秋葉原ヲタク白書47 メドライザーを追え
主人公はSF作家を夢見るサラリーマン。
相棒はメイドカフェの美しきメイド長。
この2人が秋葉原で起こる事件を次々と解決するオトナの、オトナによる、オトナの為のラノベ第47話です。
今回は、コンビはメイドとばかり付き合う"メドライザー"を取材するアキバ系コラムニストに協力するコトに。
メイドに化けたコラムニストは"メドライザー"の億ションに無事?お持ち帰りされ体当り取材を敢行しますが…
お楽しみいただければ幸いです。
第1章 メイドにハマる男達
"ババ抜き合コン"やったコトある?
合コンは、基本的に独身男女が同数集まって盛り上がるモノだけど、ココで男女共に1人だけ、何食わぬ顔で既婚者が混ざるワケだ。
もちろん"ババ"が誰かは最後まで明かされない(時には永遠に明かされないコトもw)。
で、ココはアキバだから、男子に1人TOが、女子にも1人TO持ちが紛れ込む。
もちろん、女子はメイド経験者が参加条件だw
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「メイドに言い寄る男には2タイプいると思うの。1つは、単にコスプレ女子とセックスしたいだけの男。そして、もう1つは"メイドと逝う妄想"を愛した男ね。まぁ、どちらも男としては情けナイ部類であるコトは逝うまでもナイ」
「今宵集まった僕達は、断然後者だ!いわゆる"ヤリ男"とは違う(その意味不明なドヤ顔やめとけw)!"ヤリ男"はコスプレしてれば猿とでもヤるだろう。でも、僕達は、女が好きなのではなくて、メイドが好きなンだ。極端な話、僕達は、メイドと寝る気はない。メイドカフェは文化であって風俗じゃないから」
「ああっ。何なの?この会話。もう頭が割れそうに痛いンですけど」
頭を抱えるのは、今宵の女子組幹事ノンナで彼女は最近流行りのアキバ系コラムニスト。
"懐疑ジャーナリズム協会長"でもあり、以前は僕とプチ整形屋狩りをしたりした仲だ。
彼女はフリーのライターだけど、ネット配信中のコラム"sex & the AKIVAX"が大当り。
どっかで聞いたようなタイトルとネタなんだが、ま、余り気にしない方がいいだろう←
「あら?じゃあ、貴方達にとってアキバはバーチャルメイドサファリパークではないの?新宿の御主人様方って御屋敷はジャングルで、自分達はハンターだと思ってるから、誰もがハンティング気分で御帰宅して来るのょね」
「アキバじゃさ、そもそも女子は、かわいい位じゃダメなんだょ。何しろスーパーメイドが大勢いるから、あの連中に比べたら、並みの地下アイドルなんてゴミ以下だょ。よく一般人は"モデルがセクシーだ"とか騒ぐけど、みんな痩せ過ぎだ。逆に何かに飢えてるみたいで萎える。夜になったら、バイト先のバンケットパーティーで、みんな摘み食いしてルンだぜ…あ、カナッペの話だょ。男も摘んでるけど」
「あとデカパイ勝負のグラビアアイドルも何とかして欲しいわ!一体、いつから男は巨乳でなきゃ勃たないと決まったの?とにかく!モデルはイスに縛り付けてラードマシマシの二郎スープを飲ませて、グラビアは豊胸で定着失敗した脂肪が全部石灰化しちゃえばいいのょ」
あ、今宵の女子組はメイドはメイドでも、大手チェーンのメイド居酒屋新宿店の面々だ。
新宿のヲタク女子にありがちな"アキバコンプレックス"みたいなモノも、垣間見える。
「ま、全てアキバでは"妄想"の基準…あ、ゴメン"理想"の基準が高いってコトょね。そして、ヲタクは、そのアキバと逝う街でこそ生きるってトコロかしら」
「お、全く意味不(明)だけど、まとめに入ってる?そろそろ二次会に流れる準備しよっか?」
「でも"メイド"に並みの女子を上回る魅力があるのなら、女性の魅力とは、どれだけの力があるものなのか、ゆっくり考えてコラムにしてみようかな」
ココで、僕が"はーい、今宵のババは僕でした!"と明かし女子全員が大きく仰け反るw
「絶対に女運に見放された人だと思ってた」
「てっきり、フラれて(orた)ばかりだと確信してた」
「親の顔が見たかった」←
女子は口々に悔しそうに逝うが"敗軍の将、兵を語らズ"だ!ザマアミロ、わっはっは。
僕は学生時代から筋金入りのババ抜き合コンの"名手"で今までバレたコトがないのだ←
あ、あれ?ノンナ、何か用か?
