異世界?
第三話
頭は痛いし、少しクラクラする。間違いなく酒が残っている。でも目は覚めた。
これから駅まで行って、電車→新幹線→電車→バス→自宅→職場……
絶対間に合わない。
……休もう……
職場に電話しなきゃな…
何て言い分けしよう…
…
…
…
電話が繋がらない。
画面を確認すると電波無し。
「げっ!」
通信障害?……そんな訳無いな。このタイミングで止められたか…
公衆電話なんて有るか?
昨日会場へ行く途中にコンビニが有ったからそこで聞いてみるか。
「ぃらっしゃーせー」
やる気の無い声が迎えてくれる。こんな時間だし夜勤の店員だろう。
陳列か品出しか掃除か姿が見えない。
「すみません」と声をかけると「はーぃ」と棚の陰から返事が有った。
公衆電話の場所を聞こうとして「あの」と言いかけた所で店員?が顔を出す。
喉がキュッと締まってそれ以上声が出ない。
一瞬思考が止まる。
幻覚?夢?酒のせい?
店員?が怪訝な表情?で聞いてくる。
「何でしょう?」
「えっと」
「えっと」
「えっと」
言葉が出て来ない。ヤバいこのままだと頭のおかしい奴だ。
「あの。公衆電話。あの。この。近く。公衆電話。有りますか。近くに公衆電話ありますか?」
何とか言えた。
店員?は怪訝な表情?をしながら「駅に有ったと思いますよ。」と教えてくれた。
「ありがとうございます。」と言って後ずさりながらコンビニを出る。
血の気が引いて冷や汗が吹き出す。その場で座り込んでしまった。二日酔いなんか吹っ飛んだ。
何?今の!?
何?今の!?
ハロウィン!?
お面じゃないよな?かぶり物?でも口も動くしなんか生々しかった。やっぱり夢?
もう一度確認する勇気が出ずその場を離れた。
駅に向かう。
駅の方から歩いて来る人、自転車に乗っている人。一瞬ビクッとしてしまったが、大丈夫。人だ。
駅前が見えるようになり、足が出なくなった。人に混じって色々な容姿の人?が居る。猫、犬、鳥、牛、トカゲ…
顔が人間以外の人?があちこちに居る。…さっきの店員はやっぱり猫だったのか。
夢?
こんなリアルな夢があるか?
ふと思い出す。今朝の夢。異世界転移?
え?
これが異世界?