第9話 化け物の行進
地響きは激しくなる。激しくなって激しくなって、そして破砕音が鳴り響く。周囲の邪魔な建造物を破壊して、多種多様な大きなモンスターと小さなモンスターが多数出現した。モンスターは一瞬足りとも止まることなく、環奈達へと襲い掛かった。
モンスターの濁流はあっという間にこの場を支配し、環奈達を分断した。戦力が分散されて窮地に陥ったかと思われたが、案外そうでもなかった。……巨大なスライムに襲われていた者達は既に肉塊と化している。
まず、環奈へと襲い掛かるモンスターだが、周囲を取り囲んでなお掠り傷すら与えられずにいた。
攻撃自体は当たる、当てられる。当たった感触があるのだから間違いなく当たっている。けれど、環奈には傷が付かない。
ならば自身の肉体の強度を上昇させることが環奈が自信に思っている異能力なのか、と言われれば全く違う。
そもそも環奈の肉体の強度は何一つ変わっていない。攻撃の際に力むことから多少筋肉に力は入っているだろうが、それを除けば変わっていない。
ならなぜ攻撃が効かないのか。
答えは向けられたエネルギーをそのまま跳ね返しているからだ。
振るわれた拳が、環奈を薄く覆う透明な膜に触れれば、その衝撃はその拳へと跳ね返ってくるのだ。
【ベクトル支配】
これは通常スキルにもある【向量操作】の上位互換となる固有能力で、あらゆる力やエネルギーの速度、加速度、量などを思いのままに操作できる異能力だ。
【向量操作】は脳で物の向きや速度やエネルギーを把握して使用しなければならないのに対して、【ベクトル支配】は脳であまり考えずとも触れたものを自動的に跳ね返す『自動反射』の機能がある。もちろん、【向量操作】と同じく触れたものを任意の方向へ反射することもできるが、これをするとなるとやはり脳を酷使してしまう。
つまり攻撃を無効化する『自動反射』を常に使用していれば、乱戦でも無傷でいられるわけだ。
一見無敵に見える……というか無敵そのものの『自動反射』だが、欠点はもちろん存在する。
それは環奈が無意識の内に自分に課してしまっている制限……自分より大きい物や害意を持たないものを自動的に反射できないこと……あとは使用制限時間だ。
自分より大きい物が自分に弾かれるイメージができないから、自分に危害が加えられないものを反射するわけにはいかないから、と。……使用制限時間に関しては異能力を使用する際に要するエネルギー……例えば魔力や妖力などの枯渇があるからだ。
だから建造物に力を使って自分を弾こうとも建造物は倒壊しないし、父との勝負で簡単に組み伏せられたりするわけだ。……けれどそれは『自動反射』のみで、脳を酷使する【向量操作】では、自分より大きなものも、害意がないものも関係ない。
だから環奈が危険視するのは先ほどの巨大スライムのように大きいモンスター。この場で言えばオーガやトロール、ミノタウロスなどの中型モンスターがそれにあたる。
ちなみに、小型モンスターや大型モンスターは一目みれば分かるが、中型モンスターに関しては小型とも大型とも呼べない中途半端なモンスターのことを纏めて呼称しているものなのでかなり幅広い。
人間より大きいオーガ、トロール、ミノタウロスも中型、人間と同じかそれより小さいぐらいのキラーウルフも中型だ。
「あんた達はあたしの天敵だから遠慮なく殺らせてもらうわよ」
有象無象の攻撃を跳ね返しながら環奈は中型モンスターへと駆け出した。『自動反射』が眼前のモンスターを撥ね飛ばしてくれるおかげで道は自然と切り開かれていた。
一方、モンスターの濁流によって分断された先ではアグナとマルスが互いに背中を預けあってモンスターと戦闘を繰り広げていた。
