が爆弾を生成すると同時にミルノさんは土魔法で地面をせり上げる。

 僅かに足元を盛り上げるに至るそれはトミイタが事件を蹴る際に踏む足場を制限する。

 これによりわずかにでも、数パターンあった彼の動きを絞り込む。

 最終的に予想できた場所にはすでに爆弾を投擲済み。

 奴はこれをもろに受けるしかない。


 だが。


「ちっ」


 同時に、彼にはペアを組むものがいた。

 それを証明するかのように、地面を氷結させて槍のようにせりあがったそれは爆弾を遠ざける。

 この乱戦状態では最適解だろう。

 本来なら壁を作り威力の軽減に努めるところを、今の密集した状態ではわずかにこちらの投擲位置からずらすだけでこちらは他の人間に当たることを危惧して爆破をできない。

 それだけでこちらの先手は意味を無くす。


 同時に、こちらの二の手を打たせないようにトミイタは次のスキルを発動する。

 『暗幕』のスキルだ。

 少し前、俺が利用したそのスキルを奴は使った。

 いや、それに気づいたのは攻撃が寸前まで迫ってからだった。


 『暗幕』の対象は昆布西口の氷の槍。

 俺の影が落ちる地面から発動させるそれに対して『暗幕』を使うことで黒く染まった氷の槍は認識を遅らせる。

 遅れた対応は隙を生み。

 そして、更に後手に回ることになる。


 ここで奴が取ったのは武器での攻撃。

 どこからか取り出したのは短剣。

 それがこちらに刃を向けるが、だがこちらの方が速い。

 俺が短刀を抜く際に『ばくだん!』を生成して破裂させる。

 その反動で腕を振り、同時にトミイタの周りでも爆発が起こる。

 先ほど、逸らされた爆弾を気付かれぬようにミルノさんの土魔法で、こちらまで戻していた。

 しかし、爆弾の規模は大分抑えているし、風圧程度の効果しかない。

 故に、相手の身体を揺さぶるにとどまるがそれでも十分だ。


 奴の攻撃を短刀で受けた。

 そして、これ見よがしに見せたこれは囮、脇から生えて来た氷の槍を避けるべく後方へ跳んだ。


「っ」


 自然、にらみ合うような形になる。

 ここまでの戦闘は数秒にうちに行われた。

 流れるような行動の連続に少なからず息を切らす。


 互いに睨みあう中、周りでの戦闘が行われていた。

 だが、俺たちと同じように皆がその場で向き合っていた。


 だからそこで気付くべきだったのだろう。

 奴らの罠に嵌っていることを。


 俺がそれに気づいたのは、再び蹴ろうとした地面から足が離れなかった時だった。

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