「ところで、テリィたん。結局、私って貴方の何なの?お話の通じる"男"友達みたいな存在?」
第2章 メドライザーを追え
「と逝うワケで、テリィたんには、すっかりお世話になってルンです。ミユリ姉様、姉様のTOを"ババ抜き合コン"なんかに連れ出して、挙げ句の果てに絶品の"ババ"まで演じてもらって、ホントにありがとうございます!お陰様で今回の"取材"は大成功でした!」
「いいのょ、ノンナちゃん。来週の"sex & the AKIVAX"を楽しみにしてるから。ソレにね、昔からテリィ様って、いくら申し上げても、合コンには逝ってしまうの。お好きなのょ」
「だ・か・ら!"取材"なんだって、コレは。僕は、ミユリさんが楽しみにしてる"sex & the AKIVAX"の"取材"に協力してるだけナンだけどっ!」
ココは僕の推し(てるメイド)であるミユリさんがメイド長を務めるアキバの老舗御屋敷。
御屋敷内の出来事があらゆる因果律に反するコトから"量子のもつれバー"と呼ばれる。
「ホラ、やっぱりヲタクって結局、負け犬でしょ?即時射殺されても仕方ナイ存在ですょね?でも、そんなヲタクが、好きなメイド服を着るだけで"勝ち組"になれるwコレって絶対にズルい。ズル過ぎるわ」
「だから、アキバは素敵な街ナンだょな。ネットや雑誌でしか見たコトのないメイドが、リアルに通りを歩いてるんだから。アキバでは、普通女子とデートする必要はナイ。だって、リアル"アキバメイド"が、目の前にいるんだもの」
「確かに、アキバでメイドになった時、初めて、ありのままの自分を好きになろうと思った。とびきりのモデルやアイドルには今更なれないし、なろうとするエネルギーも萎えたけど、そんな自分を好きになろうって初めて思えた。この街が、私に居場所をくれたの」
解説しよう。
発言はノンナ、僕、それから御屋敷にヘルプで入ってるつぼみんの順だ。
コレにタマタマ(ポケGOじゃナイょ)御帰宅してたランボー(者)が加わる。
あ、ランボー(者)は、政府公認のアキバ系高級娼館のマダムをやっている。
"萌え"のついでに語られる各国要人の"寝物語"は全て政権に筒抜けだw
「そんなこんなで、このアキバにも、最近"メドライザー"が出没するようになったワケなのょ」
「"メドライザー"?アナライザーの親戚?宇宙戦艦ヤマト?"明大生"の聞き間違い?」
「"メドライザー"は"メイドとばかり付き合いたがる男"のコトょ。ニューヨークのセレブに"ファッションモデルとばかり付き合う男"とかいて、昔から彼等は"モデライザー"と呼ばれているの。例えば、レオ(ナルド・ディカプリオ)様とかね。で、ソレをそのままアキバとメイドに置き換えたら、ソレが"メドライザー"」
何か僕のコトを逝われました的な雰囲気も無きにしも非ずだがマァいいや。
コレで僕もレオ様と同格のセレブってコトだょね?アキバの社交界?では笑
「面白そう!その"メドライザー"って何処に逝けば逢えるの?インタビューとか出来るのかしら?ねぇねぇ、私を"メドライザー"に逢わせてょ!テリィたん、お願い!」
「ええっ?今、逢ってるじゃナイか、僕と」
「テリィたんは誰でも良いンでしょ」←
カウンターの中でミユリさんが下を向いてクスクス笑ってるw
うーんクラスのマドンナを他校の奴に紹介するような違和感←
☆ ☆ ☆ ☆ ☆
"メドライザー"と逢うならココだ。
"アキバ御主人様パーティ part 34"は、長く続く(第34回w)メイド系アイドルライブ。
昔は、アキバ系アイドルと逝えば必ずメイド服だったけど、今では逆に絶滅危惧種だ。
でも"御主人様パーティ"は、かつてメイドカフェ同士の歌合戦から始まった地下ライブなので、未だ比較的"メイド色"が濃い。
