4/4
エピローグ
そして夏休みの残りだが。今度は彼女が、私に纏わりついてきていた。
「砂浜で、私のことを『相棒』って言ったわよね。その言葉を嘘にしないで。私、貴女のことをもっと知りたい。だから一緒に過ごしましょう」
「……その、聞いていい? あんた、私のことを好きなの? 恋愛感情って意味で」
「分かんないわよ。こんな気持ち、初めてだもの。その気持ちをハッキリさせるためにも、私は貴女と長く付き合いたい。だから貴女も、もう無茶はしないで。ナイフで脅しつけるのも駄目よ。私も人は殺さないようにするからさ」
「うん……努力する」
「あと、私のことを『あんた』って言うのは止めて。貴女って呼んでよ」
「ごめん。家の男が、言葉遣いとか乱暴でさ。その影響が、なかなか抜けなくて……」
ああ、やっぱり女の子はいい。柔らかくて繊細で、そういう存在が増えれば世の中は良くなる気がした。亡くなった子が言ってた『ジェンダーレスな社会』というのは、私には良く分からないけど、優しい世界のことかなぁと思う。傷つきやすい子たちをどうか優しく見守って。