アグナが手から射出する炎は白い輝きを帯びており、アグナが手の平で触れた魔物は腐るように朽ちていく。聖なる力と腐蝕の力を使うのがアグナの異能力だ。
【腐敗の手】と【浄化の炎】
この二つの固有能力はその名の通り、【腐敗の手】はアグナが触れた物を腐敗させ、【浄化の炎】は不浄のものへの特効を持った異能力だ。
アグナの母であるニグレドが所有していたものに酷似している。
マルスは透明な鎧と剣を身に纏い、積極的にモンスターを討伐していた。透明だった鎧は返り血を浴びてところどころが赤く染まっており、その中には自分の血液も混ざっていることだろう。
【不屈の蛮勇】【水晶の武装】
それがマルスの固有能力だ。
【不屈の蛮勇】はどれだけ傷を負っても、敵を倒すか、自分が死ぬかするまで決して意識を失う事がなくなり、絶望への耐性を得られ、【水晶の武装】はマルスが身に纏っている透明な鎧と剣を生み出す異能力だ。
マルスの母であるアルベドが所有していたものに酷似している。
「本物の戦いってのはこんなにも昂るもんなのか! あの山で親父に手助けされながらじゃこの高揚感は味わえなかった! ははははは! いいぞッ! いいぞモンスター共! 俺がぶちぶちに引き裂いてやらァ!」
「お前は戦いごとになれば絶対っつっても良いほど現れやがるなぁ、アレス? あとでマルスが自己嫌悪に陥っちまうぜ?」
「知るか知るか、男たるもの戦いに貪欲になって高揚して渇望しねーと。それにも関わらずなよなよしてるマルスがわりぃんだ。クレアですらビビりながらも殺れるってのに、小型モンスター一匹狩れねぇって重傷だぜ? だから俺がこの体に馴染ませてやんだよ。血の匂いをな」
水晶の剣を振るうマルス……アレスと、モンスターを腐敗させ炎で焼き尽くすアグナは余裕そうに話ながら戦う。
一方の分断された先ではアルカが孤立しながらモンスターと戦っていた。
けれどアルカは苦戦しない。瞬時に、臨機応変に、適応しながら戦闘する。そのアルカの普段のふわふわした浮わついた雰囲気は存在しておらず、思考が稀薄なモンスターの如く淡々と敵を討ち取っていた。
アルカの固有能力は【物真似】だ。母であるクラエルが持つ固有能力のように自身の姿形を変えたり、複数のスキルが統合されたようなものではないが、使い勝手は似たようなもので、反則級の性能を誇っている。
【物真似】はその名の通り物真似するスキルだ。自分が一度見たスキルや魔法ならば使い方さえ分かればなんでも使えるようになる破格の固有能力だ。
だが、使い方が分からなければ何も使えないためにそこまで幅を利かせられるわけではない。例えば、相手の精神に直接干渉するような、異能力の発動が可視化されない異能力は使えない。
それに、使用可能な異能力はその日の内に見たものに限られるので、昨日や一昨日に見た異能力は、もう一度見ない限り使えなくなってしまうわけだ。
相手の一挙手一投足を凝視してスキルや魔法の詳細探りながらも周囲のモンスターからの攻撃を躱しながら戦う。それがアルカの戦い方だった。だから戦いが長引けば長引くほど、敵が多ければ多いほどアルカは凄まじい速度で強化されていく。
「……」
無言で鋭くモンスターを討つアルカの眼前に現れたのは『ユニークモンスター』と呼ばれる特殊なモンスター。
ユニークモンスターは所謂二つ名持ちのモンスターのことで、名前だけを持つモンスターは『ネームド』と呼ばれている。
当然その力関係は、名前が一つしかないネームドより名前が二つもあるユニークモンスターの方が強い。
なぜ眼前のモンスターがユニークモンスターだと分かったかと言えば、他のモンスターよりも鋭い威圧感を放っているのもあるが、目にした瞬間に自身の異能力を把握した時のようにモンスターの名前が脳裏に過ったからだ。
