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これで解決!ヘタレイケメンの治し方  作者: 奈瀬朋樹
合コンパニック
27/40

26話 5年前

「僕のせいだ! 僕がイケメンなせいで真守がこんな事に!」


佐藤家に到着後、美緒と大輔に事情説明と問題の写真を見せたら、こう嘆かれてしまった。間違ってないけど、イラッとする言い分だな。


「大輔、これは事故みたいなものでお前は悪くない。気にするな」

「そうね、迂闊(うかつ)な行動を重ねて写真まで撮られたのが悪い。兄さんに落ち度は1つもないわ」


てゆーか、美緒が怖い


大輔の更生を任されたのにこの失態で、せめて命だけは勘弁してほしい。今は大輔が傍にいるから大丈夫なのかもしれないけど、美緒と2人っきりになった瞬間、今度こそ俺の脇腹は再起不能になるだろう。正直こんな陰口言うだけの犯人よりも美緒の方が100倍怖いのだが、大月さん達と約束をした以上、逃げる訳にはいかないのだ。


「とにかくこの件については幾らでも謝る。だけど俺以外にも迷惑をかけている人がいるんだ。だから」



「明日から学校休む」



協力を求める前に、大輔がどんでもない事を口走ってくる。


「いやいや、それじゃ何も解決しないし、大輔が気に病む必要はないから」

「そうよ兄さん、全部これが悪い。後で私が再教育しておくから」


後の再教育が何なのか怖くて仕方ないけど、ここで大輔が引っ込めば収拾が付かなくなる。だけど真っ青になった大輔はそのままベッドに倒れ込み、布団で丸まってから、心からの歎きが聞こえてくる。



「もう嫌だ。僕が何かをする度に騒がれて、勉強も運動も沢山頑張ったのに全然上手くいかない。ずっと支えだった真守にまで迷惑をかけるくらいなら、もう学校に行かない」



幼稚な言い訳だけど、大輔にとっては切実な主張で、何も言えない。イケメンで図体もデカいけど、心はもう限界で、今にも折れそうな状況だ。


「安心しろ大輔、何があっても俺はお前の傍にいるから」


「でも、そのせいで真守が不幸になるのは嫌だよ。真守と再会できて嬉しかったけど、こんな事になるくらいなら、文通関係のままでよかった」


そう言われてしまうと、これ以上は何を言っても押し問答になってしまう。それに今の大輔は感情的だし、落ち着くまで待った方がいいのかもと考えていたら、美緒が携帯を差し出し、画面にはこう表示されていた。



―【美緒(非公開・2)】―――――――――――――――――――――――――――

 美緒 :私が兄さんを落ち着かせるから、暫く席を外して

     今は自虐に浸っているだけ

     あなたとの再会を、兄さんは本当に喜んでいたから

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



やっぱり美緒は優しいな。


大輔の更生という無理難題を押し付けられ、幾度となく肘鉄をブチ込んでくる理不尽待遇なのに全然嫌じゃないのは、俺を信頼してくれていうからだろう。


かなり厳しいですけどね。


だからここは美緒に任せて、兄妹2人っきりにしよう。

だけど、これだけは言っておこう。


「大輔、俺もお前と再会できて嬉しかったぞ」


そうして静かにドアを閉めてから、廊下で深い溜息を吐く。


この犯人は何を考えているのだろう。SNS文章は徹底的に俺を中傷する反面、大輔は全面的に擁護されていて、これはどうみても大輔への好意なのに、その大輔を悲しませて登校拒否にまで追い込んでいる。


市ヶ谷真守という存在が、佐藤大輔には有害。きっとこんな判決を下しての行動だろうけど、思いが一方通行で大輔がどう感じるのかが全く含まれていない。


尤も、俺もついさっき間違えそうになって女子2人から頬っぺたを抓られた身分だから偉そうな事は言えないし、ここで怒りを感じずに考察をしている時点でおかしいのかもしれない。



「あ~ら真守君、こんな所で何してるの?」


「彩さん、……って、しーっ」


口元に指を当てておやつを持ってきた彩さんに静かにして下さいのサインを出してから、静かに大輔の部屋から離れてもらい、その後に経緯を伝えると。


「真守君、ちょっとお話ししよっか」


そう言われて、以前行けなかった屋上に案内された。



   ◇   ◇   ◇



「本当に庭園あったよ」


人工芝と石畳で整えられた地面に青々とした植栽が並んでいて、屋上に小さな公園あるという一般のご家庭では有り得ない光景に言葉が出ず、薦められるがままにお洒落な木製テーブルに案内されたけど、落ち着かないなぁ。


「うふふ、もうちょっと暖かくなったらココでバーベキューをするから、是非来て頂戴ね~」

「あ、ありがとうございます」


こうして一緒にふわふわワッフルを食べながらのティータイムが始まったけど、やっぱり言っておいた方がいいな。


「その、ごめんなさい彩さん。俺のせいで……」

「どうして謝るの? 聞いた限り真守君は何も悪くないじゃないの」


「例えそうだとしても、責任を感じちゃいますよ」


理不尽な理由でも俺が原因でこうなった以上、親である彩さんには謝るしかない。そんな感傷に浸っていたら、こう切り返されてしまった。


「真守君がいたから大輔と美緒は変われたのよ。特に美緒は真守君と出会わなかったらどうなっていたか分からないし、だから彩さんとしては、真守君を恨む事なんてできないわよ~」


「えっ? 大輔は分かりますけど、美緒もですか?」


昔の美緒とは一度も遊んでいない。本人もそう言っていた。泣き虫だった大輔と友達になった事に感謝されるのは分かるけど、美緒の方を強調される理由が分からない。


「真守君、昔話をしよっか。あなたが最初に引っ越してくる前の、大輔と美緒の話を」

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