幼馴染東条
無事学校の最寄り駅に到着した我らは、残り数日のGW休みを満喫しようと心の中で予定を立てていた。いかんせん高校生の休みはカラオケとボーリングしか選べない。新しい遊びがあるなら応募を募りたい。
こうして1人帰路についた。シャッター商店街タイルの白い部分を意識しながら、家の鍵を回してた。
そうして、これから渡る交差点を見るとそこには、お婆さんがいかにも重そうな荷物をもって戸惑っていた。
合宿も終わり、タイルゲームのゴールも今終え、少々浮かれていた俺はノリで助けようと声をかけた。
あのぉ…
その時だ。〈歴女〉いわゆる歴史好き女子の代名詞と言っても過言ではない東条ゆいが殆ど同時に声を掛けていた。
「えっ?なんでいんの?…しかもスポーツできそうな格好で、キモっ」
「いや、こっちのセリフだよ、なんでいるんだよ?」
「合宿だよ、年に1回しかない貴重な、そっちこそ何でここにいるん?」
「1人旅よ、夏目漱石の詠んだ月島みるためにね」
「いや、実は牛タンメインだろ…」
「は?んなわけない…ないです。」
わかりやすいなあ…相変わらず。
「……あの、私に何か…?」
「ふへっ!あっ!大丈夫ですか?お婆さん」
「ふへっ!あっ!大丈b」
「ちょお!被らせんなし!」
「えぇ…」
理不尽!この子!
「何も用が無いなら私行きますので…仲良くしなさい?」
優しく俺たちに語りかけてくれる。
重そうな荷物、お婆さん1人だとさぞ辛そうだ。
「あの、そこの駅に行きますか?よかったら持ちますよ?」
「あら!ありがとねぇ、助かるよぉ」
そういえば、俺は別に構わないのだが、東条は昔から学校では静かな奴で、いっつも本読んだりでひとりだったけどほんと素はうるさ…明るいな。
「この辺でいいわよ。ここまでありがとねぇ。」
こちらに一礼して改札に消えていくお婆さんをみて改めて良い事をしたと悦に浸っていた。久しぶりにゆーちゃんと話した気がする。やっぱなんで学校でこのキャラ出さないのか不思議だ。顔立ちもいいし、眼鏡を取れば別人だし…やはり、この学校の3本指には入れそうだ。
「… 」 「… 」
「じゃあねリュウくん…」
「あ、あぁ…」
「あ、家隣だし旅行の荷物重そうだし持ってくよ」
「リュウくんの方が重そうだし持ってくよ。」
「え?まじあざっーす!」
すかさず肩にかけていたバックを差し出したが思っきり投げられた。こいつ…甘えれねぇ…
実は、いや気づいているが、俺と東条は幼馴染であるものの、お互い気を使い合って幼馴染な事を隠している事になっているのだ。向こう側が何より話しかけるなオーラを纏ってるし、俺自身リュウくんとゆーちゃんで呼びあったら勘違いされることはどちらの得にもなんないと踏んだからである。