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神による進化面接〜僕はカラが欲しかったミミズなんです!!!

作者: 葵さくらこ

挿絵(By みてみん)



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進化論の真実は驚くぐらい何も語られてない。



実際は「面接」なんですよ。



進化面接。



ダーウィンの進化論なんて、あんなのウソっぱちな子供だましっす!!!


数年に一度、神(もちろん全知全能)に対して、『面接』が行われ、そこでどのような『進化』が与えられるかが決定するのだ。


200万年前、『ニンゲン』が来た時もそんな感じだった。当時誰も欲しがらなかった『二足歩行』と『器用な指』と『でっかい脳』を奴らは懇願したのだが、そんなあまりにも地味且つ、生きる上での効果が即座に現れないような特徴、欲しがる動物なんて他に一匹もいなかったモンだから、神も即決してしまった。


(※たいていの動物は「牙」とか、「毒」とか、「早い足」とか、だいたいそんなモンを欲しがる)


が、おもろい事にニンゲンは今や地上の覇者だ!!! 神様もビックリ。分からないモンだ。


でもって、その面接、やっぱり面接だけにある程度の『理由』というか、神をも動かすアピールポイント的な要素が必要になってくるので、その理由に正当性が無いと却下されてしまう。


まぁ、あんまりしょっちゅう『進化』させてしまうのもどうかと思うので、くだらない理由のヤツは、バシバシ落としてるんですよ、神も。


たまーに勘違いして『めっちゃデカイ牙!とにかくデカイの!』とか言い出すヤツもいて、結果、『牙デカ過ぎて死滅』という悲惨な末路を辿ったヤツとかもいるが。(※サーベルタイガーの事。牙がデカ過ぎてエサ取れなくなって死滅)



でもって、今日の面接。



ミミズがやってきたのです。



でもって書類にはただひとこと、



「背中にカラが欲しい(渦巻き状の)」



…と、書かれていた。




早速ミミズは熱弁を振るう。



「僕らミミズ属は、昔からぐにゃぐにゃだったんですよ!!!!! なんだかぐにゃぐにゃブニュブニュで不気味扱いされ続けてるんですよ!」



開口一番、いきなりヒートアップ。かなりトップギア。



「地上から出た瞬間、ギャーとかグエーとか気持ち悪がられて、目の敵にされてるんスよ!」とミミズは更に続ける。


「誰に?」


神は聞く。


「人に。」


ミミズは答える。更にミミズは続ける。


「だからこそキュートなカラ、それも『渦巻き状のモノ』を背中につけて、子供達のアイドルになりたいのです!いやーんミミズさんかわいい!とか言われて、モテモテになって、『ミミズの唄』とか作ってもらいたいのです!!!!」と、ミミズは更に熱弁を振るった。


「もしかして、カタツムリに憧れ?」


と、神は聞いた。こっくりと頷くミミズ。


「アイドルになりたいの?」


更に聞く神。頷くミミズ。



時代も変わったモンだ!


氷河期直前の頃なんて、ホント生死のギリギリのヤツばっかで、「頼んます!まじ毛皮無いと死ぬんですよ!寒くて死にそうなんですよ!」って感じで、『この進化与えてあげないと、マジ死ぬなコイツ』ってヤツばっかだった。


あの時は結局、さすがに全動物に毛皮(=体毛)をあげるワケにもいかなかったモンだから、一部の動物にだけ、毛皮(=体毛)を与えてあげた結果、毛のない動物はほとんど死んでしまった。神様ちょっと反省。


今は多少平和なのだろう。進化の申請理由もすこぶるライトだ。これも時代の流れ。移りゆく時の変化。



「アンタ昔、イカにカラを与えたじゃないですか!!!!」



ミミズは更に続けた。


あ、『アンモナイト』の事ね。神も昔過ぎて忘れてしまってた。そうそう、3億5000万年前、ウチに来たイカにカラを与えてあげたっけ。



「ただアレは、"外敵から身を守りたい"っていう明確な理由あったし…。」



神は答えた。神は更に続ける。



「おたくら、別に外敵いないじゃんそんなに。」



神は言った。しばらく言葉を見失うミミズ。多少躊躇しながら、ミミズは言い訳でもするように言葉を続けた。



「いや、いますヨ…。モグラとか。あ、あとたまにスズメとか。」



ミミズの反論。神はそれに対して、冷静な統計的事実を伝える。


「だけど、それも実は回りの動物と比べると、かなり少ない方なんだよ。ほとんどのミミズは地中で天寿を全う出来てるんだよね。たまーに地上出て戻れなくなって、干からびて死ぬヤツとかいるけど、それって外敵関係なくて、そいつがバカなだけだし。つか、もし身を守りたいのなら、全身固いウロコとかで覆った方が実用性はあるよ。それだったら理由として分からない事もないけど…。」


神は鬱陶しそうに続けた。ただ、この「全身ウロコ案」については「キュートじゃないからイヤだ」「それじゃ結局微妙なヘビだ」みたいな理由で、激しくNOを突きつけてきた。



神はなんだかもう、終わらせたくなってきた。はっきり言ってうざい。こんなの理由にならねぇ!!! こんなヤツにぽんぽん進化を与え続けていたら、生態系を支える進化ってヤツは根底からメチャクチャになってしまうではないか!!!!


