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義妹&義母との仁義なき闘い

義妹ーアリスンは完全にあの女の手先になっていた。


「お姉さま、どうしたの?そんな汚い格好で。侯爵令嬢ともあろうお姉さまがそんなのだと、困るじゃない」


「…天気が良かったから大自然を感じたくなったのよ」


私の着ていた服は泥がバッチリ飛んでいた。

もちろん、義妹本人ががやったかあの女の仕業か2つにひとつしかない。

侍女に言いつけてもお父様にチクられるだけなので、自分達でやる他ないのだ。


「お姉さま、また試験でいい点をお取りになったんですって?不正でとった点が嬉しいだなんて浅ましいわね」

「あなたね、人のことをとやかく言う暇があるならもう少し勉強なさったら?家庭教師が頭を抱えていましたわよ」

「私はすでに立派な侯爵令嬢ですもの。必要ないわ」


義妹やあの女にさんざ嫌がらせをされていたが、私は別になんとも思っていなかった。

対策のしようはいくらでもあるし、やりたいようにやらせていればとりあえずは満足するからだ。

たまに泣いて落ち込んでいるところを見せたり、言い負かされたように見せかけたりしていれば、扱いやすいふたりではあった。

私とお父様の間ではとにかく今は家の中ならばやりたいようにさせようと密約を結んでいた。

外部の人に何かやらかしそうなときだけ全力で止める。そういう約束だった。

家にお客様を呼ぶときは、客用の屋敷に案内し、外部と接触をさせないようにした。

外部の人間にあることないこと吹き込まれると面倒だし、外部の中にもつけこまれると厄介な知り合いと言うものはいるものだ。


もちろん助長することがないよう、たまにキツく締めると義妹は私のことを警戒するようになり、ほとぼりが覚めるとまた似たようなことをするという繰り返しをしつつ、私とお父様は義妹をどうにかするための策を練っていた。


そうして月日が経ち、貴族の通う学院に入学して1年。

私は、殿下の婚約者に選ばれた。


「お姉さまが王子さまの婚約者ですって!?」

「ええ。この間の会で選ばれましたわ」

「私、呼ばれていないわ!不公平よ!」

「それはそうでしょうね。あの会は、事前に候補者として選ばれていないと呼ばれないのですもの」

「なんでお姉さまが選らばれて私は呼ばれないのよ!」

「さあね、自分の行いを振り返ってみたらいかが?」

「お母様に言いつけてやる!」

「…言いつけたところで何ができるのかしらね」


とか言っていたら、その夜、久しぶりに丸々としたあの女が出てきた。


「あなたには王子さまの婚約者なんて荷が重いでしょ?アリスンに譲ると言いなさい」

「私の一存で決めることではないのですわ。これは勅命でございますから」

「口答えするな!」

瞬間湯沸し器になったあの女は、とりあえず手近な調度品を投げたが、筋力の落ちてたるんだ腕では落としたといった方が近い有り様だった。

「ものわかりの悪い娘ね!どうせろくでもない不正をして得たものでしょう。正しくあるべき姿に戻すのよ。いいわね!」


言いたいことだけ言って肩を怒らせながらでていく女を見送り、割れ物ではない木製の調度品を置き直す。


正しくあるべき姿として、特に何もしなかった。

義妹は会うたびに突っかかってくる。


「お姉さま、早くしないと本性がバレて婚約破棄されてしまうわよ!そうしたら侯爵家は破滅!」


またよくわからない妄想を信じ込んでいる。

アリスンの情報源はあの女なので、アリスンが信じているおかしなことはほぼあの女が吹き込んだものだ。


「大丈夫ですわよ。ところであなた、もうすぐ学院に入るのでしょう?早く親離れなさいね」

「私は問題ありませんわ」


義妹の言う問題ないは、親離れできていると言う意味ではなく、成績優秀だから問題ないと言う意味だ。

これもあの女にあなたは優秀と言われているからそうだと信じているのだ。

学院は本来は寄宿学校で、大体の生徒は寄宿舎にすんでいる。

一部の成績優秀者のみ、家から通うことが許されるのだ。もちろん私は家から通っている。


義妹が家から出るとき。

あの女と離れざるを得ない状況。


この時を、ずっと待っていた。

シャーロットがかたくなにアリスンの母親の名前を呼ばないのは、未だに名乗ってもらってないからです。名前は知ってます。

若干サブタイトル変えました。

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