と逝うワケで、もし"メドライザー"を探すとしたらココではナイかな、と考える。
で、ノンナと(ミユリさんOKの下w)参戦したが、ライブは終わって今は物販タイム。
フィナーレで全員仲良くヲタ芸を打った直後の汗臭いヲタク約20名が狭い箱にギッシリw
それぞれお目当てのメイドの前に列を作りグッズ購入額などに応じ握手&記念撮影中だ。
「あ、あれ?テリィさん?珍しいな、こんな地下10階(恐ろしくマイナーな、の意味)にようこそ!やや?コチラは何方?推しは承知してるの?」
「もちろん知ってます!ショウさん、風評被害を出さないでねwコレはあくまで"取材"ですから。コチラはコラムニストのノンナさん。あの"sex & the AKIVAX"の」
「ええっ?"sex & the AKIVAX"ですか?ヲレ、読んでますょ!実はファンなんです!うわぁウレしいなぁ…で、何でメイド服なの?」
声をかけて来たショウさんは"アキバの至宝"とまで謳われた、伝説の"ドルヲタ"だ。
しかし、こんな地下深く(恐ろしくマイナーな、の意味)までマメに足を運んでるとは驚きだ。
さすがは、全ドルヲタの頼れる兄貴分。
で、ノンナのメイド姿にはワケがある。
「実は、彼女のコラムの次のテーマは"メドライザー"なんです。例のメイドとばかり寝ちゃう困った野郎のコトです。あ、ショウさんのコトじゃありませんよっ汗。で、次回コラムには彼女もカラダを張る覚悟で、何と!"肉弾体当りお持ち帰られ取材"を敢行の予定なのです!ついては、ショウさんのお顔の広いトコロで私達に"メドライザー"を御紹介頂けませんか?」
「ええっ?!と逝うコトは、もしかして次回の"sex & the AKIVAX"の末尾に"取材協力 ショウ"なんて出ちゃうのかな?!素敵だっ!素敵過ぐるっ!ねぇ?もし名前が載るなら、本になった時は2冊、お願い出来ますか?1冊はお袋用にしたいので」
「お安い御用です!何ならノンナにサインさせましょう。その折は御母様のお名前も是非お教えください。献呈の辞を添えますので。ね?ノンナ」
彼女は激しく縦に首を振り完全同意する。
しかし、彼女のメイド、想定外に可愛いw
「おーい、モヤセ!コッチだ!顔、貸せるかな?やぁ久しぶりだな」
「あ、ショウさん!御無沙汰してます、ってかいつも現場ではお見掛けしてましたが、まさか、こうして自分に声を掛けて下さるなんてっ!」
「馬鹿野郎。いつも元気かなぁと思って気に掛けてたんだ。水臭いぞ(用法が違うw)。コチラのメイドさんが御用だそうだ。"sex & the AKIVAX"のコラムニスト、ノンナさんのレアキャラ、メイドバージョンだ!で、コチラは"逝きずりのTO"のテリィさん」←
奴は(名の通り)モヤシのように青白のヒョロ長で売れないミュージシャンそのもの←
あ、そう逝えばライブ中はヲタ芸も打たずエアギターでミュージシャンをアピールw
面倒臭さの塊みたいな奴だが呆気なくメイドのノンナに一目惚れして僕など眼中になさそう…ん?ソコへ厄介な半裸のメイドが出現w
「モヤセたん!手ブラの私と記念写真¥2000でどう?」
「TOの俺からも頼むょモヤセ。俺のミヨナに恥かかせないでくれょな…ぎゃ!ショウさん?!す、すみません!知らなくて…」
「ケータ。いい加減にしろょ。いかにオマエが医者で、ココが最下層(恐ろしくマイナーな、の意味)だからって最近の"節操なき医師団(ヲタ芸師グループ)"の振る舞いは目に余る。少しは考えてくれナイか」
メイド服のスカートだけで上半身は裸、手で胸を隠しての"手ブラ記念写真"はメイドの最後の手段のハズだが¥2000は安くないかw
いずれにせよ、強引な記念写真の売り込みを受けながらも、モヤセの視線はブレるコトなくノンナに注がれてるw大丈夫だ!イケる!
