第3話 召喚の手引
3月に おもちゃの戦車 マーチング
思わず一句。
料理番組のテーマ曲「おもちゃの兵隊のマーチ」が鳴り響いているようだ。
召喚とはどんなものかと、すぐ近くにある校庭で僕が戦車の歴史を語りながら順番に並べた戦車を最後に動かしたから。とんでもなく五月蝿い。
スピーカーで起動音をを再現しているらしいから尚更だ。
近所迷惑だ。
この世界には僕と僕の二人だけだが。
先頭を行くイギリスの戦車の迫力は凄い。機関車が爆進している。キャタピラーを無限軌道との訳に納得。
「ボディーガードとしてはこっちのほうが無難かな」と、僕。
イギリスとドイツの戦車に挟まれた小さなフランス製の戦車だ。
自動車メーカーのルノーなら知っている。
英国車派の目白の伯父さんが友達のルノー小父さんと悪たれ口をたたきあっていたから。ルノーはもちろんニックネームである。憎いネームではない。
ちなみにゴーレムの場合、大きさは性能に関係なく場所塞ぎになるだけらしい。
トヨタや日産、ホンダの戦車はないのか聞くとないそうだ。
戦車の種類なんか覚えられないので、向こうの世界に行ったら一種類でよいのかと聞くと、僕は少し考えたあとで悪くはないがつまらないから「カタログ」を用意するといった。
一種類につき一つの召喚というルールを設けるそうだ。性能は同じなので、三面図と縦、横、高さ、重量の数字に名称だけらしい。飛行機、軍艦もそうするとのこと。
さすがに軍艦まではここで召喚しないらしい。
立体凧の名前は、かの有名な「ライトフライヤー」である。
召喚した戦車を消して、飛行機の召喚が始まった。
「カタログ」があるなら召喚の必要はないのではと聞くと、飛行機の歴史を講義してくれるらしい。「カタログ」に書き込んでおけばよいのでは。読む気はないし、読む意味もないだろうが。
それよりも大事なことがある。
娯楽だ。
映画やテレビに、ラジオ、新聞、雑誌、小説、漫画など、いますぐには思いつかないことだってあるだろう。交渉してみたところけんもほろろに断られた。
向こうの世界への影響が大きいというより、僕の向こうの世界との関わりが減ると転移させる意味がないらしい。
この僕がどう関わるのかが重要らしい。
その理由は教えてくれなかった。
「カタログ」の扱いはどうなるのかと聞くと、召喚された「カタログ」は向こうの人間とっては白紙の本らしい。
白紙の本として売ってやろうか。
次回「資源の問題」