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6,それぞれの気持ち

(前半はサツキ視点、後半はイベリス視点です)

 


 一か月後というのはいつの事か分からなかったので、姉と一緒のベッドで眠る事にした。


「さ、サツキから一緒のベッドで寝よう何て言うの初めてね。ちょっとびっくり。ちょっとだけね」


 確かに大概は姉が「一緒に寝よー!」と勝手に私のベッドに入ってくる。


 ベッドの上に座り込んだ姉が照れてもじもじしてる。まるで、恋する乙女。何故?


「嬉しいんだよ? すっごく。でもさ。良いのかなって」


「姉様。もう寝ましょう。明日も早いのでしょう?」


「え? う、うん。でも寝不足でも良いかなぁ。何て」


 自分の指先と指先をツンツンする姿は恋話をする乙女の様だ。何故?


「寝不足はいけません。しっかり寝て下さい」


(寝不足では、いざという時に自分の身が守れませんよ)


 私はベッドの布団に入って目を閉じた。






 長剣だと重いので、ナイフを使う事になった。


 イベリス様曰く「サツキは物音を全く立てない歩き方だし、目立つ容姿でもないので、その場に溶け込める。見た目はか弱いお姫様だし、武器を持たなければ、相手は油断する。袖にナイフを隠して、いざという時に取り出せばいい」らしい。


(目立つ容姿ではないと……私は褒められているのでしょうか?)


 イベリス様がぼそりと「案外、暗殺者に向いてるかもな」と言ったのを私は聞き逃さなかった。


(暗殺者ですか。姉様やイベリス様を狙う敵を討てるなら、それも悪くありませんね)


 足腰を鍛える為に分厚い本を積み上げ城内を徘徊……もとい散歩した。気配を消す意識もしてみる。誰かとすれ違いそうになると、物陰に隠れた。独特のトレーニング方法を目撃したイベリス様が無言で私の頭にも分厚い本を一冊載せた。


(……姿勢も鍛えれますね)


 実のところ貴方は鬼ですか? と思ったが、師匠の教えだから、仕方ないとそのまま歩いた。







(イベリス視点)



 ケスマン国にいるのならば、アセビに挨拶しなければならない。例え、お互い嫌っていても、公では婚約者なのだから。アセビの両親も俺の父も当然の様に、俺がケスマン国に来たのはアセビに会いに行く為だと思っている。


(良い加減に、お互い興味が無いのに気付いて欲しいものだな)


 アセビは王都の下町の診療所でスカビオサの助手をしていた。患者は皆アセビの輝かんばかりの美貌に釘付けだ。


(何が良いのか俺には全く分からん。目がチカチカして鬱陶しい)


 様子を見ていると、アセビは俺に気付き、手を振る。


「イベリス! 何々? わざわざ愛しい婚約者に会いに来てくれたの?」


 アセビの口が弧に描かれる。


(思ってもいない癖に、仲良いフリをするな!)


「顔だけでも見ないとな。仕方なくだ」


「も〜。照れちゃって可愛い!」


(照れて無いからな? 全くこれっっっぽちも。アセビめ。照れるフリをするな! 気持ち悪い!)


「なぁ。アセビ。お前はスカビオサの事が好きなのか? それなら、俺との婚約を破棄しないか?」


(頼むからスカビオサの事を好きでいてくれ。ぶっちゃけ何でも良いから破棄してくれ。俺にとってお前との婚約はサツキに気兼ねなく会える点以外に全く利点はないからな?)


「ん〜? 好きというよりは尊敬だよ? だから、破棄しなくていいよ〜」


「ほぉ? 無理はするな。破棄したいだろう?」


「ふふふ。い・や☆ だって、破棄したらサツキを狙うでしょ〜? 絶対にい・や☆」


(やはり俺の気持ちを知っていたかっ。気に入らん。こんな奴を守る為にサツキが頑張っているとは気に入らん。やはり、お前を守ってはやらん)


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