手ブラメイドと運営気取りのTOを追っ払って僕達は"メドライザー"をワナにハメる。
「やぁ。可愛いメイドさんだね。君もライブに出てたの?」
「トンでもございませんわ、御主人様。私はライブなんて、とても…」
「君のコラム、読んでる。キュートだょね。来週のテーマは何かな?」
「今は取材中です。仮題的に"メイドにハマる男達"みたいな…」
「面白そうだね!で、メイドと付き合ってる男達について何かわかったの?」
「人によっては、スポーツ競技のように思っているようです。自分に自信を持ちたい、とか、自己確認のため、とか」
「うーん。でもソレって、イケないコトなのかな?」
「全然OKですわ、御主人様」
会話は、哲人対話のように淀みなく進んで途切れるコトがない。
ホントに僕とショウさんのコトは、全く眼中にはナイみたいだw
「君、物販があるワケじゃナイんだょね?この後、どこかへ行くのかな」
「リアル御屋敷に帰ります。コレでも社長令嬢ですのょオホホ」←
「ええっ!偶然だな、実は僕も社長令息なんだ!自分で言うのもナンだけど、僕の"億"ションに来ないか?こーゆー人混みって、実は苦手なんだ。でも、その前に…君、ストレートだょね?もしかして、百合とか入ってる?」
「もちろん、100%ストレートですわ。御主人様」
「あ、余計な心配させちゃったかな?ホラ、君ぐらいゴージャスだと、百合な子って結構いるからさ。でも、大丈夫!どちらにせよ、僕はTO気質だから、メイドには絶対に手を出さない。だって、当たり前だろ?アキバのTOってそーゆーモンなんだゼ。あ、コレ、コラムに描いてOKだから」
「じゃ、メイドが御主人様の御屋敷に御帰宅、なんちゃって!」
「そりゃ最高だ!さぁ行こう、なんちゃって!」←
驚いたな。ホントに僕達は眼中にナイのか?
第3章 エアギタリストの正体
「きゃああっ!痛い!」
「どうしたの?大丈夫?」
「ヒールが折れてしまいました。私、もう歩けませんわ。御主人様」
「僕の部屋で冷やそう。さぁ、お姫様ダッコしてあげる。僕に抱きつけばと良いと思うょ」
「いやん。素敵過ぐる、御主人様」
すげぇ。ヤルな、ノンナ。
僕達は、御屋敷のカウンターでスピアが開いたPCからの音声に、聞き耳を立てている。
"メドライザー"がお持ち帰りしたノンナのメイド服に盗聴器を仕込んだのは彼女だ。
あ、スピアは凄腕の女サイバー屋です。
「さぁ、私の部屋で君の脚を冷やしてあげよう。腫れが引くはずだ」
「すごく冷たいわ」
「マッサージもしてあげよう」
「すごく気持ちいい…足首の痛みは和らいだけど、止めないで。うっ」
「あぁ、美しい脚だ」
「ありがと。気に入ったヒールだったのに、裸足じゃ帰れないわ」
ベッドに誘ってる!やっぱりノンナすげぇ!
「じゃあ、少しオシャベリをしようw何で君みたいなゴージャスな子が地下ライブに来てるの?」
「え?だって、アキバのメイドライブは見逃さない主義ナンだもの。美しい人の近くにいると、自分まで美しくなれるような気がしない?」
「その美しい人には、一定の法則がある。美しい人同士って反発し合うンだ。だから、メイドは、普通の人間にしか惹かれない。しかし、君、コラムを書くなんてすごいな。うらやましいょ。僕は描きたいと思っても、描くまで頭の中に留めておけないンだ。神経過敏だから」
単なる自意識過剰だろうw
「アキバで、普通女子とセックスをする必要は無い。ネットの中でしか逢えないメイドとリアルに逢える街、それが秋葉原なんだから」
「この街でメイドである、と逝うコトは権力だと思う。アキバのメイドと逝うだけで、欲しいモノは何でも手に入る。どこでもタダで行ける」
「君達メイドは、最初から頭が悪かったワケじゃナイ。もともと頭を使う必要がなかったから退化しただけだ。だから、君達メイドは、人前で頭を使ったら負けだ。バカがバレるから」
お互い逝いたい放題で全く話は噛み合わズw
「メイドの尻を追っかけるなんて軽薄とよく言われる。でも、その一方で"俺はメイドと寝てるンだ"と心の中で大声で自慢してる俺がいる」
「どうして、貴方は次から次へとメイドと付き合えるの?いいえ。もっと正確に逝うわ。どうして、メイドは次から次へと貴方の虜になるの?私は、もう貴方が愛おしくて、気が狂ってしまいそぉよ」
「ソコがつけ麺…じゃなかった、付け目さ。さっきも言ったけど、メイドにモテるコツは、先ず、彼女達を普通の子として扱うこと。セレブの集まる店でも平気で入って行ってタメ口を叩く。ソレが出来なきゃアウト。メイドをモノだと思うんだ。ビビったら負けさ。めっちゃ綺麗なモノ。そもそも、ミュージシャンである俺の人生は、綺麗なモノを追い求めるタメにある。さぁ、おいで!良いモノを見せてあげるょ!コレこそが本物のアートだ。まだ誰にも見せたコトがナイんだけど」
ココで、モヤセは部屋の中にいるらしい"もう1人の誰か"に声をかける。
「ミユリ、ライトをオフ。ソレから俺のコレクションからファイルδをメインに流してくれ」
「かしこまりました。モヤセ御主人様」
「アキバ最高のアートショーの開幕だ!始めてくれ、ミユリ」
え?ミユリ?