アルカの眼前に現れたそのモンスターの名は[雷光のレイゴーン]。
人間のような形をしていて肌の色は鼠色をしており、周囲の炎の光が透けて見えるほどに薄い翼を一対背中に生やしている。顔と思われる部位は鳥類を思わせる鋭さを醸し出していた。
雷光のレイゴーンをこの場の脅威と認識したアルカは真っ直ぐ駆ける。レイゴーンはその走りを妨げようと自身の手の平から幾つもの雷を放つが、【見切り】と呼ばれるスキルを使用するアルカには当たらない。
アルカは進路にいたミノタウロスが担いでいた巨大な斧を【奪取】というスキルで奪い取り、【筋力強化】のスキルを使用してレイゴーンへと振り下ろす。明確な死の接近に「クェェエエエエエッ!」と叫んだレイゴーンは咄嗟に雷の盾を生み出して斧を防いだが、徐々に雷の盾には綻びが表れだした。
斧の威力が削がれ、アルカは一度その場から飛び退く。さっきの一撃で終わらせたかったアルカは顔を歪めてレイゴーンを睨みながら、自分を中心に円を描くように斧を振るって周囲のモンスターを薙ぎ払った。
視界が開ける。
アルカはニヤリと口角を上げて、再びレイゴーンへと駆け出した。今の薙ぎ払いにたじろいだモンスターは自然と道を開けてくれた。【脚力強化】で高く飛び上がり、【鬼化】と【筋力強化】でレイゴーンへと斧を振り下ろす。
【鬼化】はミニオーガと呼ばれるオーガの幼児のスキルで、使用すると一時的に皮膚が赤くなり、額から天を衝くような角が生える。
レイゴーンが再び雷の盾でアルカの攻撃を受け止めると、雷の盾は先ほどよりも大きく綻びたが、それでも打ち破るには至らない。けれど、これぐらい綻びていれば問題はないだろう。
アルカは体の奥底から絞り出すようにして魔力と妖力の波を発生させ、先ほど薙ぎ払った際に見た、アッシュの【反響】の固有能力を使用した。
魔力と妖力を帯びた反響の波は何度も何度も雷の盾に衝突し、容易く打ち破った。
ミノタウロスのものだった斧はレイゴーンの胸部を大きく裂き、鮮血を浴びながら使い手のアルカと共に瀕死のレイゴーンへと倒れ込む。
地球人はステータスを見ることができないが、確かにこの二つに重なった世界にはステータスと呼べるものが存在している。
レベルが見えなくてもユニークモンスター、[雷光のレイゴーン]を倒した自分が、ゲームのキャラクターのように一回りも二回りも強くなったのをアルカは実感した。
近くでユニークモンスターが死ぬのを視界に入れずとも把握したアッシュと美月。
乱戦だと言うのにアッシュの動きは落ち着き払っていて、しかも一切の攻撃を受けず正確にモンスターの息の根を止めている。母であるアケファロスがそう言う戦い方をするので、アケファロスに剣を教えて貰っているアッシュがそうなるのは当然だと言えた。
そんなアッシュが使用しているのは【反響】と【領域把握】という固有能力だ。
【反響】の効果はあらゆるものを響かせること。魔力も妖力も波のようにして反響させられるし、空気も声も剣戟の音色も心音までをも反響させることができる。【領域把握】は自分を中心に半径二メートル程度の空間を全て把握できる。足が地面についたこと、呼吸をしていること、どんな動きをしているか、筋肉の動きを読んだりすれば相手が何をしようとしているかなど、全て分かってしまう。
相手の視界を空気や音の振動で揺さぶって行動を阻害しながら接近し、強制的に自分の領域に侵入させて殺す。
もう一方の美月は戦っていない。美月曰く「下品」「返り血で服が汚れる」からだそうだ。
「わっちの代わりに全部片付けておくんなんし。アリティージ山では仕方なーく戦いはしたでありんすが、父上が整えた盤上ではござりんせんなら、わっちが戦う理由はござりんせん」