が、ミミズは続けた。



「じゃあ、なんでナメクジにカラを与えたんですか…」



↑ミミズは言った。あ、やべぇ。理由特にねぇや。


あ、そうそう、確かあの時のカタツムリは、「もうちょっと外でアクティブに歩き回りたい」って理由だったよーな気がする。ナメクジのままじゃ外出てもすぐに水分蒸発しちゃうしね。だからこそ"カラ"をつけて、水分を外に逃がさないようにしたい…ってのが理由だったよーな気がする。


それでも結局カタツムリ、出歩けるのは「雨の日」だけなんだけどね。



とまぁ、カタツムリはカタツムリなりに、それなりの理由はあったんだ。


それに対してコイツと来たら、明らかに動機が不純。モテたいで進化させてたらキリが無いぞ。そんな事したら、全動物をパンダにしなくちゃならない。



神様はミミズのツッコミにイチイチ反論すんのが面倒だったので、カタツムリにカラを与えた理由については特に何も言わなかった。



かわりに慰めというか、諦めさせる為に、



「ミミズだってかわいいじゃないか。そういうマニアもいるかもしれないよ…」



と続けた。



「そんなの奇人変人だけです…」



ミミズは更に涙目になりつつ、絞り出すように言った。



彼は彼なりに真剣なのかもしれない。神の目から見れば "くだらない理由" だとしても、彼は彼なりに悩み、彼なりに苦悩の日々を送っているのかもしれない。





「実はカラが欲しいという人(生き物)がもう一人いるんだ」




…と神は続けた。



「入りたまえ。」



のそのその入ってきたのは「ヒル」だった。



彼も全く同じような事を言った。



「どうもヒルっす!僕も子供達のアイドルになりたいんス!モテモテになりたいんス!今でこそ田んぼのバケモノみたいな扱いされてますが、背中にカラとかつけて、『ヒルちゃんの唄』とか作ってもらいたんです!!!」


…と、ヒルは懇願した。



…こいつも同じ理由か。。



何故どいつもこいつもアイドルになりたがる。。もしかしたら生態系の事実上のトップであるニンゲンに媚びる事によって、生命の危機をより一層減らしたいと思っているのかもしれない。アイドル化=保護されるという事で、生き延びられる確立を更に上げる事が出来ると思っているのかもしれない。



が、正直、子供のアイドルになったぐらいじゃ、生命の危機はそんなに変化はないぞ。ミミズの唄とか作ったって、ヒルの唄とか作ったって、ヒルやミミズの日々の生活にはそんな変わりは無い。





ところが神様、結局ミミズにOKを出したんですよ!!!!




何故、ミミズには出してヒルには出さなかったかとゆーと、ヒルに対しては「血を吸うからダメ。カラぐらいつけたところで、結局アイドルにはなれない。アイドルになりたければ、まずはその食生活から変えなさい!」という事で、却下されてしまった。



で、何故ミミズにOKを出したかとゆーと、実はミミズに対して、ちょっとだけ "うしろめたさ" があったんですよね。



あれ、書類の提出ミスだったんですよw



実は神様、ミミズを世にデビューさせる時、ホントならそれなりに目とか足とかつけてやって、地中以外の場所でもそれなりに生活出来るよーにしてやろうと思ってたんだけど、提出書類の中の "体つき" …の欄の "手足" とか "目" のところに、○をつけ忘れちゃったんですねー。


でもって、やべぇ!元に戻さないと!と思っていたのだが、ミミズはミミズなりに、地中であんがい楽しそうにやってたので、まー、そのままでいいか!って事で、長らく放置していたのです。



そんなうしろめたい気持ちがあったので、今回は特別に許可してあげたのです。



つまり気まぐれです。



ただ、条件として、全匹そうするワケにはいかないから、最初は一部の個体だけに、カラをつけるよ。それで様子を見るよ!と釘をさされた。



それでもミミズは嬉しそうだった。



「ありがとうございます!がんばってアイドルになります!」



とミミズは言い残し、その場を去っていった。




ヒルは悲しそうだった。




ヒルは去り際、「アイドルが無理なら、今度は徹底して悪役になりますよ。次回は巨大化を要求します」…と、恐ろしい事を言い残し、今回の面接は終了した。







そしてそのカラ付きミミズ、その後どうなったかというと、カラが邪魔になり、その多くが地中から出れずに死んでしまいました。



その中の一部、偶然にニンゲンに発見されたのだが、それは一匹。たった一匹のみ。



ただ、あまりにもセンセーショナルな発見だったので、それなりにニュースになり、世界を駆けめぐった。



「驚異!なんとカラ付きのミミズ!これは神の気まぐれか???」


…というのが、その大半の見出しだった。




ホントに神の気まぐれだったんだけどねw





…まぁお話は以上になります。ぜんぜんどうでもいい話ですが、「ウロコのあるイカ」というのがいます。(←これは本当です)


ただ、発見された時は既に "死骸" で、発見例も世界で一件しかありません。



もしかしたら、これも神の気まぐれだったのかもしれません。




(ちなみにこのウロコイカ唯一の遺骸は、大英博物館に保存されております)(※本当)




<他にもたくさん作品があります!>

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― 新着の感想 ―
[一言] 相変わらず面白い、というか私好みの作品をありがとうございます。 ウロコイカですか。それはまた興味深い。 神様の気紛れ的な話で私が思い浮かべたのは、鉄のウロコを持つ貝ですね。こいつは深海で何年…
[一言] 主張のある珍しい作品でよかった。でも、オチてないね。カラを手に入れたミミズに強引でも何か起きて欲しかった。
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