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第16集 水使用税

 水不足の国に水の輸出を始め、我が国はついに新しい税の導入を決めた。それは水使用税。清涼飲料水をはじめ、農畜産物、工業製品、水道基本料に至るまで課税されて値上りした。新しい経済戦略がインフレを引き起こしても、賃金は増えない。休憩室の給湯器は使用禁止になるし、水使用税なんて地球温暖化対策税の次によく分からない税金だ。


 「水使用税は無駄な水の使用を減らすための税金です」政府広報のポスターの下に、「誰か」が油性マジックで「無駄な」を囲って矢印を加えている。つい読み上げると「水使用税は水の使用を減らすための無駄な税金です」となった。通行人がスマホで撮影し、SNSのアプリを立ち上げ拡散するらしい。私は「誰か」さんが器物損壊罪で特定されない事を祈りつつ、無駄な時間を潰した。


 水使用税が導入された上、連日の酷暑で食材価格の上昇が止まらない。仕方なくスーパーで合成タンパク質のレシピデータを購入し、自宅のプリンターで出力したご飯、野菜を食卓に並べる。『水使用税は食材プリンター産業の陰謀?』根拠のないタイムラインを流し見し、特売の地元漁港で直どりされた魚の塩焼きを頬張る。魚は課税対象外のため安く、自然と肉より魚を食べることが増えた。案外、水産業の陰謀だったのかもね。


 「屋上に貯水プールを備えた家」は屋根全体をプールにして、局所的豪雨の雨水を溜め転売するらしい。「それで屋根をわざわざ平らに直すんですか」私が聞く。インターフォンのセールスマンが言った。「水使用税で生活が苦しくなる中で副業としてぴったりですよ」。私は静かに確認する。「冬はドカ雪が降るんで、屋根が平らだと家が潰れます」セールスマンが絶句したのは言うまでもない。



 「雪、買い取ります」と車体に大きく印刷したトラックが我が家の除雪した雪を積み込み運んでいく。「雪まつりがあるの?」と子どもが聞くので「雪解け水として飲み水になるらしいよ」と私は話し、思わず「北アルプスの山の恵みで淹れたお茶」のラベルを見る。「原材料名 緑茶 酸化防止剤(ビタミンC)(除雪した雪解け水は使用していません)」。雪解け水にも色々あるのね……。

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