「眠いから僕も戦いたくないんだけどね……せめてクレアと信幸の援護だけでもしてくれない?」
「嫌……と言いたいところでありんすが、あの二人は戦闘向きの異能力を持っておりんせんから……はぁ……仕方ありんせん。わっちが手助けしてやりんしょう。では、兄上もお気を付けて」
アッシュの側でひたすらにモンスターの攻撃を躱すだけだった美月は、クレアと信幸の異能力のことを思い出すと即座に不安を覚え、足早にその場を去った。下品、汚れるからなどと言って戦いは嫌々と言いながらも、弟妹のこととなれば二の次のようだ。
建造物が燃えることによって発生する影を伝いながら美月はクレアと信幸の元へと移動する。美月の固有能力は【吸月鬼の姫】と呼ばれるものだ。この固有能力は吸血鬼や鬼人が覚えるスキルまとめたものであると同時に、それらの上位互換に当たるスキルをいくつも含んでいる優秀なスキルである。
水中から水面を見上げるようにして地上の様子を探る美月は、クレアと信幸のものと思われる影まで移動すると影から飛び出す。
そこではクレアと信幸がモンスターからの攻撃を躱しながら魔法やスキルを駆使して戦う光景が広がっていた。
心配して損したような気持ちになるがそれも一瞬。肩を揺らして息切れしている二人を見れば限界がすぐそこまで迫ってきているのは言うまでもなかった。
美月は自分の影を伸ばして周囲のモンスターの影と繋げる。
川を渡るために川を泳ぐより川に飛び石があった方が楽なのと同じで、一直線にただ伸ばすだけでは消費エネルギーが多くなるが、建造物やモンスターの影を縫うように経由することによってエネルギーの消費を抑えながらさらに多くのモンスターに影を繋げていく。
すると黒い糸で形成された蜘蛛の巣のような光景が広がり、影を繋げられたモンスターは蜘蛛の巣に絡め取られた虫のように動けなくなってしまった。
「おや森の中でしか使えないと思っていたでありんすが、場合によっては【影縛り】も街中では有効みたいでありんすね? ……では、このまま絞め殺してやりんしょう」
美月は黒い蜘蛛の巣から糸のように影を立体的に伸ばしてモンスターの体に這わせる。指揮者のように指を振りながら影を操る美月の姿はまさに、獲物を糸で巻き上げる蜘蛛のよう。
モンスターの体に十分に影が這ったところで美月が手を握れば、体に影が這っていたモンスターは影に絞められて弾け飛んだ。
「やっぱり戦いとはロクなものじゃござりんせんね」
「ありがとうございます美月お姉様。あのままじゃ殺られてました」
「危なかった……ありがとう美月姉ちゃん」
「クレアはいい加減、自分の異能力に慣れなんし。せっかく強い異能力なのにもったいない。まぁ戦いたくないその気持ちは分かりんすが。……信幸のは使い方がちょっとアレでありんすから別として……」
「うぅ……頑張ります……」
そうしてモンスターの肉片が散乱するその光景から三人が目を背けながら話し合っていると、気が付けば周囲のモンスターは一匹残らず肉塊に変わっており、別々の場所で戦っていた環奈達が続々と集まってきた。
「みんな無事みたいだけど、まだあちこちからモンスターの気配がするから、じゃあ、ちょっと休憩したら次へ行きましょう」
自分の異能力がどれだけ使えるものなのかを確かめることができた環奈は、満足したのか、興奮状態で異能力の検証しか頭にないと言った様子だった先ほどよりも落ち着いた様子で弟妹達にそう言った。
■□■□
突如発生した化け物の行進へ対処するためにやってきた西蓮寺志乃と有栖川セーラは、あんぐりと口を開けながら目の前の死骸の山を見上げていた。
「……フェニル、モンスターパレードの発生地点に到着したわ。まだ周囲にモンスターの気配は漂っているけど、既に死骸の山が築かれているわ。私とセーラより先に誰か送り込んだの?」