思わず御屋敷のカウンターの中にいるミユリさんを見てしまう。
モノホンのミユリさんは苦笑いし首を横に振る…じゃあの声は?
あ、流行のスマートスピーカーかw
しかし、勝手にミユリさんの名を…
「ええっ!何、この画像?!」
「この子は、今はホールメイドだけど絶対に大化けすると思うンだ。目を閉じて。もはや言葉は意味を失った…ミユリ、少し音声を上げてくれ」
「かしこまりました、モヤナ御主人様」
忠実なる"ミユリ"が、恐らく何かの再生画像だと思うケド音声を上げると…
「…貴方は、必ずメジャーになる。そして、いつの日か、私を振り向いて告るの。スピア様、愛していますって」
キャー
激しい喘ぎ声と何か(ベッド?)が激しく軋む音に紛れ、聞いてはイケナイ声がスル。
御屋敷にいた全員が無言で、しかし一斉にスピアの方を向くが…かける言葉がない。
さらにPCからスピア?の声が続く。
「ねぇ。ライブに出てたメイドの子と遊べばいいのに。どうして、私なの?」
「メイドとはデートしない。みんなバカだから…このまま、君の"カーヴ"を見ていたいんだ。タダタダずっといつまでも見ていたいんだ。こうして。ダメかな?」
「え…もちろん、ダメょ!だって私、もうガマン出来ないんだモノ!」
PCがそう叫ぶや、御屋敷では顔が真っ赤なリアルスピアがスゴい勢いでPCを叩き出す。
こうなると僕達は、肩で息するスピアを遠巻きにして、見て見ないフリをするしかない。
一方"現場"では、恐らく再生画像が"次のメイド"に切り替わったようだ。
次の声の主は自ら名を明かすコトなくモヤセと"カーヴ"について対話する。
さらに"その次"との対話が始まり…
しかし"カーヴ"ってなんなんだろ?
輪廻転成を断ち切ったのは、ノンナ。
「もう画像はお腹いっぱい。私、今宵はココで寝ても良いけど?」
「え?僕と寝てくれるのか?実はアキバって寂しくて、誰かがソバにいるだけで、ホッとすルンだ。ホ、ホントに一緒に寝てくれるのか?」
「いいわよ。だから、今宵は、ぐっすりおやすみなさい。私はココにいる」
「じゃあ、寝よっか。しかし、想像もできなかった。君みたいな良いメイドが、こんなにも寂しいなんて」
「え?私は寂しくなんかないわ。それより貴方、もっと同年代の子と遊んだら?」
「嫌だ。誰も君ほどには輝かない」
ココで、ノンナは究極の自己確認をする。
「それでアレはどこかしら?」
「え?何?」
「カメラよ。撮ってもいいのよ…私を」
第4章 いいわ。でも3Pだから
全てが終わった(と思われる)翌日の夜、御屋敷に関係者?が集まる。
それぞれがピースを持ち寄り、初めてパズルの全体像が見えてくる。
結局"メドライザー"の正体は"脚フェチ"。
「モヤセの部屋で見たのは、あの部屋を訪れたメイド全員の脚の動画だった。みんな、あの部屋で脚だけを動画に撮られてたの」
「そうそう。私の場合、ベッドに寝かせられて、彼が命じるままに、右か左か、片脚を上げさせられ、彼が舐めるようにして撮ってた」
「私は、舐められた」←
ノンナとスピアが張り合うように訴える。
「まぁ、征服した獲物を応接間に飾るのは、昔から"男のロマン"みたいなモンだからなぁ」
「隠し撮りもあったのょ?とにかく、ソレって"変態"ってコトでしょ?私には理解できないわ」
「そんなコト逝ったら、カメラ付きスマホを持ってる奴はみんな"変態"だ。そもそも"フェチ"は、人として生きる上での正当な権利だ。"フェチ"まで行かなくたって、誰にでもソソられるモノはある。何かにソソられるのは自由だ。みんなだって、何かドキッとするモノはあるだろう?」
うーん我ながら良いコト逝うな、と感心するンだが、誰も僕の卓見を聞いてなひw
「だから、結局、私はモヤセのコトを喜ばせてあげられなかったのょ。脚が綺麗じゃなかったから」
「その点、私は…スピアさんみたいなトランジスタグラマーと逝うワケには行かナイのですが、その代わり、脚については分があった」
「でも、だから、私はヤッてないの。ずっとお話ししてただけ。で、御御足が麗しい貴女はヤラれちゃったワケね。御愁傷様」←
脚を撮られた同士が傷口を抉り合うw
まぁバツの悪さもあるのだろうが、実は彼女達も全く負けてナイんだ。
ノンナはシッカリ取材してコラムのネタにしたし、スピアはスピアで…
サイバー屋の彼女は、モヤセのIPアドレスを突き止めスマートスピーカーをハッキング。
接続されてたHDから膨大な"脚コレクション動画"を(自分の分も含め)全部消去するw
さらに、モヤセがコレクションを見ようとすると、今年ヒットした自主制作映画"ゾンビを止めるな"が流れるトラップを仕掛ける。
彼が、次の獲物と一緒にコレクションを見ないコトを祈りたい。
その瞬間、安いゾンビ画像が室内の全スクリーンに流れ赤っ恥←
思えば、彼も不思議な男で、自称ミュージシャンなんだが活動してる形跡が全くナイ。
しかし、彼の住処は中央通り沿いにある正真正銘のタワー"億"ションで、何不自由ナイ暮らしをする、アキバ版のSOHOピープル。
実は、ノンナが身の危険を感じた時はワザとグラスを落とし、ソレを合図にストリートギャングのチームが突入する段取りだったが…
セキュリティがキツくチームが悪戦苦闘←
「でもね、将来何になりたいの、とか聞いたら、いつか青森に戻って、結婚して子供を作って警官になりたい、とか逝うのょ」
「そんな話をしてたの?ホントに朝まで添い寝してたのね!」←
「そうょ。16歳に戻ったみたいだった。自分の部屋で学校1のハンサムとワクワクドキドキ。親には、彼の宿題を手伝ってるの、とか言いワケをして」
結局、ノンナは逢瀬を満喫したようだ。
「だって、彼は、私の土踏まずのアーチが絶品だって逝ってくれたのょ」
「聞きたくなかった。うーん、でも知るべきコトなのかな。ねぇ、私達は結局アキバから"メドライザー"を葬ったのだけど、彼は退治されるべき悪者だったのかしら?」
「私は、そうは思わない。私は、テリィたんと同じミュージシャンだから、きっと良い人なのだろうと思って接近しただけ…」
ヲレを巻き込むなw
「あのさー。あれから、ノンナの取材のコトを色々と考えたんだけど。アキバって、ゴージャスなメイドが大勢いるょね」
「素晴らしい観察力ね、テリィたん」
「でも、どんな御主人様も、結局は一緒に笑えるメイドを選ぶんじゃないかな?意味わかる?」
ノンナがガバッと顔を上げる。
厄介事のイヤーな予感がするw
「ミユリ姉様!"sex & the AKIVAX"の取材のタメなら、私にお力添えを頂けルンでしたっけ?ならば…テリィたんと"取材としてのセックス"をしたい。そうすれば、次回のコラムはきっと素晴らしいモノになるわ。だから…ねぇ、良いでしょう?ミユリ姉様」
「あぁ、またまた竿姉妹が増えそうょwミユリ、どーすんの?」
「前回はレオタードの新体操選手だったっけ?今回は王道ストレートのメイドがお相手みたい!油断しちゃダメ!」
居合す常連女子から悲鳴が上がる。
でも、ミユリさんは余裕の笑顔だ。
「ノンナちゃんの純粋な気持ち、よくわかりました」
「ええっ?…じゃ、いいのですか?ありがとう!ミユリ姉様!」
「仕方ありません。ただし、3Pですから」
おしまい
今回は海外ドラマ発の造語"モデライザー(モデルとばかり付き合う男)"をネタに"メドライザー(メイドとばかり付き合う男)"、アキバ系コラムニスト、ドルヲタの兄貴分、メドライザー経験?のある女サイバー屋などが登場しました。
モチーフに使った海外ドラマがバレバレですが笑、あの番組の(もう10年以上も前の)世界観を秋葉原に当てはめて展開してみました。
秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。