『今向かわせているところなので誰も……ですが、発生現場に居合わせた隊員は幾らかいたようです。それでも、誰も目立った階級を持たない一般隊員でしたし、既にその一般隊員の生体反応は途絶えてますから、死骸の山を築くことはできないかと……ちなみに、死骸の状況を教えてもらうことはできますか?』
「ひしゃげて骨が突き出ているもの、腐敗しているもの、黒焦げになっているもの、拳がボロボロになっているもの、内臓がぐちゃぐちゃになっているもの、断面が綺麗なもの、ミンチみたいになっているもの……とにかく滅茶苦茶よ」
『なるほど。でしたらモンスター同士の争いによるものの可能性が高いですね。もしかしたら階級持ちの方が複数いらっしゃったのかも知れませんが、それだけ多種多様な死骸なのでしたらその可能性は薄いでしょう。恐らく『特異個体』が付近にいるはずですので気を付けて進んでください』
「了解よ」
耳に装着したハンズフリー・マイクロフォンでどこかの誰かとやり取りをした西蓮寺志乃は、まだ呆気にとられている有栖川セーラの頭を軽く小突いてから言った。
「話聞いてた? 特異個体が出現してる可能性があるから気を引き締めていくわよセーラ」
「ああうん聞いてたわ。特異個体とか言う奴よね。分かったわ。気を付けて行きましょう」
恐らく何も聞いていなかったであろう有栖川セーラに頭を抱えたくなってしまうが、戦地でそんなことをするわけにもいかないので我慢して西蓮寺志乃は有栖川セーラと共に惨状を進みだした。
■□■□
時間を同じくしてモンスターパレードが発生していた丘の上、一人の男がそこには佇んでいた。その男は体のあちこちに大怪我を負いながらも病院に行く素振りすら見せず、無表情なままモンスターの死骸の上で佇み、空を仰いでいた。
別に生きる事を諦めたわけじゃない。別に死ぬ事を諦めたわけじゃない。
ただどっちでもよかった。自分が生きているのならそのまま生き続けるだけで、自分が死んだのならそのまま死んでおくだけ。生と死の境目が泡沫のように揺蕩っているなら、自分もそれに合わせて生死を放浪するだけ。
結局のところ何も考えてはいなかった。
考えた記憶もあるけど、どれも答えが出ず分からないままだったから覚えてはいない。
何も分からなければだんだんと腐ってしまって飽きて、諦めるだけ。諦めた数だけ思考は稀薄になって霞んで、心は削られる。
常に何かを犠牲にしなければならないこの世界で生きることは辛いと思うけど、死にたいと思うほどではない。犠牲にして摩耗していくのもまた一興だと思えてしまうから。
きっと生きる術を知っていれば、周囲に適応できれば、摩耗の日々は遠ざかり、自分が生きたいと思っているのか死にたいと思っているのかがハッキリするのだろうが、感情表現が苦手だっただけなのにやがて感情の表し方を忘れてしまうほど不器用な自分に、そんな器用なことは到底できない。
だから別の方法で、自分が何をしたいのか探した。そんな旅の中で、最近漸く答えに至りそうな考えに至った。
生きたいとも死にたいとも付かずにただひたすらに生きているならば、自分は無意識下に生きたいと思っているのではないかと。
そして今、答えを知った。
そうだった。自分は生きたいと思っていた。
モンスターの死骸の上で傷口から血を流しながら座り込んでいる自分が、迫る死に恐怖を抱いているのだから。
こうまでしなければ自分のことすら知れない自分に無表情ながらも呆れるしかなかった。
新しくなった自分に、変わることができた自分に、気分を変えたくなった。
男はこの旅路を振り返って、そうして自分を揶揄するように『せいしろう』と名乗ってみた。




